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作家令嬢の田舎追放推理日記〜「推理なんてやめろ」と言われましたが、追放先で探偵はじめます〜  作者: 地野千塩
第3部・スタテル島編

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第24話 手がかり発見?

「しかし、落ち着く……」


 階段を駆け降り、古城の隠し通路にまで来た私。地下にある隠し通路だ。薄暗い。埃っぽい。その上、狭いのになぜか落ち着いてしまう。


 一人になれたからかもしれない。それに、この隠し通路、本格推理小説に登場してもおかしくない。思わず推理トリック、暗号文のネタが頭の中で踊ってしまうが、好きなことを考えているだけでホッとする。


 またクリスが賭けを持ち出した。しかも私の結婚を賭けたもの。良い気分はしない。クリスの子供じみた部分にため息が出てきたが、隠し通路にいたら頭が冷えてきた。


 そうだ。こんな賭け、正式な文書で交わしたわけじゃない。法律的には無効だ。


 それにクリスが負けると決まったわけでもない。むしろ、私たちにはタラント村やアサリオン村の事件を解決した実績もある。私は推理作家でもある。どう考えてもクリスの方が優位じゃないか。


「まあ、そうね。クリスが勝つのに決まってるじゃないの。賭けも好きにやらせておけばいいわ」


 そう思うことにした。万が一、ロルフが勝ったとしても、法的に賭けなんかに意味がないと主張すればいい。特に何のダメージもない話だったじゃないか。


「あれ、この扉は何?」


 冷静になったら、隠し通路の様子もよく見えてきた。短い隠し通路だったが、一つだけ扉も見える。


「この扉、何? そう言えば、マクダは魔法戦争中、闇市で仕入れた食品を置いてたって言ってたけど」


 気になる。百年前の起きた魔法戦争だ。今でも闇市の食品があると思えないが、好奇心が刺激されてしまった。


 ついその扉を開けると、小さな部屋が出てきた。今は物置として利用しているようだ。毛布やまくらなどの寝具、いくつか紙箱が保管されていた。ここも掃除はされてないようだ。埃っぽい。くしゃみが出てしまった。そのはずみで、紙箱が崩れてしまう。


「あ、大変だわ。少し紙箱の中が出てしまった。って、これ何?」


 鼻をぐずぐずとさせながら、紙箱の中見を片付ける。中には鉛筆などの文具類が入っていたが、一つだけ妙なものがあった。それは「チェルシーの私物」と書かれた紙箱に入っていた。


「何、これ? 本?」


 それは本だったが、一般的な小説やエッセイ、図鑑などと雰囲気が違った。カバーは分厚く、表紙のタイトルは古語だ。読みにくい。暗号文を作った時の知識を頼りに、その本が魔導書であると気づく。


「本物の魔導書?」


 我が国、とっくに魔法は廃れている。いくら魔王の末裔の古城にいるとはいえ、驚いた。確かにこの本、紙はかなり劣化し、茶色くなってる。匂いも鼻につく。またくしゃみが出そうだったが、好奇心に負けた。


 古語の知識を頼りに、中をざっと読む。文字も小さく、紙も劣化していて読みにくいが、魔術の方法が書かれているようだ。


 魔法というとファンシーないイメージだったが、案外倫理的だった。きっちりと法則通りに動いているらしい。例えば呪文も口にした回数に比例し、パワーも強まるという。それに魔術を高めるのに、それ相応の代償が必要らしい。断食などの修行や呪文を何千回も唱えたり、恋愛やお酒を断つことでも魔術が強くなるらしい。


「へえ、魔術って意外と論理的なのねー」


 それにも驚いたが、一番予想外だったのは、動物の生贄を捧げることで魔術は高められるというテーマだった。


「うそ、そういうカラクリなの?」


 しかも動物を残酷に殺せば殺すほど、魔力が強まるらしい。動物も虫や小動物ではなく、肉体が大きいものがいいらしい。人間に近い知能を持った動物でもいいんだとか。例えば人魚も効果は高いという。


「人魚も効果大?」


 これは事件に関係あるのだろうか。背中がゾクゾクとする。動物を殺すなんて、魔法のいいイメージはすっかり崩れてしまったが、気になる。特に人間に知能が近い動物を傷めつけると、より魔力が増大することに、目が離せない。


「もしかして、マリアは魔力を増やすために、殴られた?」


 その可能性も捨てきれないが、わからない。だとしたら、今だに魔法に肯定的な人物だが、一体誰?


 しかもこの魔導書の持ち主、チェルシーって誰だろう。気になって仕方ない。


「アンナ!」


 ちょうどその時、クリスが追いかけてきた。バツが悪そうだ。いつものように全く偉そうではなく、下を向き、バツが悪そう。しかも素直に謝ってきた。


「悪かったよ。賭けは調子に乗りすぎた」

「いえ、いいのよ。それより、この魔導書を見つけたわ。何か手がかりになるかも?」


 私はこの魔導書をクリスにも見せた。


「何だこれ、魔導書……? アンナ、読めるか?」


 古語が読めないクリスの代わりに解説しようとした時だ。マクダも追いかけてきた。ものはついでだ。マクダにも聞いてみよう。この魔導書とチェルシーという人物について。


「え、チェルシーね……」


 その名前を出しただけなのに、マクダの表情が曇った。露骨なほど。この様子だと、チェルシーについて聞いていいのか微妙だったが、気になって仕方ない。


 チェルシーって誰?

 

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