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そのニ

羽毛布団は、庶民にはあんまり使われていない。北の方ならともかくこの辺は暖かいし。


「実際羽毛布団ってどうなんだ?」

「どうって言われても。別に普通よ普通」

「お前の普通はあんまりあてにならないからなぁ」


言うても貴族様だし。忘れがちだが。


「今度うちに来た時に試す?」

「あー、ありだな。んで、羽毛布団ユーザーのアイシアさん」

「何よ」

「最高級の羽毛ってルマのやつだっけ」


ルマという魔獣は、もっふもふの一翼類で、そのもっふもふの羽根で外界の衝撃を弾いてしまう。どうやらもっふもふの羽根には種族魔法が常時かけられてるらしいのだが、抜け落ちたそれはただのもふもふだ。んで、それを布団にしたり枕にしたりするのだ。一度、ルマ本体を見たことがあるのだが、もっこもこのもふっもふだった。


「そうね。あと最近は、動物のやつも流行中よ」

「まじで?」


また物好きな。多分鳥類のやつなんだろうけど、動物の羽根なんて固そうなのに。


「低反発で、気持ちいいのよ」

「はえー」

「好みは別れそうだけど」


いっぺん試してみたいな。基本どこでも寝られるから、拘ったことはないけど、そろそろ良い寝具を購入してみてもいいのかもしれない。

おっと、話がそれている。


「改めてこの依頼、どう思うよ」

「うーん、ヨルネズクの羽根なんて痛そうだけど……」

「そうだよなあ」


ルマがもっこもこのもふもふ魔獣だとしたら、ヨルネズクはしゅっとしてかっちりしてる魔獣だ。名前のとおり夜行性の一翼類で、そのフォルムはどれだけ静かに素早く動けるのかということに特化していて、「狩人」何て呼ばれ方をしていたりする。


「まあ、いいや」

「引き受けるの?」

「なんか楽しそうだし」

「……気持ちは分からなくもないわ」


そうだろ?


食器を重ねて、ごちそうさまをした。


「手伝ってくれたり?」

「いやよ、今日はもう寝るって決めてるから」


でしょうね。

あっちいけとばかりにひらひら手を振られたので、こちらも振り返す。誰か道連れ探そう。


ヨルネズクの羽根には、結構需要がある。もちろん、布団用ではなく、ペンにしたり俺のような弓使いが矢羽根にしたりするためだ。ということで、羽集めの手法的なものは確立されている。

されているのだが、それは二人で行うものなのだ。一人でもやれんことはないのだが、この依頼は職員から押し付けられたやつなので、一人くらい融通して貰っても良いだろう。


「マッドー、誰か良いやついねえ?」

「おや、珍しい。てっきりいつも通りアイシアさんと行くと思っていたが」

「別にいつも一緒に依頼受けてねえだろ」


ちょうど受付担当だったとマッドは、そうだったかな?と首を傾げながら。


「なら、うちのダーリンが空いてるな」

「ダー・リンさん?」

「君、分かってて言ってるな?」


単に、ダーリン呼びを日常的にする奴が居ると信じられなかっただけだよ。

結局、いつぞや助けた大剣使いの彼と合流するのに、少しの時間を要した。

ほんじゃまあ、ボチボチ行きますか。

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