表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/146

環境種 その一

白という色は、竜卿にとって大きな意味を持つ、らしい。なんでも、初代竜卿が初めて単独で討伐した竜種が全身白色だったそうだ。他にも、何者にも染まらない強さとか、まあ色々理由があるみたいだ。


「それで、あなたが使う白の矢についてなんだけど」

「おう」


深夜未明。俺たち五人はすでに王都を発っていた。俺と竜卿、まさかのユリア、そして黒狼騎士団の団長であるアイシア兄と団員が一人だ。

移動速度を考えて、各々が別々の馬に乗っているので、声が非常に遠い。


「ぶっちゃけ、良く分からないわ」

「なんで?」


持ち主お前だろ。

矢の癖とか、効果とかある程度聞いておこうと思ったらこれだよ。


「だって、私も初めて聞いたもん」

「お前竜卿だよな」

「分からないことぐらいいっぱいあるわよ」


えー、そこで開き直られると困るんだけど。


「なら、私からその理由を説明してやろう」

「あ、ギ、ユリアさん」


危ねえ。素でギルマスの元カノって言いそうになった。

騎士団の二人はと聞こうとしたところで、なにやら金属同士がぶつかりあっている音に気づいた。ひょっとして、俺ら襲われてない……?


「あれ、昨日あなたがブチッとした連中?」

「ああ、残党だろうな。暇なんだろう」


うーん、恐ろしい会話。というか、ブチッとしたのは個人なのか、家ごとなのか……。

これ以上考えてはいけないと、本能が警鐘を鳴らしている。

話題をそらそう。


「そういえば、なんでこっちについてきたんですか?」

「ん?ああ、そうだな、分かりやすく言えば、私の領地がヤバそうなんでな」


どうやら、環境種の進路に入っているらしい。

って、まてよ?ということは。


「進路の予想まで出てるんですか?」

「ああ、クリストファの大馬鹿野郎が、大分前から予測して、手回しまでしていたらしい」


若干笑い混じりにユリアが答えた。これ、ギルマスの流儀ならぶちギレてるってことだよな。


「前もって、かひゅー、言えと、ふひゅー、何度も!」


もう、笑いすぎて息も絶え絶えだ。

絶対近づいたら不味いやつ。


「あいつは!ふしゅる!昔から!こぴっ!そうなんだ!かひゅ!一人で勝手に!」


俺とアイシアは、ばれないようにそっとユリアから距離をとった。いや、こわっ。


「なんであんなにぶちギレてると思う?」

「うーん、構って貰えなくて寂しいってところかしら?」


ちょっと違う気がする。

いずれにしろ、揉めてる男女には近づいてはいけないって、師匠が言ってたので触れないでおくことに決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ