表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/39

猫。すっぱい。

ゴミ袋を纏い、一人困る俺。

もう、なんなん?

厄年なん?


比較的ちっちゃい身長。

不本意です。

しかし、それが今役立ってる。


狭い路地裏、ちょろちょろ走る。

自分の二本の足で。

見向きもされないのは、慣れてるからだろう。

見渡せば同じような子供。

いや、年下なんだけど。



…年下、だよなあ?



異世界の子供、発育良すぎ。

年下のくせに俺よりでかいという矛盾。

俺よりでかい分は削りとる、そんな法律あったらいいな。

恐怖政治万歳。


あれ、先ほどから空をかく足。

俺の羽についに飾り以外の効果が。


「お前、どこのやつだ」


いややー。見とうないー。

見とうないのに、見てしまうー。

俺の眼球のいけずー。わーん。


「のび太のくせに生意気だ」


アテレコしてしまった。

リアルジャイアン。

ないす、ジャイアン。粒餡。

アニメに帰れ。


「は?」


お怒りです、ジャイアンお怒り。

そりゃ、のび太じゃなくても、知らん人に生意気言われたら、轟け俺のイカズチてなもんですよ。


「ふざけてんの?」


俺がふざけるのは、君の心のバリアフリーのためなんだ。


「滅相もないじぇりあ」


あれれ、君の心はATフィールド全開のようだね。


ジャイアンは俺の胸ぐら、むんずと掴み、ゴミ袋がびりびりびり。あ。


「は」


目が合った、けど合ってない。

ジャイアンの目が市民プールで遊んで入るようだ。

俺はゴミ袋寄せ集めてかぶり、釣りはとっとけと、走りさる。


彼の手にはゴミ袋。

いらねえ。




と、言うわけで。

家に帰れなくて、俺は今、生ゴミの隣に鎮座してる。

道がわからないわけじゃない。

鼻はいいから。


姿がまずいのだ。


イニアと散歩中(グレ兄行方知れず)階段から落ちたら、中身が入れ替わってしまっていたの。

おったまげた。

嘘です。


体が戻っておりました。

いえす全裸。

イニアを置いて、盗んだバイクで逃走。

今に至る。


「ふふふ、夢みたーい」


もちろん、しゃべれる。

さっきはいらん事をしゃべってしまったが。


しかし。

嬉しいはずの手足が嬉しくない。

嬉しいはずの言葉が嬉しくない。

嬉しいはずの人間が嬉しくない。

俺は猫になりすぎた。


もう膝に乗れないし、日なたでごろごろも出来ない。

待っててもグレ兄の飯は食えないし、ていうか飯が食えない。

無一文。

俺はニートになりすぎた。


あかんです。

俺、餓死フラグ。

神と結ばれるルート。

おーまいごっと。神だけに。


あ、でも、この生ゴミ食えんじゃねえ。

なんかまだそんなに臭わないし、セーフ、うんセーフ。

人としてはアウト。

せめぎ合う心。

猫の時は躊躇しなかったのに。


美味しい。


少し酸っぱいのは味付けですよね。

そうだといって。


「こら」


新しい食料を持った、女の子?

薄ピンクの髪の、うぇいびー。

波打つ髪が綺麗ですの。


「捨てるの?」


とりあえず、手を入れ物の形にして、差し出した。

ちょーだい。


「あげません」


しょうがない、捨てた後を狙おう。

野生のカラスは親戚ですが何か。

よっこいしょ。


「そこに陣取られても」


対応が落ち着いてるのは、日常茶飯だということかもしれない。

ライバル多し。くそう。


「あなた、新しい孤児?」

「…似たようなもの?」

「疑問系で返されてもね」


二人で首を傾げた。


「マリアル、どこいった!!」


女の子がビクッと体で返事をした。

わたわたと戻って行く。

食料と一緒に。

それは置いてけ。


生ゴミの隣、無性に一人を感じた。




「まだいたの?」


お店が静かになった頃、さっきよりも増えた食料を持って現れたマリアル。


「いるよ」


だって、いくところがないんだ。


「おいで」


マリアルは手を差し出した。

食料を受け取った。


「それは捨てます!!」


捨てられた。

手を盗られる。

俺の手がー。


「こんなに小さいのに」


器は比例して大きいのだよ。

マリアルは意外とげふんげふん。


「戦争って嫌ね」

「ね」


そこは同意しといた。

さっき歩いた路地裏は、イニアとは歩かない。

そんな秩序もない場所なんだろう。

フリーダムという無関心。


「どこいくの?」


にこ。ニコニコ堂。

優しい顔。

あれ、誰かに似てる。

でも誰かは絶対こんな顔しない。


「うちよ」


自分で言うのもなんだけど、こんな見ず知らずのどこの馬の骨ともわからんもうすぐ成人(強調)を、拾ってっちゃ、だめだと思う。

猫じゃあるまいし。


「怒られるよ」


ママとパパに。


「兄と二人暮らしだから、大丈夫よ」


怒る対象が兄に変化しただけだそれ。

大丈夫でもなんでもない。


「ふふ、それにその可愛い尻尾は隠した方がいいわ」


見た。出てた。俺の馬鹿。

見るからに挙動不審になる俺。

彼女は変わらず微笑んだ。

…彼女?


無言で髪の毛引っ張った。


「あいた」


ずるぅ、皮が剥けたような、君の悪い感覚。

そうだそうだ、君が悪い。


中からデジャブを思わせる、金髪。


「あはは、バレた」


これでも十分女の子だが、いかんせん、声が下がった。

さっきまでの鈴を投げた声は、意識して作っていたのか。


「秘密にしてくれる?」


一対一にしてくれた、優しい人。

俺もあなたみたいに笑えたらいいな。


「秘密にしてあげる」


優しい人はみんな好きだ。


手を繋いで帰る。




「何拾ってきたんだ」


二人で正座で怒られた。

イニアに。

×××××××××

×××××××××

×××××××××

筆者現実逃避ちゅう。

×××××××××

×××××××××

×××××××××


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ