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帰ってきた王都編 その一

歳をとればとるほど、喧嘩というものはしなくなる、らしい。


『まあ……オレの場合はいらんこと言ってくるやつを全員ころ……ああ、なんでもないぞ』

『こわ』


師匠曰く、気の合わない奴は自然と遠ざけていくようになり、またどうしても気の合わない奴と関わらざるを得ないときは、波風を立てない方法を覚えていくからだそうだ。


『因みに、気が食わないから、ころそ……遠ざけようとしても、相手の方が強いときは』

『ババア、過去の所業を隠すつもりもねえのかよ』

『諦めろ。 まじで、どうにもならんから、本当に。 どうしてくれようか、あの無限増殖ジジイ…………』


今考えると、気に食わない奴って先代のことじゃんね。俺からみれば、普通に仲良しな気がするので、確実に素直じゃないだけなのだろう。


それはさておき。


「なあ、アイシア」

「どうしたのよ、お寝坊さん」

「俺の方が先に起きて、もろもろの支度してんだけどなあ」


私の方が目覚めていたのは早かったわよ、と金髪の同居人は答える。知らんわ。


「昨日、結局、イイトシしたオトナ二人の痴話喧嘩を止めずに帰ってきたわけだが」

「そうね。 そのせいか、何人かがこの家を見張ってるわね」


そりゃそうだ。今日も逃げられたら、あっちからすればたまったもんじゃねえし。


「あの二人って、別に気が合わないとかそういうあれじゃねえよな」

「そうでしょ、どうみても。……なんでまた急にそんなわかりきったことを?」


アイシアが、ボサボサの金の糸を櫛でとかしながらそんなことを、聞いてきたので俺はババアとジジイの話をした。


「あー………………まあ、相性云々は置いといて、あの二人に関しては拗らせてるだけでしょ。 いつも通り」

「そうだよな」


使い終わった櫛が、俺めがけて飛んできたのでキャッチして、その辺に置いておく。


「私が寝てるところまで持っていきなさいよ」

「しるか」


自分の物は自分でちゃんと管理しないさい。


俺達を見張っていた、魔狩りと職員達に声をかけてぞろぞろと会館へ向かう。


「きょ、今日はちゃんと、あの見るに絶えない喧嘩を止めてくださるんですよね!?」

「うーん、どうしてもっていうなら、実力で私達を拘束して…………冗談よ、本気にしなくて大丈夫だからね? 本当にごめん! ついていい嘘とダメな嘘ってあるわね、今のはなかったわごめんなさい!」


うーわ、職員泣かせた。竜卿が職員泣かせたー!

それにしてもである。


「アイシアじゃねえけど、俺達を拘束できそうな奴らは何してるんだ?」

「それが…………全員、氷漬けになりまして……」


拗らせ野郎どもをなんとか止めようとして、阻止されたそうだ。

物騒すぎるな。

つーか、会館は今どうなってるんだよ。


「二階はほぼほぼ機能停止です……」

「そりゃひどい」


つまり、ギルマスも完全に仕事放棄してると。


「これ、結局泣きを見るのは、ギルマスだよな……」


後々の残業とかで。悪いのはどう考えてもギルマスな訳だが。

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