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その九

名称、デートの最中に会館の屋根の破片が突然欲しくなってしまったアホなカップルのふり大作戦、らしい。


「馬鹿だろ!?」


会館なんて顔見知りしかいないんだから、そんなことする必要もねえだろ!


「ほらほら大声出さないの。お手々繋いであげるから落ち着きましょうねー」

「俺が宥められる側なの?」


おかしくない?


「カイを見習いなさいよ」


もう一組の方は、小柄な女と腕を組んでいる大男が死んだ目をしている。シノアはなにを思ったのか、カイの腕にしがみついてぶらーんと音がしそうな感じで揺れていた。体格差があるとはいえ、カイは流石の力持ちだ。


「いいか、アイシア。お前も流石に分かってると思うけど、あれは違う」

「あなたもやる?因みに私を地面に落とすことがあればその時は、ボンッよ」


無茶いうんじゃねえよ。

俺は諦めて、仲良くお手々繋いで会館に向かうことを受け入れた。


徒歩数分な朝ぶりの会館は、人が増えていた。ざっと見た感じ、屋根の修復のための人手や他の支所から派遣されてきた魔狩りなんかもいるようだ。

手が強く握られて、思わず隣を向けば耳を貸せとジェスチャーされる。

ちょっとだけ顔を傾けると、アイシアは口を寄せてきて。


「顔には出さないでね。あの中に少なくとも四人は、どっかの貴族の間者がいるから」

「……!」

「ほら、顔」


結構な無理をいいますね。こちとら、魔獣一筋十数年で対人対応のための細かい技術はからきしなんだわ。


「さっさと通り抜けるためにちょっと身体の位置入れ換えましょう」


確かに、顔を見られると色々とめんどそうだ。主にこいつが。


「あー、なら」

「?」


ちょっと失礼してと。

アイシアの足を払った。


「な!?」


バランスを崩したところで、上半身をキャッチしひざ裏にも手を回す。横抱きの出来上がりだ。


「ちょっ!?!?!?」


パニクったアイシアは、そんなことをした犯人の顔をずっと見てくる訳で。


「ダーーシュッ!」

「!?!?!?!?!?」


他の連中には俺の奇行の方が目立ちすぎて、その腕の中にいる女の顔まで気に留め続けることは出来ないし、アイシアもアイシアで他に視線をやる余裕がなくなるので一周回って不自然さがなくなる現象に基づく手っ取り早い解決法だ。


「ああ……いつもの会館付きか……」

「あいつら、こんなときもかよ……」

「最近浮かれてんな」

「もとからあんなんだろ……」


穴としては、慣れている連中からは、誰がどうなっているかまで余裕でバレていることだな。

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