第2話 『新たな依代』
2021年は更新頑張りたいと思います。
1/1 0:00から投稿スタートしました!
新しく戦闘物が書きたいとなり、
書き始めました。気軽に始めました。
のんびりと更新していくので、
末永くよろしくお願いします。
大量の血の量。
開いた腹部の穴。
少年の意識はなかった。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
――――8月1日 深夜――――
――――東京 特殊警察本部 管理室――――
管理官の前にレンが立っていた。
緊急に呼び出されていたのだ。
「お疲れ様です。アンズさん。今回は一体何が・・・。」
前回の緊急招集からまだ1日しか経っていない。
「今日休みだったのにごめんね。」
「いえ。問題はありません。」
「ほんとに~?彼女さんとかいたら悪いなぁって思ったのよ。」
ニヤニヤしながらアンズは冗談交じりにレンへ問いかけた。
「俺にそんな人いないので大丈夫ですよ。俺にあるのは魔人を狩る。
ただそれだけですよ。あなたに出会ってからは特に。」
そう、静かにアンズへと返した。
「そんなレン君に、お知らせよ。」
アンズがそういうと、レンは首を傾げた。
「継承の魔人の発見と居場所の特定。」
「!?」
その言葉が出たとたんに、レンは目を見開いた。
すぐに行くといわんばかりにせかすような態度も出ていた。
ミカミ レンという男は、ひどく魔人に執着している。
いや、彼の家計と過去がそうさせていたのかもしれない。
ミカミ家は、代々から魔人を狩る一族だった。
父である『ミカミ ケイイチ』はその中でも、秀でてるような存在。
母である『ミカミ ユイ』は持病ですぐに他界してしまう。
そこから父はさらに、レンに自分の思想を抱かせていた。
レンは、兄よりも何もかも才能が上だった。
そのために、兄はすぐに家を出て、レンは魔人狩りの道へと進んだ。
「先日のリベンジよ。レン君。彼の居場所を伝える。早急に駆除を試みてみて。」
「了解です。先日の失態は今日、なかったことにします。」
そういうと、そそくさと部屋を出て準備を始めた。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
――――東京 渋谷地区 とある一軒家――――
「ん・・・。あれ・・・?」
少年は目を覚ますと、暗い部屋の床に倒れていた。
「あれ・・・?僕一日中寝てたの・・・。あ!!」
思い出したかのように、昨日の空いた腹部を確認した。
だが、なにもなかったかのように穴はなく、痛みもなかった。
ただ少し、血が足りなくふらふらとするくらいだった。
――――ピンポーン。
こんな夜中に誰だろう、そんな思いで玄関へ近づいた。
少年は嫌な予感がしていた。
なぜかわからないが、そんな予感がしていた。
――――ピンポーン。
二度目のチャイムが鳴り響いた。
「は、はい。どなたですか・・・?」
少年の目には、
見覚えのある老人だった。
「おぉ。カズユキ君や。今晩、ワシの孫が作った
料理のあまりじゃが食べるかと思ってな。」
隣に住む、木村のおじさんだった。
少年は少し安堵した。
「今開けますね。」
――――ガチャッ
少年はその鉄の扉に手をかけ
ゆっくりと扉を開けた。
「どうも。いつもありがとうございま・・・」
「失礼。」
突然、おじさんの横から黒い服を着た
警察官に声をかけられた。
それは、レンだった。
「え、あなたは・・・。」
(・・・。少年・・・?)
「すいません。こーいうものですが。」
レンは胸ポケットから警察手帳を取り出して見せた。
「特殊・・・警察官?!」
少年は、何故と言わんばかりに困惑した。
「そうだ。緊急通報のためここへ来た。」
「ちょ、なんのことかわからないんですが・・・。」
「用があるのは、君じゃない。ここにいる魔人にようがある。」
「はい?」
少年は、レンの言っていることが理解できなかった。
(魔人の気配が微弱にしか感じない・・・?残り香か?)
「少年。ここに魔人を匿ってなかったか?」
「魔人・・・?」
レンは少年の目を見た時だった。
「・・・?!」
少年の目は、まるで先日の魔人の瞳のようにな色へと変化していた。
「よォ。先刻は世話になったなァ。魔人狩り。」
「おま・・・!」
レンの目の前には、先程の少年の姿をした、魔人だった。
――――ドガッ!!!!!
「ッッ!!」
レンは、思い切り魔人に腹部を蹴られ玄関から一気に吹き飛ばされた。
「うむ。この身体は前の身体より動けるなァ。」
塀に叩きつけられたレンは、
目をゆっくりとあけた。
「く・・・。」
「さぁさぁ。リベンジマッチと行きますかァ。」
継承の魔人は優雅にレンへと近づく。
「おぉ?もうおしまいかい?魔人狩りさんよォ。」
「・・・!!」
レンは魔人を睨め付け、刀を抜いた。
子供だろうが中身は魔人。
そう胸に言い聞かせ、魔人へと立ち向かった。
――――カンッッッ!!!!
レンの振り抜いた刀は継承の魔人により弾かれた。
刀の軌道を変えられたのだ。
先日は、すぐに断ち切れたはずの腕に弾かれた。
レンは驚き、一瞬身動きを取らず、相手の攻撃に
備えることが出来なかった。
――――ドガァッッッ!!!!
継承の魔人の拳はレンの横腹へと突き刺さる。
「ガッ!!!」
「おォ?」
継承の魔人。
彼は人の体に乗り移り、
その体を乗っ取って生き長らえる魔人。
そして、力は他の魔人よりか上。
ただし、その依代に比例するのだ。
「先の身体は30半ばの男だった。この男はまだ15と聞く。若くて強いからだに育つなァ。」
そう語る間に、少年の髪の毛はみるみるうちに、
継承の魔人の前の身体、その時のように白髪へと変化していた。
「なるほどな・・・。子供の身体だと舐めてかかるとこちらが死ぬというわけか。」
「アァ。だが、時間が無いのだよ。我はこの身体をまだ完全に乗っ取れてないのでなァ。短期決戦と言うやつだ。」
そう言い、勢いよくレンの前へと迫る。
レンはそれに反応し、その列車の如く迫る魔人を
刀で受け流そうとした。
――――キィィィィン!!!!!!
刀は魔人の拳とぶつかり合う。
「先刻の貴様より、弱くなってないか?」
「くっ・・・!!!」
「あぁ。違ったわ。我が成長してしまったのだな。」
その拳は刀とレンを弾き飛ばした。
「くっ・・・!年齢でそうも強さが変わるのか・・・?!」
そう思考をしている間もなく、魔人は目の前に現れる。
「我も先刻は思考をした。だけどな、そんなことしてても相手は攻撃をやめないことを覚えたのだ。」
――――ドスッッッッ!!!!
重たい拳がレンの腹部へ降り注いだ。
「ッッッ!!!」
「よいよい。まだ死ぬなよォ?」
――――ドガァッ!!!!
「ッッ!!」
声にならない唸りと共に住宅地の屋根へと突き飛ばされた。
(だめだ・・・!このままだと、奴にやられる。だがなんでだ。最初はほぼ感じられなかった魔人の気配が強く出ている。完全ではない。そう言ってたっけか。なら・・・。)
レンは屋根の上に立ち、刀を収めた。
「・・・?」
不思議そうに魔人はレンを見つめ言った。
「おいおい。もう降参かァ?魔人狩りの名が泣くぞォ?」
その言葉を聞かずに、レンは大きく息を吸い言った。
「少年!!意識があるなら返事をしてくれ!!目を覚ますんだ!!」
魔人の中にいる少年。
その子に声をかけていた。
まだ、彼は生きている。彼の魂はまだ、身体にある。
そう確信していた。
「そんな化け物に負けるな!少年!!起きろ!!」
「おいおい。コイツは今、俺の意識下だ。無駄なことをす・・・」
何か魔人が言ってるうちに、魔人は目をつぶり眠りに落ちた。
「・・・ん。」
少年の髪色は白髪のままだが、
瞳の色は紛れもなく、黒色を取り戻していた。
「さっきの子か・・・?」
「あれ・・・?警察官・・・。ってここは?!」
紛れもなく、少年だった。
「よかった。」
「どうしたんですか?僕に呼びかけてたみたいでしたが・・・。」
「いや・・・。」
レンは思った。
この子を帰せば、また魔人が乗っ取り暴れる可能性がある。かと言って何も知らない子を殺すわけも行かない。そう考えていた。
――――ピッ
「あら、レン君?魔人は倒せたの?」
通信機を取り出し、アンズ管理官へと連絡を始めた。
「いえ、まだここにいます。ですが、先日の魔人とは様子がおかしくて・・・。」
レンは、この状況を一から説明した。
正直のところ、レンにもまだ曖昧なところがあった。
魔人に乗っ取られても、人としての意識がある。
そんな存在を見たのは初めてであったのだから。
第2話 『新たな依代』(完)