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その十二

竜という魔獣は、他の魔獣の様に分類付け出来ない。何せよく分からん連中が、全部放り込まれていて生態なんかはよく分かっていないときたもんだ。だから、空を飛ぶなら飛行型、水中にいるなら水中型という風にざっくりと呼ばれる。

そして、こいつらを相手取るときは、情報収集をしながら弱点を探っていく必要がある。

ここまでの戦いで分かったのは、こいつは多分陸上四足型で、非常に残念ながらこいつは俺のような弓使いの天敵だということだけだ。


「っし!」

『gooooooo』


一吠えで、砂が巻き上げられる。それは、俺から視界を奪い取り、さらには矢の威力を減衰させてしまう。そのため、


「またかよ、うぜえな!」


貴重な属性矢は、肉体に刺さらず、あるいは非常に浅くしか刺さらない。弱点を探ろうにも、どうしようもない。


「アイシアの方も、探ってくれてるはずなんだが」


やられたということはないと思うのだが、先ほどから姿が見えない。多分、俺から死角になっている場所に張り付いているはずだ。あいつばっかりに任せるというのも、情けない話だが仕方がない。俺は、それでも矢を放つ間隔は緩めることなく、


『go』

「くそがぁ!!」


属性矢がぼとぼと地面に突き刺さる。もったいないから、やめていい?


『gyoooaaa!!』

「はいはい、痛いねぇ」


なんやかんやで、矢が刺さるようになってきた。


「すげえ分かりやすいな」


こいつは、視覚でこちらを認識している。だから、単純な話やつの視界の外から攻撃すれば、矢は撃ち落とされない。

少しだけ引っ掛かることがある。魔獣は、どこかしら弱いところを補うように、別の何かが発達する。特に竜種は、それが顕著だ。その点で言えば、こいつは自らの弱点を補うための手段で、結果として自らの視覚機能も弱体化させてしまっている感じがある。


「んー、その割には苦手な属性はなさそうなんだけどなぁ」


何本も試した結果、目に見えてダメージを与えられた属性矢はなかった。あべこべというかなんか。

まあ、取りあえずこいつは、素直にぶん殴るのが早いということが分かっただけ、良しとしようか。もっとも、


「ダメージは、たまってんだろうけど……」


まだまだ元気そうだ。

突然、俺の視界から消えていたアイシアが、姿を現した。そして、何やら紙をヒラヒラと舞い上がらせた。俺は、無意識にそれを射ぬいてしまった。


「あっ」


やっちまった。だが、なんの為なのかは知らないが、数枚宙に放り投げているので一個くらいだめになっても良いだろう、と思いたい。

アイシアは、何を思ったか今度は、竜の背中によじ登り出した。そして、危なげなくそこに立つと、何やらジェスチャーをする。

手に何やら玉を持っていて、それを投げる振りをする。そして、その玉に反対の手が突き刺さる仕草をした。


「ええと、投げるから射ぬけ?」


多分あってる。違ったら、あいつのジェスチャーが悪い。

失敗したときの言い訳を考えつつ、いつでも矢を放てるように弦を引き絞っていると、今度はアイシアは背中から飛び降りながら、竜の横っ面を金棒で撲った。


『gyaaa!?』


結果として、俺の正面を向くことになった竜と、その真上に投げあげられた球体のもの。タイミングを計り俺は矢を放つ。

そして、命中したかを確認せずに、地面に伏せ目をつむる。あいつの事だから、多分あの球体も爆発するはずだ。

果たして、キュガッ!と意外と乾いた音を立てる。そして、すぐにズズズズズと大きなものが、地面に倒れ混む音がした。

恐る恐る目を開く。


「終わったのか?」


竜は、地面に崩れ落ちていて、そのとなりには俺に手を振るアイシアが立っていた。

えーと、何があったの?

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