【13】
夜。寝ていると重さを感じた。
ーん? んん?
そのうち息苦しくなって、凛は目を開く。暗闇でよく見えないが、誰が凛の上に乗って、首を絞めているらしい。
ー誰…!!
苦しくてしょうがなく、凛は力を振り絞って手を動かす。思い切り、手や頬を引っかいてやり、相手がひるむのを待つ。
「…何だ?」
雅巳も気づいたらしく、相手が慌てて逃げて行く。後を追おうとしたが、咳き込んでしまった。
「おい。大丈夫か?」
「それが…、首を絞められて」
「何!! 今出ていったやつか?」
ちっと舌打ちをし、雅巳が追跡する。凛も負けず嫌いで、何とかついていく。すると、回廊を曲がったところで麗に会った。
「麗さん!!」
喉の痛みを忘れ、すっとんきょうな声を出す。麗は寝間着姿で、肩に毛布をかけている。
ーえ? このタイミング?
まさか。首を絞めたのは麗だったのか。
疑いのまなざしを向けながら、首をこする。
「こんばんは、どうなさったの?」
「それはー」
雅巳が凛を見る。うなずくと正直に言う。
「誰かに首を絞められたんです」
「まあ、それはいけませんわ」
「あの、麗さん」
演技しているとしたら、すごい能力だと感心する。しかし、凛が思うにはそうでないような気がする。
「こちらに誰か走ってきませんでした?」
「え…。さあ?」
軽く首を傾げる姿は美しく、夜の蝶のようだった。秋の庭は静かで少し肌寒かった。
ー麗さんも犯人の1人に入れたほうがいいわね。
喉をさすると、雅巳の袖を引っ張る。彼も分かったようで、うなずき返してきた。
ー何で居るのかしら?
疑問に思い、思い切って聞いてみる。
「この時間にどうしたのですか?」
「それが…、眠れなくて。動けば良いかと思ったんですわ」
「そう…ですか」
ますます怪しい。雅巳が首を振ってきたので、それ以上は不問だった。
「では、失礼いたしますわ」
麗の言葉に2人はうなずき、部屋に戻る。
「…誰が…」
声がかすれていた。しかし、雅巳に抵抗したことを伝えると、
「よくやった。手がかりになるかもしれない」
「本当?」
褒められて嬉しくなった。それから床の上で、誰が犯人か推測するようにしたのだった。




