鵺一部五章の反省文
今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。
五章の反省文を提出します。
この章から、いよいよ銀騎詮充郎&皓矢と直接対決していくわけなのですが、永達が探索する倉庫的なものの設定が甘いなーと思っています。
詮充郎専用の研究室があると鈴心から言われている上、萱獅子刀があるならそこじゃね? という結論に達したにも関わらず、別の警備の薄い、すなわちあまり重要そうではない倉庫の方に忍び込む……ってどうなの? と私が読者ならつっこみます。
永としては、そこに萱獅子刀がないのはわかっているけど、他にも何かヒントがあればいい。何しろ鵺の呪いの詳細が本人達もいまだにわかっていないし、散々ツケ狙っている銀騎なら独自に鵺の研究をしているかもしれない。と言う理由をもっと強調して書けば良かったな、それでも弱いけど。と思います。
一章の反省文で申し上げましたが、当初は永がもっとアクティブで、いきなり研究所に忍び込んで、変な生き物と遭遇する……という筋書きを考えていました。が、永、そんなことする? あの銀騎だよ? もっと慎重になるんじゃない? と思ったため、一章は見学会でリンと遭遇する話に変えました。そのリベンジを五章でやりた過ぎました(笑)
どうしても! 蕾生がキメラ生物とバトルする場面を書きたかったのです。
どうしても! 皓矢が颯爽と現れて、ニヒルに助けてくれる場面を書きたかったのです。
ですから、五章の内容には個人的には満足しています。が、ご都合的で弱いなーとも思っています。
この辺から皓矢の不思議な呪文が登場します。五章に出てくるのは、扉を開く呪文で、考えるのに一時間かけました。
「拝眉枢銀座」は翻訳すると「偉大なるお祖父様のおわす所へ伺い申し上げます」みたいな感じです。
拝眉が会いに行くの謙譲語で、枢が偉大な、銀は詮充郎のイメージカラー、座が部屋とかのイメージです。
銀騎は陰陽師の家系ですが、古来からの祝詞は最近は使わないという設定で。皓矢の父が発明した独学の陰陽術、主に言霊による呪文でことを成そうとするという設定です。言霊に何文字かけるかが術の強さであり、最低何文字で発動できるかが術者の力量を表しています。
皓矢の場合は最低5文字が必要と設定しました。なので、後から出てくる呪文もだいたい5文字です。術の発動に5文字かける皓矢が、6文字以上の言霊を発すると、術がより強くなります。この辺の設定は、三部にも出て来るので追い追い……
後半はついに生(笑)詮充郎と対決です。私としては、ついにこいつを動かすんだ……! と興奮した事を覚えています。当初はただの化学マッドサイエンティストのみの設定で、陰陽師的要素がありませんでした。しかし、彼の化学的興味の中に、陰陽師としての視点も入ることになり、詮充郎の複雑な思考と人生を形成できたと思っています。彼については六章で語るとして、詮充郎と永の関係が、この時点でどんな感じなんだろうと想像した時に、永は鈴心を取り上げられたので、激オコだろう。対して詮充郎は、再び彼らに会うことができて内心スキップするほど喜んではいるが、そういうのは皓矢の手前、見せないんだろうなと思って、冷静な感じになりました。熱と冷を対比して書けていればよいのですが。
詮充郎がウキウキして(笑)、蕾生の鵺化をばらします。あそこが彼のハイライトです。うーん、悪役!
そんな蕾生の鵺化を星弥がとどめた描写をしました。当初から思うと、星弥の存在はかなり重要なものになっています。そこに後悔はなくて、星弥もここで初めて準主役の一人になれたかなあと思っています。星弥の裏設定はまだ言えないんですが、ここで蕾生の鵺化を止められたのは、単に「乙女の純粋な愛」が届いたとかのロマンティックなヤツではなくて、ちゃんと別の合理的な理由がございます。
その後、公園で転生ゼロ期(英治親の時代)を永と鈴心の口から語るのですが、ギリギリまで「過去に戻って治親達の主観で描写する」方と迷いました。そちらにしなかったのは、一部はシリーズ全体のプロローグ的な内容で、ある意味「自己紹介」的な話としてサクッと進めたかったので、あまり登場人物を増やしたくなかったのであります。一部は治親達に焦点をあてた話ではなく、銀騎詮充郎にスポットをあてたものにしたかったのです。また、主人公は「蕾生と永」だと印象づけたかったため、治親達が具体的に動くとそこがブレる気がしました。
おお、さすがに五章は語りたいことが多くて長くなりました。
六章も長くなったらすいません。多分、銀騎詮充郎についてくどくど語ります(笑)
ありがとうございました。
 




