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第七話

 やばい。非常にやばい。ここまでやばいと思ったのは生まれて初めてかもしれない。……いや、それはないかもしれないが。

 しかも追い詰めているのはいつも私のピンチを救ってくれる私の婚約者(最愛の人)だ。

 まさかいつも助けてくれる見方が、追い込んでくる敵になるとは思わなかった。


「お願いだ。来月の魔法競技大会、本気で俺と競ってくれ」

「絶対嫌だけど?」

「愛する婚約者の頼みでも?」

「無理。あとなんかこの会話既視感あるな」

「お願いだ。ちゃんと礼もする。お前のお気に入りの本などどうだ?」

「……なんでそこまでするのよ」

「別に何でもいいだろう」

「いや、よくないでしょ」


 逆になんでいいと思った?こんなに毎日必死で隠してるのに?


「理由によっては考えてやらんくもない」

「……今度、新しい制度が学園にできてな。姉妹校交流会があるのは知っているな?」

「あーなんか言ってた気がする」

「結構大事な内容のはずなんだがな……やはり将来が心配だ」

「ボソッと悪口を言うなよ。泣くよ?ないちゃうよ?」

「泣き顔も可愛いから大歓迎だ」

「あー……分かった。こいつ話通じないタイプや」

「ひどくないか?」


 アスラン曰く、来月行われる魔法大会の男子の部、女子の部の両優勝者には姉妹校交流会の時に魔法競技大会で披露した魔法を披露しなければならないらしい。

 やれ、面倒な制度ができたものだ。


「ん?昨年は男子と女子で分かれてなかったよね?」

「今年から始まったそうだ」

「じゃあ競うもなにもなくない?」

「正確には女子の部で優勝してほしい」

「最初とまったく違うじゃん」

「俺と競うつもりで取り組めば勝てるだろ?」

「ごめん意味が分からない」


 しかもそれ、私が身バレするっていうリスクを犯してまですることではなくない?


「俺は会うたびにキャーキャーいってくる女とは魔法を使いたくない。」

「イケメンも大変だねー。じゃあキャーキャー言わない女子に頼めば?」

「そんな奴がいたら既に頼んでいる。第一、俺の顔をみて叫ばない女子などお前とベルくらいだ」

「あー……ベルはコミュ力をお腹の中で蓄えすぎたせいで、魔法の技術をお腹の中に置いてきたもんね」

「つまり、お前しかいないということだ」


 ……こんなに真剣にたのむ姿なんて初めてかもしれない。しかも目にクマができてる。相当悩んだんだな。


「分かった。いいよ」

「本当か?」

「その代わり今度なにか買ってよね」

「あぁ、何がほしい?近くの島でも買うか?」

「いや、要らないわ」


 それならその金額分の本が欲しいんだけど。


「よかった。これで心置きなく優勝できる」

「自信ありすぎでしょ」

「皇太子の俺が負けるわけないだろう」

「ちなみに、私が首を縦に振らなかったらどうした?」

「体調不良で休もうと思っていた」

「いいよって言って良かったー!」


 アスランが体調不良つかったら学園であえないじゃん。そこんとこ考えてほしいよねー。


「それに、俺と一緒にいて叫ぶ叫ばない関係なく、お前以外の女と共に魔法を使いたくなかっただけだ」

「……ふーん」

「なんだ?珍しく照れているのか?」

「昔、アスランと一緒に魔法を使いながら教えてた先生は女の人だったのになーって思って」

「……それは対象外だろ」


 どうかなー。あの先生めっちゃ綺麗だったし、スタイルも良かったから怪しいラインだね。


「……私だって、嫌だよ」

「……?何のことだ?」

「……仲良さそうに他の女と一緒に魔法を使うアスラン想像したら少しモヤモヤしたから私も、やだ」


 本当に、それだけだから。恥ずかしいから、あんま深く考えないてほしい。

 あー絶対に、今顔が赤い。こんなことなら言わなきゃ良かった。

 しかも私もやだってなんだよ。語彙力低下しすぎだろ。赤ちゃんか。


「……あぁ、大丈夫だ」

「信用できないなー」

「だってこの俺だぞ?」

「……納得」


 私の事大好きだもんねー。

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