クーゲルシュライバー
クーゲルシュライバー。
伝説の武器のような名前は、私が所属していたサークルの同窓会で毎回取り上げられます。
荒野のど真ん中で勇者が叫ぶ。「唸れ、俺のクーゲルシュライバー!」
この光景を想像すると、結構楽しいのは私だけでしょうか。いや、ドイツ語に詳しい方なら、これがいかに滑稽であるかすぐわかると思います。
そうです。勇者の手にあるのはボールペンなんです。勇者はボールペンを手に魔物と戦います。先の尖ったボールで突き刺せば多少のダメージがあると信じて。
もちろん同窓会にいた人は全員知っています。ボールぺンで戦うシュールな光景を想像して笑っています。
ただ、「唸れ、俺のクーゲルシュライバー」と叫んでいる人が作家ならどうでしょう? かっこよくないですか? だって、ペン一本で世界と立ち向かおうとしているのですから。
クーゲルシュライバーを持つ彼は、伝説の武器を持つ勇者となりえます。世界の人の心に届く文章を書く可能性があります。このサイトにもいるのではないでしょうか。今はひよっこでも、いつかは世の中に発信する伝説の勇者になりたいという人が。
クーゲルシュライバーを持つ勇者は決して滑稽ではありません。かっこいい存在だと思います。そして応援します。クーゲルシュライバーの代わりにキーボードを打つ、たくさんの勇者を。
ドイツ在住の友人によると、クーゲルシュライバーはあまりにも長いため、日常会話ではクリと呼ぶそうです。