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異端の魔人  作者: 狐野柄
第一章:継承の魔人
3/42

第3話 『半魔の子』

2021年は更新頑張りたいと思います。


1/1 0:00から投稿スタートしました!


新しく戦闘物が書きたいとなり、

書き始めました。気軽に始めました。

のんびりと更新していくので、

末永くよろしくお願いします。

真夜中の星が綺麗に光っているなか、

少年と黒服の男は話していた。


「そういえば、君の名前はなんて言うんだ?」


「僕は、モノシロ カズユキっていいます。」


「カズユキ君か、いい名前だな。母親がつけたのか?」


「はい。父さんと母さんから貰いました。」


モノシロ カズユキ。

彼は、現在1人でこの家に住んでいた。

両親は共に不慮の事故で亡くし、祖父や祖母も

既にこの世を去っていた。

少年は、親戚や近隣住民の力を借り、何とか今日まで生きのびていたのだ。


「貴方は・・・?」


「レン。ミカミ レンだ。」


「レンさん!よろしくお願いします!」


カズユキは手を差し出した。


――――・・・。


それを見たレンは、過去のことを思い出しながら

その手を握った。


「よろしく、カズユキ君。」



――――ピピッ



「お・・・。」


レンはそっと立ち上がると、口を開けこう言った。


「君を、特殊警察本部へ連れいく事になった。」


「僕を・・・?」


「あぁ。アンズさん・・・。いや、上司が、君をよく見てみたいってさ。」


「僕は構いませんよ。」



――――数分前――――



「と、言うわけなんです。」


アンズ管理官へ、先程あった出来事を一から説明した。小規模な戦いがあったこと、少年のこと、継承の魔人のこと。


「なるほど・・・。その少年は今どうしてるの?」


「はい。今は大人しくしてます。」


カズユキは静かに夜空を舞う星を観察していた。


「なるほどね。少年が身体の所有権を持っている時は害はなくただの子供。ただし、継承の魔人が身体の所有権を持った場合には暴れかねない。継承の魔人の時の記憶は彼には全くないの?」


「いえ、彼は見ていたが頭の中は真っ白だったって言ってます。」


カズユキは、先程の戦闘を目で見ていただけであり、自身で身体を動かし、考えることまではできていなかった。


「わかったわ、彼をここへ連れてきて。私の目で見て判断します。」


「本部へ?!いいですか?!」


「えぇ。私が決めます。彼を『殺す』か『生かす』か。」



――――現在――――



「協力感謝する。」


そういい、レンは手錠を出し少年の手へと付けた。


「あの、これは・・・?」


「すまないな。もし、また魔人が暴れても大丈夫なように念の為だ。」


カズユキは、少し不満そうにしたが納得し、レンへとついて行った。



―――おい、ガキ。


「え・・・?」


―――おっと、悟られないように話を聞けェ。


「ん?どうした?」


カズユキは、レンにそう問われると、いいえと首を振った。

カズユキの脳内には魔人の声が響いた。


――――お前、このまま奴に着いていけば間違いなく殺されるぞ?いいかァ?


「・・・っ!」


少年は足を止めた。


「・・・?」


――――さっきの通信、我にはハッキリと聞こえていたさ。お偉いさんが、お前を殺すか生かすかを決める。そう聞こえたさァ。


「どうした?カズユキ君。」


レンは少し怪しい目で見ていた。


「と、トイレ!トイレに行きたくて!」


咄嗟に出た嘘だった。

バレれば確実に切られる。

そう考えていた。


「なんだ。トイレか。トイレならすぐそこだ。待ってるから行くといい。」


「ありがとうございます!」


そう言われると、カズユキは颯爽とトイレへと向かった。


「ああ、カズユキ君!」


「はい!」


カズユキが足を止め振り返ると、


「・・・っ!」


刀を片手にしたレンが居た。


「魔人にも忠告をしておく、聞いているならな。少しでも逃げようなどの真似をしたら切る。」


そう低く呟いた。


「そ、そんなことしないよ!」


そういい、止めていた足をトイレへとは知らせた。


――――おぉ。怖い目をしていたなァ魔人狩りめ。


「いいから教えろよ!どうしてこうなったのか、どうして、死ぬのか生かされるのか決められるのかを!」


――――あぁ、教えてやる。だが、教えてやる代わりに条件を設けよう。


「はぁ?」


――――我が貴様の身体の所有権を自由にできる。という条件だ。


「断る。」


――――な。


魔人の考えていること。

そんなことは明白だった。

カズユキでもわかるくらいに。


「僕の身体を自由にさせることは出来ない!そんなことをして僕が人を殺したら僕が人殺しになる、そんなの嫌だね。」


――――あぁはいはい。それじゃあ、"人"は殺さん。それでいいだろう。


「分かった。ただし、僕が返せと言ったらすぐに返せ!」


――――わかったよ。


「よし、じゃあ教えてくれ。」


――――まず、我が貴様の身体の乗っ取りを完全に出来なかったことについてだ。


そこからは、長々と経緯について語られた。

継承の魔人が上手く乗っ取れなかったこと、

それは、レンとの戦いでの消耗とダメージの蓄積、その両方が大きすぎたためであるのと同時に、

腕にしか意識がなかったからであった。


「なるほど、だから腕だけ僕の家に・・・。きもっ。」


――――失礼なクソガキだなァ。んで、生きるか死ぬかのことだが、魔人狩りはお偉いさんにこう言われてた。

『えぇ。私が決めます。彼を『殺す』か『生かす』か。』とな。

恐らく、お前が上手く我を抑え込めず、暴走させると断定された時点で死刑だな。


「なっ!それは困る!」


――――我も困る。


継承の魔人にもそれは不都合だった。

前回とは違い、身体が完全でない為に、

次への乗っ取りが出来ないためだ。

継承できなければ、魔人も死ぬ。


「僕は頑張る。」


――――まあ、その辺は我も協力するさ、我の為にな。そして、生かされた場合だ。お前はおそらく、特殊警察官への加入を求められるだろう。


「な、なんで?」


――――当然だろ。お偉いさんにも、魔人狩りにも監視される。いつでも殺せるようにな。

暴走した時点で切られる。それだけだろ。


「なるほど・・・。警察官・・・。」


――――なんだ不満なのか?


「・・・・。」


カズユキには夢があった。

何にも縛られずに、平凡に生きる。

その為に、収入もいい公務員になる。

市役所かなにかになって、平凡な暮らしをする。

それが夢だった。なのに、警察官しかも特殊警察官。平凡とはまさに程遠い存在になろうとしていた。


――――なあに。我の為に貴様は生かしてやる。もし、死刑宣告されたら、我に身体を一時的に譲れ。逃がしてやる。逃げて生き続けるのだ。我と共にな。どちらにしろ平凡なんて無理だ、諦めろ。そうだ・・・、先に行っておくぞ、――――――――――











カズユキはレンの待つ車へと向かった。


「長いトイレだったな。」


レンの元へとカズユキは戻ってきた。


「はい。大きい方だったので。」


そう言うと、レンは車に乗りこみ、カズユキと共に特殊警察本部へと向かった。




――――東京 特殊警察本部 管理室――――



「失礼します!」


レンとカズユキは管理室へと入った。

そこには、アンズ管理官が座ってこちらを見ていた。

その目は少し怖くもあったが、なぜか安心もしていた。まるで、天使と悪魔の狭間に住む者のような瞳をしていた。


「君が、話に聞いていた半魔の子だね。」


ニヤッとしながら、カズユキへ話しかけた。




第3話 『半魔の子』(完)

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