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王都編:おうちにかえれない

ガタンと一度大きく揺れてから、乗り心地がかなりよくなった。道が良くなったのだ。王都が近づいてきたらしい。

今までの道も王都に伝わる道であったため、舗装はされていたのだが、修繕の頻度とかはどうしても、遠方にいくにつれて少なくなっていく。怠慢っちゃあ怠慢なんだが、人手が限られていたらそりゃ優先順位は、王都近くになるのも当然と言えば当然だ。

狩場から離れていくほど、人通りも増えてきてつまるところ、馬車やら荷車も増えてくる。


キキーッ!(わずかな隙間を狙って鋭角に曲がるユリア)

ゴンッ!(ギルマスが飛び降りて、ユリアに拳骨を食らわした音)


ええ……。



「ちっ」

「なんでお前が不機嫌そうなんだよ」

「危なかったの、私達だからね?」


この女に、荷車を引かせてはいけない。というか、どう考えても周りの人達も危ないからな?


「鋭角のユリアと呼ばれ、峠を攻めていた私にとっては朝飯前だと言うのに」

「何言ってんのこいつ」


結局、ギルマスの引率のもと緩やかに帰ることになった。そりゃそうだ。安心感が全然違う。


「んで、ユリア」

「先程の鋭角に曲がる方法についてか?」

「それはそれで興味はあるが」

「興味持つな!」


アイシアに太股をつねられて、やや涙目になる俺。

気を取り直して。


「なんで、お貴族様のお前らが、手ずから荷車引いてんの?」


どう考えても、こういうのは人夫とか下働きとか、いまいち詳しくわからんが、そういう連中の仕事だろう。


「今の時代、下働き雇えるほど裕福ではない貴族もいると言うことだ」

「嘘。 ギルマスの方はまだしも、ユリアの家がそんな状態なら、とっくに王都は滅んでるでしょ」


あぶねえ。一瞬信じかけたわ。その辺の知識ほとんどない庶民をからかうのよくない。

景色が変わってきた。

でっかい壁が見える。

王都についたらしい。


「そうだな。 真面目に答えるのなら、とあるイベントのために人手を割かねばならなくなり、信頼のおける者はそちらに全員回ってもらっている。 となると、後は最も暇をしている私とクリスが君たちをどうにかするしかないだろう」


イベント?


「…………もしかしてなんだけど、門を越えたら曲がることなく真っ直ぐの道を進む気?」

「安心しろ、今回はその手前が目的地になる」

「そういうことね……ひっそりやりたかったのに…………」

「そういうなアイシア嬢。 むしろ、こちらの方が静かになる。 妙な連中は入ってこられないからな」

「恩を売りつけにきてない?」

「いや、むしろ私もクリスも恩を返してる側だよ、今回は。 勿論、恩に着てくれるなら存分に着てくれて構わないが」


なになに?

なんの話?

お前ら貴族特有の大事なことをすっ飛ばして意味深な会話すんの止めてくれない?

多分俺当事者だと思うんですけど。

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