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作家令嬢の田舎追放推理日記〜「推理なんてやめろ」と言われましたが、追放先で探偵はじめます〜  作者: 地野千塩
第3部・スタテル島編

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番外編短編・その後のスタテル島

 どうもみなさん、こんにちは。作家のアンナ・エマールよ。


 スタテル島の事件は解決したわけだけど、またここに来ていた。もちろん、婚約者のクリスとも一緒。結婚準備で忙しかったし、お互い仕事も溜まっていたけれど、最近ファンタジー小説の企画書を練っている為、取材旅行もかねている。それに島の絶品お魚料理も食べたい。クリスと一緒にいたいと思っているのは口には出さないけれど。


「クリス、この古城、昔のように再現してリニューアルしているのね。あ、ダイニングルームがあった二階は魔法戦争資料館の一部になっているわ」


 古城に入ると、成金風インテリアは排除され、歴史が香る場所になっていた。時に二階は魔法戦争資料館の展示物があり、小説の取材のため、しっかりとメモもとっていく。


「これは人魚の拷問器具ね。酷いものだわ。クヌート所長が可愛く見えるレベル」

「そうだな。アンナ、新作はファンタジー小説も書きたいんだろう? 魔法はどう扱うんだ?」

「ええ。魔法の負の側面もちゃんと書き、本格ファンタジーを書くつもりよ」

「それは楽しみだな」

「ええ。エドモンド編集長にも今回はスケジュールに余裕をもらっているのよね。結婚するからって気を使ってくれてるみたい。おかげで深く設定を追求できるわ」


 そんな会話をクリスとしていたら、レオン館長がきた。ちょうど他の来客者の案内も終わったところなのだそう。


「レオン館長、お久しぶりね。その後、島の様子はどう?」

「ええ。こっちは変わりないです」


 レオン館長、笑顔だ。というかご機嫌。口元がふむふむとし、口笛でも聞こえてきそう。今日、仕事が終わったら歌カフェに行くらしい。


「もうリネットの歌が素晴らしくて。毎日歌カフェに行ってる」


 うっとりとした目で語ると、スキップしながら別の仕事に戻っていた。見た目は知的なおじ様だが、中身はそうでもなさそうだ。思わずクリスと顔を見合わせてしまう。


「俺たちも歌カフェ行くか?」

「ええ。リネット店長やマリアにも会いたいわ。そういえばハンネスも歌カフェでバイトしているって聞いたし」


 そして古城を出ていく。自然とクリスと手を繋ぎ、島の風も感じる。


 カモメの鳴き声もなんとも平和だ。空も澄み渡り、綿菓子のような雲が綺麗だ。


 そして歌カフェに一歩足を踏み入れると、リネット店長の歌声が響く。歓声や拍手も溢れ、実に賑やかな空気だ。


「リネット店長、素敵な歌だったわ!」


 私もステージに向かって声援を送る。隣にいるクリスも、笑顔では拍手を送っていた。


 島はもうすっかり平和らしい。事件があったことなど嘘みたいだった。

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