猫。きゅんし。
お盆って、血の繋がりがとてもおっくうになるイベントだよね。
まったく、なんで筆者は、預かり知らぬ子供にオードブルを与えてるのか。
世界の謎。神秘。
こら、子供、お前接続詞の使い方おかしいぞ。
はっ!!
今、俺は何を。
俺が(7歳児とレーシングゲームをするような、そして一位を独占して勝ち誇るような)何者かに意識を乗っ取られている間も、山場は続いていた。
隊長は胸元から俺を出しながら。
ローブはどこか楽しそうに、きゃらきゃら笑いながら。
あれ、これ山場だよな。
「暴君の胸元にいるのって」
見えないのに、見える。
例えるならチェシャ猫。
にんまり。
「獣でしょ」
「答える義務はない」
隊長が持つ細身の剣が、風を切る。
ローブはローブを引きずり足が自由に動かず、フードで視覚も悪いだろう。
だというのに、隊長の剣筋からギリギリではあるが逃げおおせている。
俺にはそのどこか滑稽でもある動きが、ピエロの行う曲芸にしか見えなかった。
「ねー」
「なんだ」
「その子、ちょうだい?」
首を傾げて可愛くお願いしてるローブ。
言ってることは、すこぶる可愛くない。
「嫌だ」
顔は無表情でも、怒ってくれたのはわかります。
胸元でほくそ笑みます。
「なんで?」
心底不思議、と言わんばかりにローブが問いかけます。
この間も、二人はダンス並みに動いてるんだよ。
信じられる?
「なんで?」
蛍死んでしまうん?
ああ、声が出ないのがここまで惜しいとは。
ボケたい。
隊長は静かに怒ってます、か?
「ああそっか。獣が必要なら、獣をもっと取ってきてあげるよー?」
「お前はここで捕まる」
隊長が大きく剣を薙いだ。
ローブがスリーステップで下がった。
ニキビも治った。
「二匹ならいい?」
「黙れ」
「三匹かな?」
「黙れ」
「欲張りだなー、四匹?」
「黙れと言っている」
むー、どこか子供のように唸るローブ。
「いい話だと思うんだけどなー」
「何匹積まれようと、にゃんにゃんは渡さん」
真面目に言えばいいってもんじゃない、単語が。
「猫っぽいのがいいの?」
ああ、だめだ。
その取引は、クリティカルだ。
俺が養子に出されるフラグ。
捨てられたんじゃないもんルート。
「何匹?」
きっと、多分、おそらく。
彼一番の笑顔だと思う。
道化が浮かべる笑顔は、どこか泣いているように見えて。
怒りも苛立ちも、湧いてはこなかった。
「にゃん匹?」
はっ、隊長は鼻で笑ったけど。
本音がちらりだよ。
俺の複雑な心境にかまわず、隊長は続ける。
シリアスモードだ。今更。
「ありえないな」
俺の耳が跳ねた。
何度も聞いた声なのに、はじめてちゃんと向かい合った気がする。
低くかすれた透明な声。
表情よりも意志を伝える。
「こいつがいい」
な!!
ちょちょ、それなんてえろげ。
あうあうおうおう。
…すごく、赤面です。うほ。
ローブが動きが止まりました。
ぽかーん、表現するなら、そう。
「……」
見ないで、無言で俺を見ないで。
俺だって予想外なんだよ。
こんなラブ展開は予想外なんだよ。
隊長はその隙に、いや、お前恥ずかしいとかないのな。
まじで普通に素早く動いてな、剣を片手に持ったと思ったら、ローブの腕を拘束して手に持った剣をローブの首筋にあてた。
作戦だったのか違うな。
ありえないな。
あいつなんも考えてねえ。
乙女心、なんも考えてねえ。
「あだだだだー、痛いよー」
「痛くしている」
周りに人が集まりだしている。
貴族の方は一段落がついたんだろう。
「あたー、ゲームオーバーかー」
「そうだな」
ローブは大人しく捕まっている。
口調は子供だけど。
隊長は手錠をかけ、近寄ってきた隊員に引き渡した。
「またね」
俺にしか聞き取れないだろう、呟き。
多分、俺宛だからちゃんと届いてる。
返事はしない。
シャイだから。
現在進行形でシャイニングだから。
「にう」
隊長の肩に飛び乗る。
胸元に出来てしまったミミズバレはご愛嬌。
お疲れ様とありがとうを込めて、隊長の頬を舐める。
「ああ」
伝わったかはわからないが、隊長は俺の頭を二度撫でた。
「私も、愛してる」
伝わってない。
ざわざわ
ガシャガシャ
悲鳴
ぴぎゃー
ガタンガタン
振り向きたくないなあ。
そんな音のオンパレードだった。
ああ、まだ続くのかあ。
三秒後。
意を決して俺は振り向くことにする。
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久しぶりに花火をしました。
煙がすごくでました。
綺麗とかはありませんでした。
爆竹は花火の位置ですよね。
こんばんは、筆者です。
この度も、つたない文章を読んでいただき、ありがとうございました。
イメージを的確に表せる言葉が見つからなくて、悔しい今日この頃です。
もっと語彙力がほすい。
この世界を掌握できるような語彙力が。
ちょっと龍玉探してきます。
正直な感想やあどぶぁいす、採点は励みになりますので、よろしければお願い致します。
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