【14】
「ーもう一回、川を見に行ってみない?」
朝、雅巳に提案すると、雅巳もそう思っていたのか、うなずいてきた。
「何かあるかもしれないしな」
「うん! 行こう!!」
麗に言い、馬を借りる。どうやら、真と若菜は2人が居ても、近づこうとしないらしい。むしろ、空気だと思っているのだろうか。
ー私たちにとってはありがたいけど。
秋の日光は、和らいだ暖かさだった。吹く風は心地よく、馬に乗りながら、目を細める。
ー雅巳さんと馬に乗るのも慣れたわね。
まだ、恥ずかしさはあるが、一生懸命ついていく。ようやく川にたどり着くと、捜索を開始する。
「役人も探したと思うけど」
「諦めるな。何か残しているかもしれない」
「うん! 探そう」
2人は左右に分かれ、探し始める。もう死体はなく、穏やかな川の風景だった。さあっという音が心地よい。
ー何か犯人のものでもあれば…。
王が背中から一突きされたということは、それだけ、親しい間柄の人間が犯人だと推測される。そうでなければ、背中を向けるはずがない。警戒しなくてもいい相手だったということになる。
ー警戒しなくてもいい相手か。
周家の皆の顔を思い出し、誰がと考え込む。しかし、手は動かしており、何かないか必死だった。
「ーうん? あれ? これ?」
岩と岩の間に何かあり、凛は雅巳を呼ぶ。
「雅巳さーん!! ちょっと!!」
「何だ?」
走ってくる彼は颯爽としてかっこよかった。そんなこと考えている場合じゃないと首を振り、指さす。
「ここ、見つけづらいんだけど…」
「えっと?」
2人は顔を見合わせる。雅巳は用心のためか手巾を出し、凛が見つけだしたものを拾う。
「これは…」
2人は何も言わず、うなずくと周家に真っ直ぐ帰ったのだった。




