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その二

太陽は、一番高いところにある。予想通りの頃合いに、馬が到着し各々が騎乗する。

俺達は、ここからノンストップで一日、アイシア達は何度か馬を代えて、一日半くらいかけて、各々の目的地へと向かう。そして、そこはきっと-。


「あ、言い忘れてたけどあなたのうちの調味料切れてたわよ」

「マジか、今度市場で買っとくわ」

「なぜ、このタイミングで言い出すのですか、アイシアさん……」

「この二人は、いつもこんなもんですよ」


生き残るためには、ちょっとした約束をしとくのは大事だぞ。まあ、何故に調味料とは思わなくもないけど。

さて、いよいよ分かれ道だ。


「じゃあ」

「ああ」


パチリとお互いの手を合わせる。もう互いの顔は見ない。ただ、前だけを見つめる。しっかりと、手綱を握った。


夜が明ける。一度も休息を挟まず、俺とカイはずっと馬に乗り続けている。サハイテに、確かに近づいていることがよく分かる。なんせ、


『『kyoaaaaaaa!』』

「ケイト、これ何体目?」

「さあ?」


俺たちは、騎乗したままで襲いかかってくる魔獣どもを迎撃しないといけなくなってきたからだ。カイが得物を振り回すと、肉が焼ける匂いと水音が同時に聞こえる。名前は知らんが、研究所が開発したの最新の槍らしい。なんでも、火属性の魔術機構を組み込んでいて、その力を利用して焼いたり切ったりするらしい。


「しばらく肉食えねえな……」

「何か言った?」

「これが終わったら何食おうかなと……カイしゃがめ!」


カイは間一髪で、飛びかかってくる魔獣を回避した。俺は、弓に手をやる暇もなかったので矢をそのままそいつにぶっ刺す。これは、四足類か。


「これ、生きてサハイテまで行けるか?」

「んー、到着できないと君アイシア様からぶっ殺されるんじゃないの」


それは非常に困る。


「じゃあ、こんなところで止まってる場合じゃないな」

「同感」

「派手に逃げるぞ」


そんなわけで、俺は数が心もとなくなりつつある煙石を一気に全部地面に叩きつけた。

基本的に、魔獣と普通の動物では、運動能力に関しては後者に軍配が上がる。ましてや、移動のために改良された馬ならば、追い付ける魔獣は限られてくる。だが、


「いけそうか?」

「でっかいのが一体飛んでる!」

「あれは、ヨルネズクか……?」

「ごめん、そこまで見えない」


空を飛ぶ連中、特に二翼二足類は別だ。空を飛ぶために、限界まで軽量化し羽一枚一枚が風を掴むのに特化した魔獣、それが今俺たちを追ってきている。

まだまだ先は長そうだ。

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