番外編短編・その後のデートの話
どうも皆さん、こんにちは。作家のアンナ・エマールよ。最近は恋愛小説の直しで大変。昨日もほぼ徹夜で原稿を作っていたけれど、昼間、なぜかうちの屋敷にクリスが登場。
「よう、アンナ嬢。せっかく我々は婚約したわけだし、どっか出かけないか?」
「えー?」
クリスは実業家。若き極悪経営者なんて二つ名もついていた。私の父とも共同経営している会社があり、その打ち合わせで来たらしいが、成り行きでデートすることに。
正直、スケジュール的には仕事したいんだが、確かにずっと婚約者とどこにも行かないのは変。それに、久々にクリスに会えて嬉しかったのも事実。
ちょっとおめかしして出かけてしまったわ。まあ、母に借りた成金風のドレスやアクセサリー、バッグでコーディネートしたわけだが、隣を歩くクリスは上機嫌だ。それに風も春に近づいていたし、街路樹にも緑が出てきた。道端にも可愛い花が咲き、楽しい。
「ようし、アンナ嬢。行きたい場所を全部言え。俺が連れて行ってやる」
相変わらず強引だし、言葉だけだとキツいけれど、クリスはニコニコと子供みたいに笑顔だ。
「そうね。ミステリの研究のため、植物園や博物館に行きたいけど、どう?」
こんな時、カフェ、レストラン、遊園地、デパートと言えない私。我ながら本当に令嬢らしく無いと思うが、クリスはさらに笑っていた。
「相変わらずおもしれー女だな、アンナ嬢」
「失礼ね!」
隣で笑うクリスを見ていたら、気が抜けてしまうが、まあ、いいか。たまにこんな日があってもいいだろう。
「よし、行こう! 博物館でも植物園でもどこでも行こう!」
クリスの明るい声が響き、私もつられて笑ってしまった。




