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鵺一部一章の反省文

※ネタバレです


 冒頭の夢は蕾生らいおが見ているのですが、蕾生自身は全く覚えていません。


雷郷らいごうの視点〉 

 ざわざわと木々が煩いほどに揺れている。

 視界は真っ暗で、もう何も見えない。お前が泣いている姿さえも、何も。

「ああ……これはおれの罪だ」

 違う。お前は何も悪くない。

 俺が弱かったから、守れなかった。


〈転生32期のライの視点。雨都うとかえでに言われた言葉〉

 赤い、赤い葉が生い茂る木の下で彼女は言った。

「もっと自分のことを考えていい」

 俺はそうは思わない。あいつの方がずっと辛い選択をしている。だけど彼女は首を振る。

「キミは何になりたいの?」

 その答えは考えたこともない。


〈転生33期のライの視点。リンを気にしている〉

 無機質の中で、アイツの声にならない叫びを聞いた気がする。

 だめだ。その手をとってはいけない。

 けれどそれを伝える術がない。


という感じになります。走馬灯として見ているイメージで書きました。


 銀騎しらき研究所に見学に行くくだりですが、当初ははるかがもっと活発な性格だったので「UMA探検に行こう」と怪し気な施設にいきなり忍びこむ話でした。しかし、何度も転生を繰り返している永が宿敵の銀騎に対してそんな無鉄砲なことしないだろう、と思い直して見学会という設定にしました。


 そういう感じで、今の永の性格は計算高いものになっています。後悔はないのですが、話の冒頭にしては地味な展開が続くことになっているのが自分でも残念に思っています。どうすれば良かったんだろう…


 研究所に行く前に蕾生がまた夢を見ていますが、これは現在の蕾生が永との出会いを夢に見ているので、ちゃんと覚えている夢です。と言うより過去の思い出です。

 蕾生と永の「幼馴染感」を表現するために書いた部分ですが、本当は入学前からのエピソードなども入れたかったです。でも冒頭から前情報ばっかり書いてもつまらないし、全然話が進まないのでそこはカットして、夢に集約しました。成功しているかはわかりませんが。


 このお話は現代ファンタジーですから、ツチノコが生物として存在する世界観です。以下に本編で出しきれなかったツチノコのここでの設定をご紹介します。長いので読み飛ばしても大丈夫です(笑)


 フィールドワークで訪れた山中で銀騎しらき詮充郎せんじゅうろうが遺体を発見。

 詳しく鑑定した結果、ヘビでもトカゲでもないDNA|(キクレー因子)を採取。

 一年かけて、生存している個体を捕獲することに成功。

 そこからさらに一年かけて生態を詳しく調査。

 発見場所の山中に、数体の群れを見つけ、保護。

 現在は銀騎研究所がその山を買い取り、30年かけて繁殖させているが、成果はあまり出ていない。

 この為、ツチノコは新種生物として登録されたものの、絶滅危惧種の扱いとして、生息地の山は立ち入り禁止になっており、入れるのは銀騎研究所の職員のごく一部と銀騎詮充郎が懇意にしている限られた学者のみである。

 なお、国のレッドリストには載っておらず、その為、銀騎研究所がツチノコを飼育しても法律違反ではない。

 だが、ツチノコの特性と銀騎が公表している頭数ではあきらかに絶滅危惧種に相当していることから、ツチノコ研究を独占している銀騎研究所とそれを許している政府の間には黒い噂も出ている。


 ツチノコは本当にいた、というのがこの話の世界観に関わる根幹なので、一生懸命いろいろ設定しましたが、そこを作中で掘り下げても全然鵺に迫れないので大部分を割愛しています。


 銀騎研究所でリン(鈴心)に初めて会いますが、もっと早く登場できなかったものかと悔やんでいます。多分、設定を盛り過ぎたせいです。リンに会う前に蕾生の怪力も表現したかったのでああいう感じになりました。頑張って作った設定を丁寧に説明したかったと言えば聞こえはいいかもしれませんが、結局のところまとめられなかった自分の力不足を痛感しています。


 ちなみに、リンの容姿には明確なイメージがあります。

 日本人形です。なので黒髪ストレートの小さい女の子になりました。

 当初はリンも同級生でしたが、紅一点が中学生って可愛いくない?ってなって、ほぼ思いつきがそのまま採用になってます。とにかくリンは可愛い女児として書きたかったのです。


 永の前世であるはなぶさ治親はるちかは、「平家物語」に出てくる源頼政がモデルになっており、鵺に関する話はほぼ頼政の鵺退治のエピソードです。雷郷は猪早太、リンは渡辺唱です。前世を実在の人物とはせず全て名前を変えたのは、史実に縛られることなく自由に書きたかったのと、世界観の設定上、別人物でなければならない理由があります。それがこの鵺シリーズの肝でありますので、いつか公開できるまでお付き合いいただけたらこんなに幸せなことはありません。


 解説という名の反省文みたいになりましたが、読んでいただき誠にありがとうございました。今後も章ごとに反省文を提出しますので、またよろしくお願いします。

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