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その二十

俺は至極真っ当な感性をもっている男だと思っている。なぜか反論がとんできた気がするが、無視だ無視。そんなまともな俺は、今現在とてつもなく居心地が悪かった。なぜなら、


「この度の非礼の数々、なんと詫びれば良いか。かくなるうえは、腹を切るしか……!」

「いや、大丈夫ですから!慣れているので!」

「なんと有難いお言葉……しかしだからこそ止めてくださるな!」


いや、止めるわ。非礼ってレベルなら、お宅のジジイとか妹さんの方が圧倒的だぞ。


「あんなところを、家族以外の者に見られるとは、恥以外のなにでもない!」

「あー」


そっちなのね、本音は。

一応、人の話を聞かないおっさんの肉親の方に目をやると、ニヤニヤしていた。もうどうでもいいや。


「わが人生一片の悔いなし!」


ボキッ!


「くっ、やはりまだ死ねないか……」

「いや、今明らかに固有魔法使ったよね?」


死ぬ気なんて、欠片もないでしょあんた。

つーか、この茶番なんなの?


「お兄様、そろそろ用件を教えなさい」

「もうちょい早くに言って欲しかったかなぁ」

「うるさい」


右頬をつねられた。うわ、横暴。


「竜卿殿にわが主からの書簡を預かって参りました」

「あら、王が一体なんのようかしら」


部屋の空気が、ガラリと変わる。というか、アイシア兄は王の部下なのか。その辺は、多分色々あったんだろう。


「こちらを」


その書簡は、極めてシンプルであるが、王の紋章が印字されている。因みに、アイシアの紋章が剣をモチーフにしたもので、その対をなす知の王の紋章は羽がモチーフだ。

アイシアは、しばらく目を通してくしゃりと握りつぶした。


「お、おい」

「本当なの?」

「環境種のことでしたら、確認済みでございます」

「そうなのね」

「ちょ、ちょっとまて、環境種!?」


それは、この世の理そのものの強大なナニか。

生物や魔獣という枠組みから外れた最強の存在だ。

以前の竜の巣の調査で、環境種は関係ないって話だったんじゃ?


「ええ、結局魔獣の異常個体は、大氾濫の予兆ということで結論付けたわね。だけど、大氾濫そのものの原因は?」

「まさか」

「そう言うことだって、そっちは確信しているんでしょ?」


ちらりと、アイシアは王の忠実な騎士を見た。

騎士は、ひとつ頷く。


「なら、私は環境種のもとに向かわないといけないわね。ケイトはどうする?」


爛々と輝く金の瞳が、こちらを見つめる。俺は、かすかな恐怖は断ち切り、問いに答えた。


「いくよ」

「そう。お願いね」

「ああ」


俺が魔狩りなんぞになったのは、成り行きでしかない。ただ、俺はこの日常を気に入ってしまったのだ。

そして、厄介なことに俺の日常は、この竜卿の隣にいないと成り立たないのだ。


「それじゃあ、さっさと出発したいところなんだけど」

「ええ」


え、なんで二人して俺のこと見てくるの?

ひょっとして、今さら俺は場違いだってここを追い出されたりする?


「明日の内覧会に出ないといけないから出発は明後日ね」

「え?」


この状況で、内覧会なんて参加する理由ないだろ。


「我が王からの、お達しでもあります。大弓が必要になりますので」


そうなの?


「ええ、何せあなたには白を使って貰うことになるからね」


俺にそう告げた竜卿の瞳は、複雑な色をしていた。

えー、武器内覧会編というタイトルでしたが、内覧会はすっ飛ばします

プロットぇ

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