第四話
「今日は雲一つない晴天だな」
「こういう日は紅茶と菓子が一層美味くなると昔お前が言っていた事を覚えているか?」
「使用人に頼んで今人気の物を用意してもらったんだが……一緒に食べるのはどうだ?」
「だからだな……その……そろそろそのどんよりムーブ、やめてくれないか」
「……る……ぇ」
「なんだ?ほかに欲しいものでもあったか?」
「うるせぇ!このキラキラ陽キャが!」
「貴族令嬢なのに口悪すぎないか?」
「ふん!どうとでも言ってろ……今の私は無敵だ!」
「だから俺以外から告白されたことがないんだ」
「……もう嫌い」
「無敵という言葉を信じただけなのだが」
お前は私の地雷を踏み抜いた。その罪は重い。
「しかし、どうしてそんなに機嫌が悪いんだ?」
「……来月、なにがある?」
「……学園祭か?学園が誇る有名な行事だが、それがどうした?」
「チッ、これだから陽キャは……」
「関係あるのか?それ」
「学園祭でする主な出し物三つ言ってみて」
「教師人の渾身のコメディ劇」
「それは見るだけだから問題ない」
「クラス毎の魔法演出ショー」
「それも少し関係する」
「じゃあ一大イベントの自分の家のお抱えシェフの屋台出店だな」
「そうそれ!それが問題なの!」
「……なぜだ?理由が思いつかないが」
「出店する時にクラスと学年、家名と名前を絶対書かなきゃいけないよね?つまり……?」
「……あぁ、そういうことか」
「そう!ルピシアって名前がでた瞬間、学年とクラスがバレる……つまりこれ以上ないほどの完璧な身バレをしてしまう!」
「もう、ばれてもいいんじゃないか?」
「噂の完璧婚約者がこんなガチ陰キャだとバレるなんて……あるまじき行為ッ!」
「話聞いてるか?」
「もう……学園を辞めるしか……」
「待て待て待て待て」
そのレベルでやばい。学園祭については前々から注意していたのに……。昨日デートして浮かれてたから忘れてた。
でもデートしたことを後悔はしてない。なぜなら楽しかったから。
「少し話題がずれるがいいか?」
「これより重要な話題ならどうぞ」
「ちょっと圧かけてくるな」
しょうがないじゃん、一大事なんだから。
「……俺と一緒に学園祭を回らないか?」
「……馬鹿なんですか?」
たった今、身バレするかもって悩んでんのになんでそれ以上身バレ確率が高い案を出してきたんだよ。
「皇太子と一緒に学園祭回ったらもっと身バレ率上がるじゃん。話聞いてた?」
「しょうがないではないか。学園祭のような一大イベントは好きな者とまわりたいんだ」
「……あっそ」
はぁ……ずるいな。また私だけもっと好きになってくじゃん。……最終的は責任をきっちり取ってもらわないとなー。
「……魔法で顔変えるかあっちから認識できないようにするなら良いよ」
「……良かった」
そんなわかりやすくホッとするなよ。ちょっとうれしいくなっくるじゃん。アスランのくせに……。
「そっちから誘ってくれてもよかったんだぞ?」
「……じゃあ今誘うね」
「あぁ、分かった……ん?」
「来年も再来年もそのまた先も学園祭だけじゃなくて全部のイベント一緒に見に行くから。これ約束」
「……やはり我が婚約者は俺のことが大好きだな。二回目の何年もずっと一緒にいる宣言を自分からしてくれるとは」
「なっ……そんなんじゃないから」
「あぁ……我が婚約者は恥ずかしがり屋だったな。
いつも見ていて本当に飽きない。一緒にいるだけで
しあわせだ。昔なんて俺に向けての愛を書いた
手紙まで送って、その事を隠し通していた。なぁ?
ルピシア」
「っ……覚えてない。しかも急にたくさん言われてもって感じだから!」
急に名前呼ぶなよ。いつもはお前って呼ぶくせに。いつもは恥ずかしがって名前呼ばないくせに。
「……縦読み」
「……え?なんて?なんか言うならもっとはっきり言わないと聞こえないっての」
「いや、何でもない。」
「へぇー、それより本当に、屋台どうしよ」
「……思ったのだが、ルピシアって書かずに偽名のライナの方をかけばよいのではないか?」
「……たしかに」
やっぱ頭良かったんだね、ちょっと見直したわ。