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【本編】お疲れ様、いただきます【完結】  作者: 山西音桜
first season
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「いつか二次元で嫁にあった時に英語がしゃべれないのダメかなと思って」前編

 本日、バイトが休みなので、アーサー君と夜のお散歩しにショッピングモールへ。

 暇だし、アーサー君が家の本全部(BL本以外)読み終わっちゃったらしく、私も洗顔とボディソープとか切らしてたので、その辺を買いに行こうということになった。


「アーサー君、そこ英語勉強のコーナーなんだけど」


 イギリス出身の吸血鬼が、いったい何を勉強するというのか。


「いや、お前の所にいろいろあったから見てるだけだ。日本人は何で英語勉強するんだ?」

「大体の人は義務だからだね」

「お前は?」

「いつか二次元で嫁にあった時に、英語がしゃべれないのダメかなと思って」

「まず、二次元に行けるようになろうとは思わなかったんだな?」


 私は死んだら二次元という天国に行けると信じてます。

 根拠はないけど。

 でも嫁に会えた時の為だけに勉強して、学位もいただいたので、いいんじゃないですかね。


 とか、そんな会話をしつつ英語勉強コーナーから洋書コーナーへ移動。

 うちにある洋書は「人吉さんあげる」って教授からもらったり、大学の教科書だったりしたものだけど、それなりにアーサー君の暇つぶしに役だったらしい。「久しぶりに英語みたな」って、ちょっと嬉しそうだった。


「みなみん??」


 洋書をどれにしようかと悩んでいたら、声をかけられた。

 この呼び方をするのは一人だけだ。


「蛍ちゃん、と夕夏ちゃん!?」


 春野はるのほたるちゃんと早水はやみず夕夏ゆうかちゃん。

 アルバイト先の後輩二人だ。

 彼女ひとりだけだと思ったら、まさかこんなところで会うと思ってなかったというか、休日に一緒に行動しているとは思えない二人が一緒に行動してたものだから、つい声が大きくなってしまった。


「何故私を呼ぶときだけ声が大きくなったのか、説明を求めます人吉さん」

「あ、ごめん。まさか二人が一緒なんて思わなくて」


 蛍ちゃんは私と同じアニメや漫画のオタク趣味。

 夕夏ちゃんは日本とフランス人のハーフで、日本オタクというか、日本の小説や文化には興味津々だけど、アニメとかライトノベルなどはあまり興味を向けたことがなかったらしい。蛍ちゃんや私、あともう一人オタクの國橋君に「アニメや漫画も立派な日本の文化だ」と説得されて「そうなのか」って本気で返すような子だ。


「國橋も一緒だよー。ところでみなみん」

「はい」

「隣のレオン似の人は誰!?」


 レオンって誰やねん。


「蛍ちゃん、誰のこと?」

「え、だから隣の」

「そうじゃなくてレオンって誰」

「ああ、そっか。みなみんは見てないんだよね、『ムーンライト』」


 レオンは『ムーンライト』の主人公の友人らしい。タイトルは聞いたことあるけど、所謂『俺TUEEEE』系だそうなので私は見てない。

 私は主人公が問題のほとんどを解決してしまう『俺TUEEEE』があまり好きではないので、その辺のアニメも好きな蛍ちゃんとは好きなものが被ってることが少ない。まぁ少しはあるから、その辺で盛り上がるんだけど。


「こちら、私の同居人のアーサー君」

「彼氏でなく?」

「同居人」

「恋人ではなく?」

「同居人」

「愛人ではなく?」

「同居人」

「アベックではなく?」

「同居人」

「二人ともしつこいですよ」


 私は問いかけに答えてるだけなので、私もしつこいと言われるのは納得がいかないです。撤回してください夕夏ちゃん


「失礼ですが、質問よろしいですか?」

「え、うんいいよ?」


 相変わらず夕夏ちゃんは真面目だ。いちいち言わなくても質問くらい受け付けるのに。


「お二人はどちらで知り合われたのですか?」

「ん? 大学時代ホームステイしたって話しなかった?」

「ああー、してたしてた。それか」


 アーサー君のバイト先での設定は、私が大学時代ホームステイした先の友人で、日本に移住してきてそれでもって職を失って私の部屋で同居しているというものだ。

  

「なるほど。いえ、純日本人の人吉さんがどこで知り合われたのだろうと思ってしまいまして」

「そりゃおもうよ、はやみん。わたしだってそう思ったもん」

「あ、やっぱり思うんだ」


 よかった。ホームステイしてた経験があって。というか英語勉強してて本当に良かった。




「そうだ! せっかくだから皆でご飯食べない?」


 本を買い終わって、一緒だったらしい國橋君が行方不明なので、彼が来るのを本や近くにあったベンチで待っている間、蛍ちゃんが唐突な提案を投げかけた。


「え、それはさすがにお邪魔ではないでしょうか?」

「それはこちらの台詞だレディ。皆バイト先の仲間なら、その中に入っていく理由は俺にはない」

「レディって現実に言う人いるんだ」


 私も初めて聞いた。

 ってことは私のことはレディとして扱ってくれてないのかな、アーサー君。


「私たちは構いません」

「そーそー、二人の話とか聞いてみたいしさ」

「んー、たまにはいいかな?」


 アーサー君も外で食事なんてめったにしないだろうし。


「アーサー君大丈夫?」

「特に問題はない」


 そんなわけで、今日の夜はもう少しだけ長くなります。

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