表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作家令嬢の田舎追放推理日記〜「推理なんてやめろ」と言われましたが、追放先で探偵はじめます〜  作者: 地野千塩
第3部・スタテル島編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/138

第28話 極秘資料です

 レオン館長、私たちの意図もすぐ汲み取ってくてた。見た目だけでなく、頭も良さそう。


「そうですね。テオはよくここに来てくれますね。そういや、最近、様子が変で私も心配していたところだったが……」


 レオン館長、苦い声を出す。どうやらテオについて心配しているようだった。しかしテオはなぜここに来ていたのだろう。


 私は思わず身を乗り出しつつ、ここでのテオの様子を聞く。クリスも同様だ。


 私たちの鼻息の荒さにレオン館長もリーザも引いていたが、何か思い出してくれた。


「そういえば、テオ。ここの地下にある極秘資料を見たがってたわ。一応案内しておいたけど」


 リーザの言葉にさらに食いつく。相変わらず二人とも引いていたが、とりあえず、地下にある書庫に連れて行ってもらうことに。地下には普段は展示されていない極秘資料が保管されているという。


「百年前、魔王は戦犯として裁かれた。当時の人魚の件の資料なども政府に没収されました。その時の資料もあります。だから案外、あの古城よりここの方が特別な資料があるかもしれないですね」


 レオン館長、そう言いながら地下室まで案内し、書庫の扉を開けてくれた。


 古い本の匂いが鼻につく。本棚には大量の本が詰め込まれ、古城の図書室よりはるかに規模が大きい。


「たぶん、このあたりがその資料? ちゃんと保管はしているけれど、なんせ昔のものだから、かなり劣化してるけど」


 リーザがハシゴに登り、当時の資料を何冊かもってきてくれた。レオン館長は気になる資料を見つけた為、仕事していたが。


 ただ、リーザから受け取った資料はさらに格式高い古語で書かれていた。私もクリスも全く読めない。


「かして。これは面倒な古語ね」


 代わりにリーザが読みあげてくれた。内容は古城で見つけた魔導書とほぼ変わりないが、人魚を殺して得られるものが違っていた。魔導書では永遠の命だが、こちらの資料では「何でも願いが叶う」という。


「ええ。こちらの資料の方が正式。永遠の命が得られるっていうのは噂に尾鰭がついたんでしょう。デマよ。こういう伝説ではよくあること」


 リーザにはっきり言われたが、さらに資料を読み込むと、永遠の命はいくら願っても得られないらしい。死人を生き返らせたり、不老不死など寿命に関しては魔法ではどうすることもできないという。


 拍子抜けした。蓋をあけてみたら、そこまでの威力はないらしい。


「ただ赤ちゃんを願ったら妊娠したとか、余命一月の患者が人魚の命と引き換えに生き延びたケースがあるわ。ほら、見て」


 リーザに別の資料を見せられたが、クリスも微妙な顔だ。私もそう。人魚の命を捧げた引き換えに得た願いだと思うと、口元が引き攣ってしまう。そもそも魔法戦争時代、人魚の命と引き換えに武器の開発のアイデアを得たり、敵国の魔術師や軍人を呪っていたらしいから、本当に笑えない。


「でも今でも願いを叶える為、マリアを生贄にしようとし、暴行した可能性はあるわ。どっちにしろ」


 私はそう結論づけたが、テオはここの資料を探していた理由は不明だ。


 マリアを手に入れようと願っていたのだろうか。だとしたらマリアを生贄にするはずがない。本末転倒になる。調べれば調べるほどどんどんテオが犯像から遠ざかる。一体だれか犯人か。さっぱりわからなくなっていた。


 リーザからも魔法やオカルトに傾倒していた島民がいないか聞くが、全員女性だった。亡くなったチェルシーの名前も出てきたが、事件に関係あるのか上手く結びつかない。


 暗闇でパズルをやっているような感覚がする。この事件、全体像が全く見えない。


 クリスも私と同じらしい。資料を見つめながら、黙り込んでいた。


 そちょうどその時、レオン館長が仕事から戻ってきた。手に「科学の歴史」と書かれた本をもっていた。魔法戦争資料館で科学の本があるのだろうか。意外だ。


「レオン館長、科学を調べているんですか?」


 思わず聞いてしまったが、そのまさかだった。最近の研究テーマで科学と魔法の歴史を追っているそうだ。中世まで遡ると、魔法と科学が混同されていた時代もあり、特に製薬は魔女から知恵を得たという説も生まれているらしい。この魔王一族の島で製薬研究所があるのも、歴史が関係あるとレオン館長は自説を述べていた。


 私は目から鱗だった。魔法と科学。対立しているものと思い込んでいた。実際、百年前でも今でも対立中だったが、案外切り離せないものなのか?


「そうね。魔法もかなり法則性や再現性がある。魔法も科学も実験を繰り返し、何かアイデアを得るって部分は似てるかも? オカルトマニアの仲間で、薬も魔術っていう説を言う人もいると聞いたことがあるわ。確かに怪我や病気が治る薬、昔の人が見たら魔法と区別がつくかわからないわ、ふふふ」


 リーザは怪しげに笑っていた。


 結局、今は事件の手がかりは得られなかった。その代わり、科学と魔法の共通点を知った。目から鱗な情報だ。


「驚いた。魔法と科学が似てたなんて、全く想像もしていなかった」


 思わず呟く。何か自分にも思い込みがあったと気づく。もしかしたら、この事件もそう?


 私の思い込みで邪魔しているものがある?


 それを取り払ってしまったら、犯人の顔が見えるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ