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ハミルの八百屋

外の陳列とは違い、店内には所狭しと見た事もない野菜が沢山あった。


「すごい…全然見た事がないものばかりだわ。」


「本当だね。僕も噂には聞いていたけど、初めて店に入ったんだ。」



「こりゃ、すごいな。味の想像が全くつかない物ばっかりだ。」


トーマスも珍しくキョロキョロしていた。


すると、店の奥から誰かが声をかける。


「これはこれはいらっしゃいませ。」


奥から出てきたのは、白髪の女性と身体の大きな男性だった。


「やぁ!ハミルさんお邪魔するよ!」


「ハンプトン様にお越しいただけるとは嬉しゅうございます。」


ハミルと呼ばれた女性は、ハンプトンに頭を下げた。


「これは、息子のミゲルでございます。」


ミゲルは大きな身体を折り曲げて頭を下げた。


「急にお邪魔してすまないね。こちらのお2人はクリムト公爵ご子息のトーマス殿とユリア夫人だ。」


トーマスとユリアは、ハミルとミゲルに頭を下げる。


すると、ハミルがユリアの顔をじっと見ている。

その事に気づいたユリアが自分の顔を触ってみた。


「あ、あの…何か顔についているでしょうか??」


「これは、申し訳ありません。あの…もし人違いでしたら…ごめんなさい。」


「はい?」


「貴女は、ユリア・エスターク様ですか?」


「あ!はい!そうです。でも、今は結婚しましたのでユリア・クリムトなんです。」


すると、ハミルは驚きで足元をふらつかせながら言った。


「やはり!こ、これは白金の魔法使い様!」


そう言いながら、ハミルは跪いた(ひざまずいた)。

ユリアはいきなりの事に驚いてしまう。


「白金の魔法使い様にお会いできるなんて!私は幸せでございます。」


「あ、あの!やめて下さい。」


ユリアはハミルの手を取り立たせる。

ハミルはユリアに深々とお辞儀をし話し出した。


「私は、元々王宮魔法使いをしておりました。」


「そうだったんですね!」


「はい。王都に住む昔の仲間からの手紙にユリア様の事が書いてございまして。ユリア様のお名前とご結婚され公爵家夫人になられた事を知りました。このようにお会い出来るとは…。」


ハミルはそう言いながら涙を流した。


「そんな…私はまだまだ魔法使いとしては未熟者ですので。そんな風に言われると身の置き場がありません。」


その様子を見ていたトーマスが言った。


「ユリアは自分が思っているより沢山の人に知られているんだよ。この国には白の魔法使いは君だけだ。」


「そうだよ。しかも、王様から直々に白金の称号をいただいた大魔法使い様だよ?」


ハンプトンはそう言って笑った。


「もう!2人して!止めてくださいよ。」


そんな話をしていると、ハミルも少し落ち着いたようで話に入って来た。


「こちらにはご旅行ですか?」


「そうなんです。それと、少し知りたい事もありまして。」


「知りたい事?」


「はい。私は王都に小さなカフェをやっていたのですが、結婚後に新しく改装して再開する予定なんです。珍しい物を色々扱えたらいいなと思って…この辺りは異国の物も多く入って来るとお聞きして。」


「そうですね。このお店にも沢山ございますよ。」


「その様ですね!ハミルさん、色々教えていただけませんか?」


「私がですか!そんな恐れ多い!」


ハミルは両手を振って後ろに下がる。


「いいじゃないか。私からも頼むよ。」


ハンプトンは、ユリアの隣に来てハミルを見た。


「是非、お願いいたします。妻に教えてあげてくださいませんか?」


トーマスもユリアの隣に来てハミルを見る。


3人からじっと見つめられたハミルは何度も目を瞑ったりしながら考えている。


「分かりました…。お力になれるか分かりませんが。」


ハミルは3人に押されて、ようやく頷いた。




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