サハイテ防衛 顛末
大氾濫が終結してから、数日経過した。俺はというと、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぉぁぉぁぁぁぁぉ!!!!」
暇があるととにかく悶えている。
いやさ、何なのあのときの俺?誰だったのあれ。どういうテンションだったんだよ。「俺たちの勝利だぜ☆」じゃねえんだよ。
「あああああああ……………」
なんか、仕事に行くと、顔見知り達からは顔をそっと反らされるし。
お前らも、俺と一緒になってあばれてたんじゃねえの!?
「あーーーーーーー」
つーか、俺をあんなめに合わせた元凶のマッドまで、そっと目を反らすのなんだよ。お前の薬のせいだろうが!
あの薬の副作用は少しだけ本性が露になるだけなんて事実は、なかったんだよ!
「よし、ギルマスとマッドを殴りに行こう♪」
そのつぎは、あの時の俺を目撃した奴ら全員だ。返り討ちに合うかもしれないが、そんなことは関係ねえ。
武器として、鍋を引っ付かんで立ち上がる。
「さあ、行くぞ……」
『POPOPU』
「止めるな、鳩。俺は行かないとだめなんだ!」
『PO!』
「がはっ!」
え、うそ。なんで的確に鳩尾を狙えるの。
床に崩れ落ちて、痛みに悶えている俺に、鳩は読めとばかりに、足にくくりつけられた手紙を見せてくる。
「このくそ鳩……」
『PU』
鼻で笑いやがった。くそう、お前があからまさに竜卿の紋章が入った標を、首から提げていなければ。
『POPPO』
「こっちから読めってことか」
先に右足を差し出してきたので、結び目を解いた。差出人は、アイシアで間違いないとして、一体何のようだ。
『わろた』
ノータイムで破いた。あの女……!騎士団が派遣されたということで、当然だがこっちの出来事も全て報告されているんだろ。
つまり、俺は王都の連中も殴らなければならない……。
『POU』
「あの野郎、こっちも同じ様な内容なら、許さねえぞ」
先ほどの手紙とは筆跡が少し違うことに、疑問を覚えつつ文を目で追う。
『無事で何より。あと、前に言ってた武器内覧会のチケット確保したけど、どうする?開催は、四日後だけど』
「あー、そんな話もあったなぁ」
確か、先日の針集めの時の報酬だ。今回は、大氾濫が起きていたことから、どうなるかと思っていたが開催されるのか。
「返事頼めるか?」
『PO』
参加、とだけ書いた手紙をくくりつける。
さて。
「もう出発しねえと、間に合わないな」
次なる旅は、絢爛なりし王都だ。あと、サハイテよりも俺のあれなあれを知っている人は少ないはずだ。
ほとぼりを冷ますのに、丁度良いだろう。そんな、期待やら打算やら入り交じった気持ちで、慌ただしく旅支度を始めた。
あー、一応ギルマスに報告に行った方がいいか……。会いたくねえな……。
次章
ほぼただのラブコメ
しばらく更新するまで空くかも