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探索任務 顛末

「風呂……」

「ご飯……」

「お前普通にごちそうになってたじゃねえか」


よくよく考えたら、こいつ野生化はしてたけど、遭難は全然してなかったんだよな。


「お家のご飯……」

「誰も作る人いねえけど」


俺もアイシアも、絶賛馬車の上の人だし。


「あなたへの餌付け……」

「餌付けいうなし」


胃袋つかまれてる自身はあるが。


さすがに、歩いて帰るには距離があり、本気で急ぐなら走る方がいいのだが、そんなつもりは俺達には、というか俺とアイシアにはさらさらなかったので、ガタガタと馬車に揺られていた。

シノアとカイの研究所コンビは、さっさと槍に乗っかって帰っていった。「リミッターの外れたお二人を見るのは精神的にしんどいので……」とのことである。心外だ。

そういえば、当たり前に使っているけど槍に乗るって言い方はどうなんだろうか。というかあの槍、見るたびに機能も増えてる気がする。

機能が増えてるだけなら良いんだが、その度に巨大化してて、どうも重量も増えているようなのだ、地面の陥没具合からして。あんな槍、もうカイ以外に使える奴いねえだろ。


「特注……なんじゃ……ない?」

「まあ、それもそうか」


設計、出資は、ほぼ全額シノア持ちらしいし。自分自身の騎士様への、贈り物という感じなのだろう。それであるならば、まあ、特注になっていくのも、仕方がないか。

それはそれとして。


「お前、眠そうね」

「んー…………」


俺の声も、子守唄になっているのか、カックンカックンと頭が前後に揺れている。アイシアの肩に手を回して、頭を俺の肩にもたれかからせた。


「ん……」


アイシアは少しだけもぞもぞと頭の位置を調節して、すぐにくうくうと穏やかな寝息を立てる。それにつられたのか、俺も盛大なあくびが出てしまう。


「俺も寝るか……」


目蓋を閉じれば、すぐに眠気がやってきた。


「帰ってきたぞー」

「帰ってきてしまったわね……」


ほどよい睡眠の後に、無事に会館へと戻ってきた。俺のようやく家に帰れるという晴れ晴れした気持ちとは逆に、アイシアはいささかどんよりした感じだ。


「どうした?」

「説教……べつに、説教されるのは仕方ないって分かってるし、それがギルマスの仕事だからむしろ仕事を増やした私が悪いのも分かってるけど、今から説教はやだおうち帰るもしくは森に帰る……」


諦めろ。まあ、でも。


「安心しろ、アイシア」


お前が説教されている間に。


「俺はお前の分も、我が家を満喫しとくから」

「殺す……!」


殺意の引き金軽すぎん?


などなど、俺はうきうきで、アイシアはげんなりとした気持ちを抱えつつ、じゃれあっていたら。


「あ! ケイトさんと、アイシア様だ!」

「まじだ!」

「捕まえろ! 逃がすと、この事態を収束できる人間がいなくなる!」


ワラワラと会館にいた連中に囲まれた。

えー。


「なんか、つい最近もこんなことあった気がする」

「そうなの?」

「お前のせいだよ、そん時は」


アイシアは、目をそらした。そんな俺達のやり取りは、当然のごとく無視されて。


「ギルドマスターとユリア様が、見るに耐えないケンカをしてるから止めてくれ!」


………………。


「やだ!」

「おうちかえる!」


イイ歳したオトナのケンカなんかに巻き込まれたくねえ!

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