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異端の魔人  作者: 狐野柄
第二章:悠遠な約束と英雄たちの帰還
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幕間② 『それぞれの思い』

 自宅での待機命令を告げられた戦闘部隊は、今回の件を頭でかけ巡らせていた。


「なぁ、イブ。僕たち、救えたのかな。リョウさんを。」


「さぁな。私にはわからん。」


 部屋でカズユキはイブにそう聞いた。


「もっと強かったら。僕たちがもっと強かったら助けられたのかな。」


「さぁなぁ。私は強いからわからん!」


 イブはいつも通り強気にそう言った。自分は強いから大丈夫。そう言っていた。


「僕さ。弱いんだよね。まだ15だし。強くなりたい。もっとたくさんの人を守れるようにさ。」


「なるほどのー。カズユキは確かに弱い。だが、心は強いと思うぞ。」


「心?」


「そうじゃ。確かにあの男が死んだ時お主は動揺していたが、涙を流さなかったじゃろ?それは心が強くなった証拠ではないか?」


「・・・。」


 カズユキは思い返すと、確かにそうだった。今回の件だけではなく、ランドマークタワーでイリミとルカが死んだ時も泣けなかった。たしかに心苦しくはあった。ただ、涙ひとつ流れなかったが。そして、リオンと別れてからも流さなかった。


「そっか・・・。」


 カズユキは理解した。出来てしまった。知らない間に、心も体も少しずつであるが魔人となっているのではないかと。そう思った。


「どうしたのじゃ?」


「いや・・・。なんでもないよ。」


 カズユキは立ち上がり、家を出ようとした。


「待つのじゃ。カズユキ?どこへ行くのだ?」


 イブが出ていこうとするカズユキの手を掴みその足を止めた。そして、カズユキは一言だけ呟いた。


「強くなりに行く。」


 そう言い、イブの手を置いてドアを開け外へと向かった。本部へと向かった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ーーーーガチャッ



「ん?カズユキか。どうした?」


 レンの居る資料室へとカズユキは入った。レンは今回の件のまとめや情報を探ったりとしていた。


「レンさん。僕を・・・鍛えてください!」


 カズユキはレンを見るなりそう伝えた。頭を深々と下げてお願いした。


「ちょちょ。ちょとまて。どうしたんだ急に。」


 突然のことにレンも驚いた。いきなり現れるなり頭を下げて鍛えてくださいと言われればそりゃ驚く。


 カズユキは事の経緯を話した。


「なるほどな。」


「おねがいしま・・・」


「断る。俺は弟子をとる主義はない。」


「えっ・・・」


 カズユキは意外な答えに狼狽えた。カズユキは今すぐにでも力が欲しかった。この魔人の力を使いこなすためにも力を求めた。


「どうしてもと言うならここに行くといい。」


 レンはカズユキに紙を差し出し、それを手に握らせた。


「これは?」


「『魔人闘技場』そこなら修行にもなるだろう。強い者たちや君のような半魔もいるかもひれない。まぁ、言うなればそこにイブが沢山いると思え。」


「イブがたくさん・・・っ。」


 カズユキは顔真っ赤にして、頭から煙を出した。


「とにかく、俺はカズユキを鍛えさせることは出来ない。かと言って放っておくというのも嫌だから提案した。参考までにだ。」


「え、えっと・・・」


「俺は調べ物もあるし、書類をまとめなくては行けない。アンズさんに頼まれてんだ。アンズさん今日から出張だしな。」


 レンは立ち上がり、先程の作業を再開した。


「え!?アンズさんどっか行くんですか?!」


「あぁ。仕事の用事でここ東京から少し離れた場所にな。」


「それって・・・どこに?」


 レンはそこまでは知らないと首を振り、カズユキを仕事があるからと言って資料室から追い出した。


「ふぅ。俺は俺で奴らについて調べないとな。アンズさんはしばらくいなさそうだし。本部は俺とミレイとテツでなんとかしなきゃな。」


 そう独り言を呟きレンは作業を再開した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「『魔人闘技場』か。ん〜。一人でいくか・・・どうするかなぁ・・・」


 カズユキは考えながら警察署内をウロウロしていた。そこへ、カズユキへと声をかけた人がいた。


「よっ。」


「うわぁぁっ!?」


 カズユキは驚いて振り返るとそこには、キサメが居た。


「どうしたんだよ。そんな驚いて。ん?」


 キサメはすぐにカズユキの持つ紙へと目がいった。『魔人闘技場』その場所の記されたメモ。それを見てキサメは小言を呟いた。


「そっか。アンズさんの言う通りだったって訳ね。」


「ん?何か言いました?」


「んーや、なんでもないよ!それより、カズユキ。そこ、一緒に行かないか?」


 カズユキへとキサメはそう提案した。キサメも鍛えたい身であったために好都合だった。


「キサメさんが?一緒に来てくれるんですか?!僕なんかと?!」


 カズユキは驚きを隠せなかった。まさか、向こうから声をかけてくるとは思いもしなかったし、自分といってくれるなんてもっと予想外だった。


「なんだ?嫌なのか?」


「いやいやいやいや!!むしろ!お願いします!」


 カズユキも1人では心細かった。


「なら、話しは早くだ。行こう。『魔人闘技場』へ!」


 キサメはカズユキの手を取り、警察署を出た。






 カズユキの物語は『魔人闘技場編』へと進める。




幕間② 『それぞれの思い』(完)

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