表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敏腕編集への道  作者: むかしむかしあるところでね
8/14

バイパス 参



 女性に対して容姿をあげつらうなど失礼な物言いであることは承知している。が、敢えて正直に言ってしまえば、あのイラストレーターは、なんと言うか、その、……適切な言葉が浮かばない。


 分類するなら、可愛い系。


 多分人並みに着飾って化粧もすれば綺麗になるだろう。が、今までを見るに、おしゃれという言葉をまるで実践しないタイプだ。


 彼女のスタイルは基本清潔ではあるものの、ラフでカジュアル。絵を描くという仕事上、汚れやすいことを考慮しても、あまりに無頓着ではないかと思う。


 異性の目を一切気にしない、もしくは、異性の目を忌避しているスタイルだ。


 営業でそこそこ鍛えられたから、この印象は大きく外してはいないと思う。彼女は、恋愛に消極的だ。


 そして、真意は不明なれど、目を光らせている緒峯がいる。


 つまり先生は、非常に困難な茨の道を選んだわけだ。


 と言うのに。


「…………泊りがけ?」


 明日に簡単な打ち合わせを予定していたのだが、夜更けにキャンセルの連絡が来た。その理由が。


『はい。ちょっとドライブに出て、そのまま帰れなくなりましたので、こちらに一泊します。明日の午後には帰る予定ですから、打ち合わせの時間を午後以降にずらして欲しいのですが、可能ですか』


 いやいやいやいや、ちょっと待て、チョットマテヨ!?


『急ぎの用件があるようなら、朝一で帰りますが』


「いえっ急ぎませんっ大丈夫ですっ」


『そうですか。では、帰ったら連絡します。遅くとも昼過ぎには帰る予定ですので』


「はいっお待ちしていますっっ!!!」


 いつもの癖で、お辞儀をして電話を切る。


 イヤ待てよ自分、電話切ってよかったのか、先生にもう少し詳細を突っ込むべきだったんじゃないのか、せめて朝一で帰ってきてもらうべき、違うそれじゃ手遅れだろ!?



 

 ……フフフ……あのイケメン、あの娘の意思を無視して仕事以上のちょっかい出したら、二度と日の目を拝めないようにしてやる……




 悪寒と共に、空耳が聞こえた気がした。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ