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蜃気楼  作者: ことり
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5

昼休みが終わり、席に戻ると机の上に付箋が貼ってあった



  お渡しする書類がありますので、お時間のある時に

  総務課 松岡までお願いします


                       総務課 松岡



いかにも女性らしい達筆で書かれた付箋を眺めていると、俺の斜め前に座っていた女子社員が

「あぁ、それ総務の人からメモ渡すように頼まれたんですよ」


奥野さんがひょいと付箋を覗き込む


「松岡さんじゃん!良かったな」


良かった?何が?


そんな表情をしていたのだろう。

奥野さんが教えてくれた。



「松岡さんな、うちの会社一の美人。

仕事出来るし、気配りできるし、狙ってる奴多いんだよ」


「へぇ。まぁとにかく後で総務行きますね」



美人で字が綺麗な松岡さん

別に気になるとかではないが、興味はあった。


 

奥野さんは早く俺を総務へ行かせたがっていたが、課長から呼ばれて仕事の説明を受けていた。


課長から解放されたのは午後2時過ぎだった。

そろそろ総務へと思っていたら、次は別の社員に呼ばれて説明を受けていた。


やっと終わったのは午後4時を過ぎていた。

さすがに行かないとマズイと思い、総務へ行く。


総務課の扉を開け、「あのー」と声をかける。

一斉にこちらへ向けられる視線。


続けて「松岡さんは…」

そんなの、わざわざ聞かなくても分かる。



  会社一の美人 



一目で分かった。


透き通るような白い肌に、染めていない真っ黒のストレートな髪

目はパッチリと大きく鼻もスッと通っていて、ふっくらとした唇。化粧はおそらく薄くしているのだろうが、それでも彼女の美しさを引き立てるには充分だ


  確かに凄い美人



思わず見惚れていると、松岡さんが立ち上げってこちらへ来た


「嶋本さんですね、こちらの書類です。

必要事項を書いて、今週中に私の方までお願いします。

押印忘れないでくださいね」


そういって封筒を渡された。


近くで見ると、ますます彼女の美しさが分かる。



こりゃ、たしかにみんな黙ってないだろうな



奥野さんの言いたいことが分かった。




席に戻ると奥野さんがニヤニヤしていた。



「どうだった?松岡さんは」


「確かに凄い美人でしたね」


「だろ?会社の中だけでなく、取引先の方からも声かけられてるらしい」


「恋人はいないんですか?」



と聞いて、しまった、今の発言はセクハラかプライバシーの侵害かもと焦ったが、奥野さんは気にもしていないようで、「それがフリーなんだよ」と教えてくれた。


さらに、先程付箋を教えてくれた女性、大野さんが「けど、会社の外にすっごいイケメンのエリートの彼氏がいるって噂ですよ!本人は否定してますが!」と興奮している


どうやら、人の噂が好きな人達なようだ。


「けど、いるんじゃないですか?いないって言ったほうが都合がいい事もあるでしょう」




俺は知っている。


決して女の言う事を鵜呑みにしてはいけないと。


自分のためなら平気で嘘をつく。


平気で裏切る。


平気で好きでもない男と寝る。



「大人しそうな顔の人間に限って、つく嘘って残酷ですからね」







「嶋本さん、昔になんかあった?」






「いいえ。一般論ですよ」





大野さんと奥野さんが顔を見合わせているのを横目で見ながら、

俺は届いたメールのチェックをしていた。


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