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その四

人気の狩り場には、大体キャンプ地が整備されている。意図的に作ったというよりは、比較的安全なエリアに何人もの魔狩りがそこを拠点にした結果、便利そうな物が自然と集められていった場所というのが正確なんだけど。

俺たちは、ひとまずそこのキャンプ地に到着した。


「おっこいしょ、と」

「おーう、ケイトそっち準備できたかー」

「もうちょい、暇ならそこ押さえててくれー」

「あいよー」


何はともあれ、まずは設営。お互いにそれなりの年月を魔狩りとして生きてきたので、テントくらいならさっさと組み立てられる。


「さてと」


無事に本日の寝床が完成した。俺は、背筋のストレッチをしつつ、手についたちょっとした汚れを払った。


「ほんじゃま、取りあえず巣を探すところからだな」

「二手に別れっか?」

「そうだな」


勝手知ったる森なので、絶対ではないが単独で動いても問題はないだろう。

そいじゃあ、さっさと目星つけて、夜に備えんべ。



少し後テントにて──


「巣いっぱい」

「こっちもいっぱい」

「手当たり次第で、いけそうだな」


一番手間取る作業がすぐに終わってしまった。いや、増えすぎだろヨルネズク。一本の木に、巣が十個以上あるのは、やりすぎだわ。


「羽も余裕で集まるだろ」


そうね。めっちゃ楽な依頼かもしれない。

等々と甘いことを考えていると。


『poppopi~~』

「うおっ」

「おお、ギルマスからか」


鳩便がやってきた。モルトはなんかやたらとビビっている。え、もしかして、初めて見たのこれ?


「普通ギルドマスター様から直接便りがくることなんてねえよ」

「まじで?」


俺にはしょっちゅう鳩さんが手紙咥えてくるんだけど、これおかしかったんだ。

何はともあれ、嘴に咥えている手紙とついでに足になにやら巻き付いている物を回収する。


「えっと…………げ」

「な、何が書かれてるんだ?」

「まずはヨルネズクの討伐はしなくて良いらしい」

「そんなことを、ギルドマスター様に聞いていたのか?」


あれ、言ってなかったか。情報共有を、ちゃんとできてなかった事を謝罪した。

そんで、


「その代わり、持って帰る羽の量が増えた」

「げ…………」

「しかも、ほれ」


鳩の足に巻き付けられていた物をモルトに見せる。めっちゃ嫌そうな顔になった。気持ちは分かる。なんせ、


「三袋追加だとよ」


依頼達成に必要な羽の数が、4倍になったのだ。


「なんでそんなに羽が必要なんだよ……」

「調査用らしいわ」

「研究所の連中が自力で集めろよ!」


モルトのいう通りだと思う。

ただ、悲しいことに俺たちに拒否権はない。ギルマス直々のオーダーだからな……。忘れがちだが、あの男すごい権力者なのだ。


ところで、俺らいつ帰れるの?

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