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作家令嬢の田舎追放推理日記〜「推理なんてやめろ」と言われましたが、追放先で探偵はじめます〜  作者: 地野千塩
第2部・アサリオン村編

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番外編短編・その後のアサリオン村

コレット店長の朝は早い。カフェの経営をしている為だが、最近はピチという看板鳥を飼い始めた為、世話で忙しい。


「さあ、ピチ。エサよ。こっちは水。たんとお食べ」

「ピチ!」


ピチはカフェの中を飛び回り、エサも水も興味がない。


「本当にあんたは自由ね」


呆れつつも、カフェの開店準備に入る。最近はこの村で事件があったが、発注ミスの小麦粉も処理できた。嬉しい。


それに未亡人として毎日が暇だった。カフェの仕事も道楽だし、「女のくせに!」という嫌味に抗うのが面倒だと感じていた時、ちょうど事件が起き、いい暇つぶしになった。被害者のシビルには悪いが、村の女達も改心し、真面目に働くようになり、何よりだ。


そんな事を考えながら、開店準備を完了。モーニング用のマフィンやクッキーも焼き上がり、厨房もいい香り。それにカウンターではコーヒーをハンドドリップし、自分のためにまず一杯。


「うん、最高に美味しいわ」


自画自賛しつつ、コーヒーを飲んでいると、親友のエメが来店。


「ねー、聞いてよ。コレット。白警団のオーレリアン、結局、王都に帰れなかったらしいわ」

「まじ?」

「ええ。調査の初動ミスやロドルフの検死報告を鵜呑みにした責任を問われ、結局、スタテル島って孤島に左遷っていう噂」

「はは、面白い」


そんな調子でエメと二人で盛り上がる。元々白警団アンチの二人は悪口も絶えなかったが、話題はアンナ嬢の事へ。


エメはゴシップ記事を取り出し、極悪経営者と成金令嬢が正式に婚約したという記事を見せた。この記事だけ見ると、相当趣味が悪いが、噂話にワクワクするコレット店長。


「結婚式は豪勢にやる噂だってよ、エメ!」

「まじ! だったらウチら呼ばれるべき!」

「そうよね! 私達恋のキューピットよ!」


カフェに二人の大声が響く。


エメはともかく、コレット店長はクリスにアンナ嬢と結婚するべきだと推していた。クリスのアンナ嬢を見る目は「恋愛感情ただ漏れ」だったし、二人がくっつけば良いと思っていたから。


「コレット、結婚式には肉は出るかしら!?」

「出るわ! 肉!」


さらに二人の大声がカフェに響き、噂話は止まらない。ホテルの新しい支配人や料理長の噂も楽しいし、マーガレット嬢がまたこの村に戻って来るのも楽しみだ。


「ピチ!」


ピチの鳴き声も響き、カフェの中はうるさいほど賑やか。今は冬なのに、真夏のように明るいカフェだった。

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