紅一点。服を作る。
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マリアル視点の番外編です。
毎回何故か、番外編は血なまぐさい表現やら、可愛らしい下ネタが入ります。
筆者は病んでいるのか。
そんな馬鹿な。
ってことでして、そういう表現が苦手な方は回れ右。
回れ右。
回れ右。
回れ右。
戻ってきた。
ではでは、行ってきますとさようならの選択をば。
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みんなの永遠のアイドル。
マリアルです。
ウェイビーな髪をなびかせ、流し目で男共を(うちの売り上げのために)とりこにするのが得意技。
ケチな店長に時給アップを承諾させた強者として、先輩後輩問わず一目置かれている存在なの。
股にはそれなりのものがついている、両性類やってまーす。
店長に勝利を収めたその日、払いせとばかりに店長にいびられていた私。
いつかシンデレラのように鳩に継母の目玉をくり抜いてもらう日を夢見て、むしろ実現可能になるように計画していた私に、店長は重くて臭いゴミ袋を差し出して言ったの。
「さっさと捨ててこい」
私に言うくらいなら、人の監視ばかりの暇人に行ってもらえばいいじゃない。
言わずもがな、あんたよ。
「はい、ただ今ー」
スペシャルな笑顔で承諾。
スペシャルな内心で罵倒。呪詛。
あんたのその糞の役にも立たないポークビッツを折り曲げてやりたいわ。
外は程よく寒い。
いや、店の中が暑すぎるのかも。
店長に休む暇も与えられないから、体が火照っちゃってるのね。
やだ、えろす。
店長ったら、まじであとでめにものみせてくれるわ。
おくばにてぇつっこんでがたがたがたがたがたがたがたがががたかたガサガサ。
ガサガサ?
生ゴミ専用。
密閉タイプの大きなゴミ箱。
ケツ。
ケツだ。
なんてこったい、ケツだ。
「すっぱいすっぱい」
呟きが聞こえる。
ゴミ箱に上半身ごと入り、腰を引っ掛けケツ丸出しで中身を漁っている不審者。
これが本当に主人公なの。
僕、じゃなかった、私の目はちゃんと開いているのかしら。
「え」
思わず声が出てしまったのは、ケツの前をブンブンと行き交う、ふさふさもふもふを見たから。
尻尾?
ブンブンブンブン「すっぱい」ブンブンブンブン「これもすっぱい」ブンブンブンブン「これはっ」ピーン
尻尾!!
「ぷは」
吐き出した息と一緒に、中に入っていた上半身が勢いよく出てきた。
黒いビニールが申し訳程度にケツを隠した。
そして言った。
「なんてすっぱい」
レパートリーが貧困。
様々な意味でかわいそうな子だ。
「こら」
とりあえず、未知とのファーストコンタクトに励むことにするぜ。
脳内ではいくらで売れるかの計算がすでに始まっているわ。
ゼロが増える度、心の中で転げ回るの。
普段の行いの賜物ですわ。
口調も定まらないほどの興奮。
未知が振り向いた。
大きな目を、さらに大きく見開く。
はじめて私に気づいたんでしょう。
目線はゴミ袋の方を見ていたようだったけど、プライドが許さないので言わない。
「ちょーだい」
手を差し出された。
首を傾げられる。
さらさらと流れる黒髪。
ビニールがズレて、耳がひょこん。
大きな瞳が期待に揺れる。
正直、鼻血噴くかと思った。
猫、まさしく猫。
わわ、服作りたい。
ぜひとも服が作りたい。
お持ち帰りして採寸しよう。
強制的でもかまわない。
ああ、デザインが山のように。
孤児だ、孤児かな、孤児だよね?
人間じゃないなら、なおさら人権やらの問題はないはず。
僕は急いで仕事を済ませることにした。
店長のせいで、頑張ったのに帰りがいつもと同じ。
僕の頑張りは何だったのだろう。
あの子がいなかったら、どうやって店長を海に沈めようか考えていたけど、どうやら杞憂だったようだ。
命拾いしたなくず。
目的のあの子は、ゴミ箱の隣にぴったり張り付き体育座り。
一人で夜空を見上げている。
一人ぼっちで、夜空を見上げている。
何も映さない瞳。
「おいで」
その姿を見たら、雑念が消えた。
悲しくなって、優しくなれた。
奇遇だね。
孤独は僕も嫌いなんだ。
うん、そうだ。
ごみより美味しいものをあげよう。
ゴミ箱よりも温かい場所もあげる。
夜空もみんなで見ようよ。
その方が、きっと綺麗だから。
あと服もあげるからね。
可愛い可愛い服をあげるからね。
僕のお姫様にお似合いの、スイートでキュートでエレガントなお洋服。
ああ、でもシックでちょっぴり背伸びした大人カジュアルも捨てがたい。
いやいや、子供のなかにある儚い蕾のような美しさを白のレースで。
雑念消えなかったみたい。あは。
僕は手を握り締め、微笑んだ。
約束しよう、秘密の約束。
君が一人にならないように。
服がとんでもなく似合います。
なんでも似合いそうで、僕の腕がなるばかりです。
湧き上がるデザインの数々に、僕は至福の休日を過ごしています。
料理はいまいちでした。
さておき。
姫からどこかに行きたいとのお達し。
叶えてあげたいのは山々だけど、僕の指が止められない。
止まらない。
かっぱえび〇ん。
姫が服の裾を掴んで駄々をこねる。
ああ、デザインが湧き上がる。
「しょうがないな、しりとりしようか」
口なら空いているから。
「俺がしたいのはしりとりじゃなくて、散歩なの!!」
「しりとりのりー」
「り?」
考え始めた。
言動は大人びていて、同い年の子供達よりは賢いだろう。
しかし、所詮子供だ。
相手もそう思っているとは、この時の僕はまだ知らない。
「りずむ」
「むちうち」
「ちょうさ」
「さらしくび」
「びょうき」
「きょっけい」
姫がとても何か言いたげ。
僕が「ん?」って顔をすると、ふるふると首を振った。
「…いし」
「しけい」
「……いか」
「かまゆで」
「………でんぱ」
「はりつけ」
「何か黒い!!」
床を両手でばんばん叩く。
僕の答えはお気に召さないようだ。
僕には下に兄弟がいなかったので、こんな感じかなあと緩やかに思う。
幼子のわがままは可愛いものだ。
院の子供はうるさいだけだったのに。
少し不思議。
「じゃあ、何する?」
「さ・ん・ぽ!!」
忘れてはいなかったようだ。
小さい頭で小さな脳みそのはずなのに。
「じゃあ、昔話をしてあげる」
「え、ちょ」
「むかーし、むかし」
話始めると、眉ねをよせて、うんうん唸りながら隣に腰掛けた。
ちょこんと。
頭をなでながら続ける。
「お爺さんは山へしば刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました」
そして、しばらく見つめ合う。
指は動かしたまま。
ああ、ここには抑えめのフリルをつけようか。
「続きは?」
恐る恐ると言った感じで、促してきた。
その心情を示すように、尾が右に左にうろうろしている。
「ないよ」
「なんの報告だよ!!」
床がとても痛そうだ。
小さな手も赤くなっている。
捨て身だ。
打てば響くようなやりとりが、とても楽しい。
性格が悪いのは自覚済みだ。
姫には悪いが、僕の休日はとても充実感にあふれたものとなった。
小さな小さな僕の兄弟。
君に帰る場所があることを。
君に家族がいることを。
君は一人ぼっちではないことを。
忘れないでほしい。
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お疲れ様でした。
多分、ここだけ読んでいる斬新な方はなかなかいらっしゃらないと思うので、これを見ている方は最初から読んでくださってる方だと思います。
お忙しい中、時間を切り裂いていただき、誠にありがとうございます。
筆者、小躍りします。
先ほど、アクセス数を見たところ、合計で30000突破。
このカウンターは本当に合っているのかと、疑心暗鬼です。
お気に入り機能だってそうです。
きっと筆者に同情して、投稿するたびに運営さんが、ランダムにちょっとづつ上げてくれる仕組みなんだと言い聞かせています。
すごく怖いです。
筆者、すみません、嘘つきました。
実は小躍りしてません。
良いことが起こると、疑ってしまうのは筆者の悪いくせなのです。
嬉しい反面、この数字の向こう側は本当に人間なのかと、猜疑心がむくむくです。
筆者は人が出来ていません。
修行しなくとも悟りを開ける方法を誰かしりませんか?
あれ?
感謝を述べるはずのあとがきが、筆者のマイナス思考のはけ口に。
ぐは、長々なにやってんだ俺。
誰か俺を痛くない程度に殴って!!
話は変わって。
どなたかは存じませんが、評価ありがとうございます。
なんか評価に人間味を感じて、筆者は一人チューチュートレインをしました。
まじです。
えへへ、あとすごい図々しいお願いなのですが、悪いところのご指摘とか下さると嬉しかったり。
酷評は人を育てますよねひゃっほい。
もちろん、筆者に対する個人的なのはだめだぞ。
「お母さーん、ちょっと練炭買ってくるー」
ふふ、笑えない。
あ、でで、結局何が言いたかったかというと、なんか記念にリクエストとかあったらなー、なんて。
ネット小説の醍醐味かなあ、なんて。
こう言った場合に反応がないのが一番心にくるんですが、あえて筆者は茨の道をゆく。
先着1名。
メッセージとか感想とか筆者にはよくわからない機能を駆使して、お伝え下さい。
期限は5日のお昼まで。
ない場合は筆者のエッセイになります。
見たくないでしょ?
さあ、この筆者の暴走を止めるのは誰なんだー。
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