いじめ 方法。
5年2組にて、春香は風邪をひいて長く休んでいる幸雄に対し、板書したノートを別紙に書き写していた。
それを見たおちゃらけ者の達也は口を開けた。
達也「えー?何お前。授業のやつわざわざあいつ宛に書いてんの?あれー、もしかして!」
そして彼は春香から書いている途中のノートを取り上げ、教室のみんなに見せびらかす。
春香「やめて!」
達也「おーい、みんなー!こいつ幸雄のこと好きなんだって!!」
クラスみんなの視線がノートに集まる。
春香「違う!私はただゆっきーが勉強に遅れないか心配だから!」
ゆっきーというのは幸雄のあだ名だ。殆ど周りからはそう呼ばれている。
すると近くにいた修也が茶々を入れる
「でも好きでもないとそんなん普通かかないでしょ?」と。
春香にとって実際、幸雄への恋愛感情は一切ない。だけれど2人が友達として仲良いということは周りは殆ど知っている。それをからかっているのであろうか。
そして彼女は必死に赤面になって
「返してよ!」と手を伸ばす。
達也はその奇襲に体制が少し崩れそうになったものの直ぐに切り返す。春香の手では届かないほどにノートを高く上にあげる。
達也「キモいんだよ!」
その瞬間春香は自分に何が起こったのかわからなかった。ただ、身体中の冷汗が凄いことがわかる。
ダン!
女子のきゃあという奇声と男子のおおっという驚きの声が聞こえてきた。
どうやら達也はムキになってしまい春香の腹部を蹴り、横転させてしまった様だ。
そして蹴ったのと同時にノートを床に投げ捨てたようだ。
そして1人の女子が「それはいくらなんでもやり過ぎでしょ」と放った言葉は達也がやってしまった罪を実感させた。達也は泣き出してしまった。
また、直ぐ目の前で転んでいるというのに春香には一切誰も近づこうとしない。制服には達也の上履きの裏の汚れが付いていた。
「大丈夫?」の一言もないということは恐らくまだ菌というふざけた固定概念からみんなは離れていないのだろう。子供のこういった習慣は正に洗脳に等しいのかもしれない。
春香は歯を食いしばってノートを取りに行こうとするが涙が出そうだったので、周りに見せまいと思ったのか動くのをやめた。顔を疼くめて体育座りをしている。ひくひくという微かな揺れから泣いてることが誰山から見てもわかる。クラスの視線は達也と春香のどっちかに散らばった。
さて、さっきから1人だけ最後列の机で読書をしているふりをして盗み見聞きしている俺だが、そろそろ何か言ってみたくなってきた。普段インキャの俺だがこういうとこで現れてみんなの鬱憤を晴らし、実はただの根暗ではく、かっこいい一面があるというところを見せてやりたい。
もちろん誰に向けてるかは決まってる。
俺「あっれー???」
突然後ろから聞こえたその声にみんなは驚いた。
真司「...影山?」
俺「何しちゃってんのぉ?達也クーン。お前ほーんと最低だな。か弱い女の子を泣かせちゃうなんてー」
達也はインキャがでしゃばるなと言いたいのかおれを睨んでいる。それを見て俺はちょっとキレたからさらに続ける。
俺「つーかさ!お前もしかして幸雄に嫉妬してるんじゃねぇのかぁ?よくいうじゃん?好きな子にはちょっかいかけちゃうって。」
それに同情したのか周りの男子らは俺に乗って達也をからかい始めた。
達也「ち、ちげーよ!」赤面。
俺「あーあー、振り向いてもらえないからって暴力は関心しないかな。弱いものいじめってクズのやることだよ、で?やっといて?やりすぎだっていわれて男のくせに泣いちゃってんの?wwwwなにそれwwww受けるわー!!!」
達也「...っ。」
俺「...」
達也「...」
さぁ。結構いい溜めていたことが放出できたのは良いものの、これからこいつをどうするべきか。
こいつを次のいじめの標的にするか。許しておくか。
もちろんなのか、俺は後者の方を
選ぶことができなかった。
俺は達也の筆箱を机からとってその筆箱を達也の口元になすりつける。丁度唇に当たったのがわかった。十分につけた後その筆箱を男子の方に投げ込む。
「うわー!達也菌だ!」という、何かを予兆する言葉を投げながら。
それから。達也はまいにちいじめられるようになった!
めでたしめでたし。
はぁ。
本当のクズは。
俺かもしれないな。
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そんなくだらない夢を見ていた。