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作家令嬢の田舎追放推理日記〜「推理なんてやめろ」と言われましたが、追放先で探偵はじめます〜  作者: 地野千塩
第3部・スタテル島編

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第12話 天敵の登場です?

 その後、食堂を出た私たち。殺害予告は気になるものの、まだ何も起きていないはずだ。それにお腹もいっぱい。カロリー消費がてら、少し海辺を散歩することにした。


 海辺は日差しが強いが、潮風は爽やか。お散歩にちょうどいい。


「ところでクリス。仕事は大丈夫なの? 私はちょうど締め切りを終えて、最初から休みが入ってたけど」

「ああ。大丈夫だ。俺を誰だと思ってるんだ。若き極悪経営者だぜ。仕事など朝飯前でなんとかなる」

「へえ」


 顎をあげ、偉そうな態度のクリスに呆れつつも実際、そうだから仕方がない。


「砂浜の方に行ってみる?」

「それもそうだな、せっかくだし」


 クリスも同意し、海辺の道から砂浜へ。より波音が響いていた。先程はマクダもいたが、今は誰もいない。


「あ、クリス、みてよ。綺麗な貝殻が落ちてるわ」

「どれどれ」


 しばらく二人で貝殻を拾い、呑気にしていたが、だんだんと飽きてきた。確かにここはタラント村やアサリオン村と違い、過ごしやすい。ただ、何かが物足りない。あの二つの村にあり、ここにはないものってなんだ?


 そうか、推理か。推理できないのが退屈なのか。


「まだ殺害予告事件とかわからないけど、誘拐事件はなんとか訴えられないかな?」


 砂浜に腰掛け、クリスに提案した。


「それもそうだよな。推理したいよな。俺もなんか飽きてきたぜ」

「でしょー」


 クリスも隣に腰掛け、改めて二人で誘拐事件を洗っていく。


「お茶の中に毒が混ざっていたのよね。推理小説大好きな私よ、たぶん毒物の名前はイザベラ666だと思う」


 この毒物、かつて宮廷の悪女が使っていた毒らしい。イザベラもその悪女の名前だ。意識は飛ぶが、命には別状はない。我が国の推理小説でよく登場する毒だ。


「毒の入手経路がキーだろうな。ロルフのやつ、一体どこで毒を入手した?」

「わからない。病院、製薬関係、大学の実験室ぐらいにしかない毒よね」


 私、そう言いながらハッとした。この島、確か製薬会社の研究所があった。そこから毒を使った?


「どういうことだ。ロルフたちが毒を研究所から盗んだ?」


 クリスもその事実を指摘したが、わからない。通常、毒物は厳重に管理されているはずだ。盗んだとなれば被害届け等も出ているはず。


「とりあえず、この島の白警団や研究所に行ってみる?」

「そうだな。俺も退屈していた。そうだ、推理しようぜ」

「オッケー!」


 そうと決まると私たちも笑顔だ。拾った貝殻は砂浜に戻し、海辺の道に戻った。


「え?」


 その時だった。意外な人物が前方から歩いて来るではないか。


「あの人、オーレリアン・バラボーでは?」


 自分で言いながら、笑顔が消えていくのがわかる。


 あの男、アサリオン村の白警団の男だった。エリート男だが、親戚に犯罪者がいるし、アサリオン村でも失態に失態を重ね、左遷されたはず。見かけは知的で、実際、エリート男だったが、タアサリオン村では私に濡れ衣も着せ、捜査中もマウントをとり、初対面から最悪な男。天敵といってもいい。


 しかも今日は騎士風の制服を着ていたが、余計に偉そうに見える。確かのこの男、ブサイクでもデブでもない。むしろイケメンよりなので、この制服が似合うが、周囲を睨みつけ、圧がかけていた。


「げ、なんで成金令嬢作家と極悪経営者がこの島にいるんだよ?」


 オーレリアン、私達に気づくと、さらにきつく睨みつけてきた。


「お前、左遷か? でも良かったじゃないか。ここはさほど事件も起きないだろう。暇なのに給料出ていい身分だな」


 性格の悪いクリスだ。オーレリアンに嫌味を言われても、何倍も言い返していた。


 クリスと並ぶとオーレリアン、小物感が強く、本当に頼りない。誘拐事件について何か聞こうと思ったが、やめた。言ったとしてもろくに捜査をしない未来が見える。


「そうね。暇だったら、アサリオン村を舞台にした私の小説、読んでちょうだいね」

「う、うるさいな! アサリオン村の時はお前らが引っかき回したのがいけない!」


 オーレリアンは顔を真っ赤にし、地団駄まで踏んでいた。彼にとって「アサリオン村」は地雷ワードだった模様だ。


「それにオレは暇じゃない! なんせワンオペでこの島で仕事してるし、これから殺害予告の……」

「うん? 殺害予告?」


 クリスはその言葉を聞き逃さなかった。オーレリアンに側により、睨みつけながら、低い声を出していた。


「そうよ、オーレリアン。殺害予告ってどういうことよ?」


 私も気になる。食堂のおかみさんから噂も聞いた。誘拐事件とも何か関連あるのだろうか。


「う、うるさい! 今度こそ俺の邪魔するな。手柄をあげて王都でエリートコースに舞い戻るんだ!」


 オーレリアンは犬みたいに吠えると、クリスの前から逃げていく。


 まったくオーレリアンの出世欲には呆れるが、殺害予告事件が起きている可能性がある。気になる。確かに自分が巻き込まれた誘拐事件も立件したいが、オーレリアンにマウントを取りたい欲も芽生えてしまった。アサリオン村での彼の無礼を思い出すと余計にそうだ。


「クリス、計画変更。あの男のあとを追ってみない?」

「いいぞ、推理しようじゃないか、アンナ!」


 クリスと二人、オーレリアンの背中を追うことにした。心臓がドキドキしてきた。指先も震えてきた。この震えってなんだろう。どう考えても武者震い。

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