第六話
学園祭も終わって小鳥の鳴き声が良く聞こえる……あぁ、なんて平和なんだろう。この窓際の一番端の席でゆったりと学園生活を終えたい。
「……だそうです。わかりましたか?」
あの教師うるさいな。人がのんびりと外をみてるときに……これじゃ推しの事を考えようとしても考えられない……否!私の推しへの愛はそんなものか?!
何がなんでも推しの事を考えてやる。推しへの愛で私は勝つ!勝負だ!熱血教師(思い込み)っ!!
「あ、そうそう。学園祭が終わった後で申し訳ないのですが、来月は魔法競技大会ですので皆様準備を進めておいてくださいね」
……負けた。さすがにこれは聞き逃せないって。うわぁ〜どうしよ〜そんなのめっちゃ目立つじゃん。
オタクの私が本気出すのはキモいし、でも真面目にやらずにふさけてりすると、そういうのが格好いいと思ってるイキリ野郎と勘違いされるし。
ここまで来ると普通でいいんだよ、普通で。って自分で自分を慰める私を殴り飛ばしたい。普通ってなんだよ?!普通が一番難しいんだよ!
「ということで無属性魔法 平均的を作ってみました」
「行動力が半端ないな。もういっそ見習いたい」
「全然見習ってくれていいよ?」
「……この国が終わりに近づきそうだからやめておこう」
「それ結構な悪口じゃね?」
「悪口だからな」
「ん?喧嘩する?」
今なら怒りのパワーで全力で殴れるよ?グーで。
「それよりもその魔法のテストは終わったのか?」
「一応ね。だけどまだ不安定かな」
「ほぅ……少し見せてみろ」
「しょーがないなぁ〜。まぁ?可愛い婚約者の頼みなら聞いてあげなくもない」
「なら見せてもらおうか」
「なんで上から言ったのにそれ以上の上から目線で来るのよ」
「上にいるからだ」
「身長差(物理的)でね」
「権力や地位的にも俺のほうが上だろう」
「そうだった。こいつこの国の皇太子じゃん……周りからアホのオーラがでてたから忘れてた」
「それはひどくないか?」
ごめん……思ったことはすぐに口に出しちゃう人なの。許してね?
「もう昼休みも終わるな……速く見せないと時間がなくなるぞ」
「うわっ本当だ……じゃあどうぞ」
「……」
「……」
「「いや、なんで魔法を発動しないんだ!/の!」」
「……は?」
え?
「どういう事だ?お前の魔法発動待ちなんだが?」
「あ、そっか……説明してなかったね。この魔法は私がスタートって言ってから見た魔法の平均を出して自分が使える魔法の中で最も近い魔法を自動で発動してくれる優れ物なのよ」
だからそっちが速く魔法発動してくれないとこっちは魔法使えないのよ。わかる?
「なるほどな……理由はわかったが、先にそれをえ」
「ごめーんね?じゃあ……詠唱省略 無属性魔法 平均的観察」
「詠唱省略 炎魔法 炎龍」
炎魔法かよ。これだから学年一位の魔法はキモいって言われるんだ。……私しか言わないけど。
しかもこれ炎魔法の超上級じゃん。キモいな〜。
「詠唱省略 氷魔法 氷龍」
こっちは氷魔法……。水属性を極めた者だけが扱うことを許された派生魔法。さっきの炎魔法もそうだ。火魔法を極めたものだけが使える魔法。
たしかこいつの使える魔法属性はたしか八属性中四属性だったはず。これ全部派生属性使えんのかな。……だとしたらバケモンじゃね?
「ほら速く平均を出せ」
「はいはい今やりますよー。詠唱省略 無属性魔法 結果」
さぁ何が出るかな♪何が出るかな♪
「……ほぅ、お前もそれが使えたんだな」
「……最近ゲットしたんだよね」
嘘だけど。結構前からゲットしてたけども。みせたくなかったなー。
発動した魔法は草魔法の派生魔法、新緑魔法の翡翠龍
「火と水の間を取って草か。まぁ良いんじゃないか」
「凄いだろ」
「あぁ、凄いな」
「へへっそうでしょ」
「……可愛いな」
「……ん?」
「なんでなもない」
「照れたな」
「照れてない」
照れてないと言い張る私の婚約者の耳は少し赤かった。