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その十三

俺が今滞在している街は王都と呼ばれていることから想像できるとは思うが、王が住んでいる。

大氾濫の前の竜の巣で、アイシアとシノアがぼろくそに言ってたお歴々は王と知の貴族の事を指していた。

王とは、知の貴族の最上位者であり、武の貴族のトップであるアイシアと対をなす存在のことを言う。ある意味トップが二人存在するようなよく分からん構造になった歴史的な経緯は知らん。

まあ、取りあえずアイシア達武の貴族が、魔獣ぶっ殺せば人間生きていけるんじゃね?と方針を決めたように知の貴族は、じゃあこっちは頭悪いお前らの代わりに技術と政治やわ、と方針を定めたって感じだと思う、多分。


「なにを天井見上げてぶつぶつ呟いてるのよ……」

「ああ悪い、ちょっと現実逃避してたわ」


俺が今日この後しなければならない謁見とは、つまり王かそれに近しい方と顔を合わせなければならないということだ。正直、気が重い。

いやまあ、俺の隣で朝飯(二日ぶり)を食ってるこいつは、王と対等の女のわけなのだが。


「相手がお前みたいに脳筋ならなぁ」

「誰が脳筋よ」

「胸に手を当てて考えればいいんじゃねえかな」


肘鉄をいれられかけたので、その前に肘を押さえた。こんな感じなら自力でどうにかできるんだけどね。


「すぐに手を出してくるような相手なら楽なんだけどなぁ」

「なんか私が短気みたいに聞こえるんだけど」


短気だろ。


「知の貴族なんて、権謀術数渦巻く場所で生活してるやつらだろ?」

「最近の知の貴族は、そこまでガンガンにやりあってる連中ばっかりじゃないわよ」

「そうなのか?」


てっきりガンガン(毒殺、醜聞、色仕掛け)してると思ってた。


「考えてもみなさい、研究所の連中なんて人間よりも魔獣に興奮してるのよ?」

「興奮は言いすぎじゃねえか……いや、そうでもなかったわ」


そういえば、あいつら一応貴族の子弟が多かったわ。実力主義で、平民にも開けている機関なのだが教養とか財力とかで必然的に貴族ばっかりになってしまうのだ。特に、人類圏の最前線は人気らしくて余計にその傾向が強い。


「シノアもだけど、あそこの連中の家督争いは、どっちかというといかに面倒な仕事を他人に押し付けるかで揉めるらしいからね」

「うわあ」

「まあ、今日の謁見の相手は、普段からガンガンタイプの方だけど」

「だめじゃねえかよ」


いやだ、もうすでに怖い。

間違っても、遅刻なんかはしないようにしたい。せめて、気にさわるようなことはしたくない。


「そういえば、謁見っていつからなんだ?」

「さあ?相手次第じゃないかしら」

「は?」

「私も聞いてないのよ。取りあえず、うちに来るってことしか先方から聞いてないわ」


え、ここでやんの?

王城とかじゃなくて?

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