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その八

アイシアから書面を奪い取り名前を書き換えることで、やたらと高額な買い物をすることからは、すんでのところで回避できた。

それが不満なのか金髪の女は俺を小突いてくる。何でだよ。

シノアは上機嫌に、それなりの大声で開始を告げる。


「それでは、本格的な密談を始めましょうか!」


楽しそうですね。あと、そんだけ声出しても外には漏れないんだね。すげえな気生符。


「まずは状況整理からですね」

「ちょっと待て」


俺が質問をする前に、先ほどの茶番劇が始まってしまったので、このままではうやむやにされかねない最重要事項の確認をしていない。


「何でしょうか?」

「ケイト、やっぱり気生符が欲しくなったのなら、私が立て替えておいてあげるわよ」

「アイシア様、書面です」


いい加減にせい。買わねえわ。


「俺が、今後暗殺者とかに狙われるって何でだよ」

「「「あー」」」


今まで忘れてましたねお前ら。そうでしょうね、切実なのは俺だけですもんね!


「しょうがないわね……。あなたでも分かりやすく説明してあげるわ」


アイシアはわざわざ用意されたソファーから立ち上がり、俺を見下ろした。腹が立つので俺も立ち上がる。


「簡単にいえば、私偉い、あなた私の代わり、あなたに成り代わりたい、てことよ」

「お前のせいかよ」


非常に分かりやすかった。そして、とてつもなく面倒である。


「安心してください、ケイトさん。うちのカイみたいに全員ボコして黙らせれば、暗殺者は滅多にやってこなくなりますから」

「それでも、偶には暗殺者来るのかよ」


カイは、意味深にニッコリと笑っていた。仲間ができたっていう心の声が聞こえてきそうだ。


「それでは、改めまして状況確認といきましょうか」

「といっても、こっちもほとんど情報は集まってないのよね」

「なんせ、会館到着してそのままギルマスに連行されたからな……」


思えば目まぐるしい一日だ。そして、まだ昼過ぎである。忙しすぎるこれ。


「お嬢、どうします?屋根の破片なら、こっちで回収できている分もありますが」


さすがにお隣さん同士だ。会館の事故(事件?)の証拠は一応集められているらしい。


「いえ、やめておきましょう。その破片に細工されている可能性もあります」


あー、そこも疑わなきゃなんねえのか。まったく、貴族が関わると事態がややこしくなるな。


「なら、もう一回現場に戻る必要が、あるのかしら」

「そうなりますね」


あっちいったりこっちきたり。研究所と会館が近くてよかった。


「じゃあ、建前上私達は今回の件に関わらないことになっているから」


ああ、なるほど。俺とカイは、パシられるってことね。


「Wデートね」

「そうですね」


なにいってんだこの女共。

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