猫。しょくじ。
あれから3日が経った。
あっはは、多分バトルシーンが入ると予想した方が大半だと思うんだけど。
あの鷲君との壮絶な死闘を。
てか、筆者はそのつもりのようだけどね。
そんなめんどくさい描写を俺にさせるつもりなの?
しぬの?
ああ、なんか後ろからがしゃがしゃ聞こえる。
机の上のペン立てやらなんやらをなぎ倒して、一直線に向かってくる、何か。
ここ3日で俺は慣れたけどね。
ほら、俺の毛並みみてよ。
ベタベタ。
なんだと思う?
「ぴぎゃ」
ハートマーク付きの音声を想像して下さい。
可愛いカナリアボイス。
がたがたん
そして。
全く可愛くないどでかいサイズ。
俺の何倍あると思ってんの。
その体で抑えつけられて、体中を舐めまわされている、俺。
少し既視感を覚えるような気がしたけど、あの変態はハンカチをキーってしながら出張しました。
あと2日は戻らないようです。
要らない情報でしたね。
ああ、そこは舐めるな。
人としての矜持を守らせてくれ。
そう、あの鷲君、ただ今うちの隊で預かっています。
理由ですか。
あの場をおさめようと努力が、何故かこういうことになっているんですよ。
俺が聞きたい。
「ぴぎゃ」
俺のホンヤクコンニャクは「ママ」と正常に働いて、正常ではない結果を生み出しています。
俺はいつから子持ちに。
「にう」
ボスと呼べ、そう言ったはずだ。
子分はロマンだと勝手に思っています。
でもボス舐められまくりだけどね。
名実共に。
「ぴぎゃ」
な。
「はい、まま」だと。
狙っているのか、ちがうな。
うちの子、なかなか頭わりい。
鳥頭。納得。
「にう」
「ぴぎゃ」
「にう」
「ぴぎゃ」
訳すと。
「こら、机の上に上がっちゃだめ」
「ままは?」
「ボスはいいの」
「ままはいいのか」
素直なのが売りの癖に、呼び名は変えねえ。
ストンと机を降りる鷲君。
みてよ、俺。
性犯罪の直後ばりにぼろぼろだよ。
いろんなものをこの3日でなくしてしまったよ。
「先輩、なんでこれら、檻に入れないんすか」
イニアが不機嫌全開です。
何故なら書類作成中の彼の机を荒らしたのが、鷲君(ここ重要)だからです。
「んー、さすがに鷲君入る檻は持ってこれなかったんだよ」
ちゃっかり自分は離れた安全な机に非難してる、グレ君。
グレ君も大人になりましたね。
「じゃあ、研究所にでも預けたらいいじゃないですかー。俺嫌ですこんな生活」
ごめん。
「何回も言ってるだろ、でかいのがちびと離すと暴れるからって。前例がないから、上が大切にしたいんだと」
「じゃあ、2匹で研究所に行けばいいでしょー」
「…隊長がなあ」
カリカリと頭をかく、グレ君。
ここ3日は迷惑かけっぱなしなので、俺は反論が出来ないのですよ。
早くしつけしなきゃ、俺ごとドナドナの危機です。
「にう」
ごめんよー。
イニアの前で謝ります。
ペンをペン立てに戻す、細かい芸も披露しながら。
「ちびは頭いいよなあ」
グレ君に誉められました。
調子に乗って、二本持ち。
…あ。
がしゃ。
スローモーション。
地味に倒れるペン立て。
痛い、イニアの視線が痛い。
鋭角、ナイス鋭角。
「に、にう」
傾げた。
可愛いであだだだだだ、無理、それ以上は無理。
猫の首は獲物を見つけるために360°回ります、なんてことはないんだ。
ごめん、わざとじゃないんだって、今度肉球好きなだけ触っていいから。
「ぴぎゃ」
「まま、ぴんち」
悲劇が起ころうとしていたけど、俺にはどうにも出来なかった。
何故なら首が千切れ飛ぼうとしていたので。
宇宙の彼方へ、さあいくぞ。
「あ」
家政婦でもない、グレ君が見た。
しばらくお待ち下さい。
「先輩、焼き鳥、今日の晩御飯は焼き鳥ですよ。ふふふふふ」
俺の尻尾を掴んでぶらぶら下げる、イニア。
鷲君は足元で、人質をとるなんて人間てやつぁって顔でお座りしてる。
イニアの方がしつけ上手だったりする。
「お前らー、ご飯ー」
グレ君がお台所の方から出てきました。
ちなみに今は派出所の方ね。
手にはほかほかのお料理。
遊んでるうちに作ってくれたようです。
生と死の狭間の遊びの。
「ぴきゃ」
一番に動いたのは鷲君です。
母を放って、グレ君の足元にちょこん。
いい性格だ、この野郎。
「先輩、焼き鳥がいいー」
鷲君を凝視するイニアですが、鷲君はグレ君しか見ていない。
これが噂の三角関係か。
ときめきがない。
「馬鹿いうな、ほれ」
イニアの前に、あんかけ焼きそばもどきが出されました。
つまりは俺の前でもあるんだけど。
ガツガツと下の方から聞こえるってことは、俺が最後なんだ。
新入りが一番ってやってらんねー。
同意を求めてイニアを見たら。
さっ。
焼きそば隠された。
卑しい子だと思われたしにたい。
「ほれ、お疲れさん」
ぽんぽんと、俺の頭をグレ君が撫でて、皿を置いた。
今日は野菜と赤いものが入ったヘルシーメニュー。
俺がなんでも食べていたら、普通に野菜も出るようになった。
でも、猫に野菜って、どうなの。
「にう」
グレ君にお礼を言って、食べ始める。
グレ君は3匹の食べようを眺めてから、自分も食べ始める。
グレ君のがお母さんっぽい。
イニアが赤いものを、俺の皿に飛ばしてきた。
子供か。
イニアは好き嫌いが激しいのだ。
「イニアこら、食べろ」
見逃さないお母さん。
「おすそ分けしたんですよ先輩」
堂々と言い切る子供さん。
グレ君がコロ付きの椅子でイニアの隣にスィー。
「じゃあ、俺もおすそ分け」
「返品っす」
「なんでだよ」
「クーリングオフ制度っす」
「屁理屈いうな」
「お食事中ですよ先輩」
「屁理屈の屁の部分に反応すんな」
「ああ、二度も」
「論点がズレている」
俺から言わせれば、お食事中にぎゃあきゃあ騒ぐのもどうかと思う。
そう思いながら、俺の頬は緩んだ。
みんなで食べるご飯は美味しい。
それは、日常の断片。
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アリスインワンダーランドを見ました。
映画はもちろんですが、私はその撮影風景が面白かったですよ。
夢の裏側って、案外こんなんなんだろうなぁって。現実しかり。
何でだろう、目から汁が。
さてさて今回も、拙い文章読んでいただき、ありがとうございました。
あなたは私の支えであります。きゃ。
お知らせです。
9月までに、たくさん溜めていた、俺がやらねば誰かやる、そんな書類の制作に忙しい筆者です。
すみませんが更新は停滞するかと。
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