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作家令嬢の田舎追放推理日記〜「推理なんてやめろ」と言われましたが、追放先で探偵はじめます〜  作者: 地野千塩
第3部・スタテル島編

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番外編短編・その後のロルフ

 ここはとあるホテルの一室だ。王都にあり、出版社にも近い。ここは作家のかんづめの場として御用達だった。


「なんでこんなスケジュールが詰まってるんだ?」


 作家でもあるロルフ・ガイストはこの一室で頭を抱える。編集部からさまざまな依頼があり、もうパンク状態だ。過去のようにアンナを誘拐し、恋愛ごっこをする暇も無い。


「しかたがない。とりあえず仕事だ」


 ロルフは机に向かい、原稿用紙に向かう。万年筆を持つ手が痛いが、どうもタイプライターは苦手で手書き派だ。それに赤も入れやすい。


 こうして何時間も机に向かっていると、スタテル島の一件は忘れられそうだ。正直、反省点も多い。自分が悪かった部分しか思いつかず、嫌悪感で眠れない日もあったが、アンナとクリスの温情により、逮捕は免れた。たぶん、もうそれだけで御の字。自分に言い聞かせ、アンナへの未練も断ち切り、仕事に没頭している時だった。


「お客様、フロントにお手紙が届いております」


 ホテルのスタッフが手紙を持ってきた。


「ありがとう」


 受け取り、机に戻って手紙を開けた。アンナからだった。


「もはやクリスと婚約解消か?」


 長い髪をかきあげ、淡い期待を持ちながら手紙を開けるが……。


 ロルフの眉間に皺がよる。近況報告だったが、クリスがいかに素晴らしい男か、いかにイケメンか、いかに仕事ができるか、いかに料理が上手いか。そんな事ばっかり書いてあり、ため息しか出てこない。これは単なる惚気じゃないか。


「くそ、クリスのやつ、やっぱり許せない」


 思わずイラッとして爪を噛んだが、まだ手紙があった。アンナが作った暗号文だ。解けたら結婚パーティーに招待するという。結婚パーティーはミステリイベントも同時に開催するらしい。


「へえ、アンナらしいね」


 とはいえ、暗号文はかなり難しい。頭を抱える難しさ。


「俺はアンナには勝てないらしいよ」


 情け無い声だけが響いていた。

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