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2/2

2初陣

 今回我が隊が投入されるのは、どちらの国であっても防衛線があやふやな部分であり、そこを完全に支配すればこの戦いが終結に進むであろうと推測できる場所。サンタナの大森林である。我が鯛は狙撃兵要部隊と言ってもいいほど狙撃向きなので、このサンタナの大森林に投入されたのだ。

 前の世界でも、森の中での狙撃戦というのは多く物語で描かれていて、サイコパスではないが狙撃兵として森の中で狙撃戦をするのは密かなあこがれでもあったのだ。


 『じゃあ、行くか。』


 そう言って、自分の隊員へ呼びかける。みんなの顔から緊張と覚悟が感じ取れる。他にも、自分の隊以外にも10くらいの狙撃部隊が森の中へゾロゾロと入っていく。

 森に入ってから1時間ほど中に進んだとき、東の方から銃声が聞こえてきた。どうやら接敵したようだった。


 『キーペ索敵兵よろしく頼む。』


 この国では一応魔法があり、それに伴い、多分特等兵あたりが作ったであろう魔法具というものがある。索敵兵は自分で魔法がつかえなくとも魔法具を使えるという者が割り当てられる。しかし索敵兵は意外と少ない。この世界では魔法具すら使えない者が大半なのだ。元の世界で言う某◯ラゴンボールのレーダーみたいなやつであり、友軍か敵軍かは自動で判断してもらえ、友軍は青、敵軍は赤で表示される。こんなレーダーが何故あるのかというと、我が国はこの世界では結構魔法という部分では先を進んでいるのだ。特に索敵の部分ではどっかの誰かが作ったレーダーのお陰で、この世界トップクラスの索敵力と言っても過言ではないほどだ。


 『結果が出ました。ここから南東4キロ先に友軍が居り、そこから北へ0.8キロほどの距離に敵軍がいます。現在は膠着状態であると考えられます。他の友軍は、まだ接敵していないようです。』

 『そうか。では我が隊は東へ進み、敵軍の横腹をつくぞ。敵軍にも、もしかしたらレーダー持ちがいるかもしれない。気をつけろよ。』


 意外と初めてにしては指示も出せている気がする。0.8キロほど間隔が空いてることから、狙撃部隊同士でドンパチやっているのだろう。 敵軍に近いところまで進んできた。相手側にはレーダーもちが居なかったのか、こちらには全く気づいている様子はない。せっかく奇襲が成功しそうなので、とりあえず適当に打つのではなく指揮官や隊長などを撃てた方がいい。手で隊員に待ての合図をしながら、スコープで相手の隊を見る。相手部隊は15人ほどの部隊で、結構大きい。この世界の狙撃部隊としては中の上くらいの規模である。指揮をしているのは、多分なかなかの立場の者であろう。大体、指揮官っぽいやつを数人に絞ることができた。


 『これから戦闘を開始するが、敵部隊に大きな損害を与えるため、指揮官を狙う。キーペ索敵兵は周辺を警戒。サンド、タバリはスコープを覗いてくれ。』


 それぞれに最初に狙う敵兵を割り当てた。


 『撃ったら即、南に移動だ。俺の合図で行くぞ。5,4,3,2,1…』


 パァンと弾けるような音がして、弾が飛んでいく。最年少サンド狙撃兵が敵を打ち漏らしたが仕方ない。逆に、タバリと俺はよく当てれたもんだと思う。


 『走るぞ。キーペ索敵兵はレーダーの更新もできれば同時進行で頼む。できれば友軍に合流する。』


 隊列を一列に走りながら組み、南下していく。

 相手部隊がこちらに気づきアサルトライフルっぽいやつでこちらを狙ってくる。ヒュッ、ヒュッっと音がしてさっきまでいた場所を無数の弾が襲う。相手部隊はレーダーがなく、森の中で、離れているので移動の音も聞こえにくい。もう、移動したらほとんど弾が当たる可能性もないだろう。また、こちらがヘイトを買い、友軍への攻撃が弱まったのを見て、友軍が前に出始めた。


 そして、敵を押し込む友軍と合流することができた。


 『この隊の指揮官は?』


 そう呼びかけると、堅実そうな30代っぽい青年が出てきた。


 『私がこの隊の指揮官。チェピア・トーマス一等兵だ。我が隊は、20人構成の一般部隊で、狙撃兵7,一般兵13の隊だ。貴殿は?』

 『私はニコル・グルマク一等兵です。私の隊は、狙撃部隊で狙撃兵3,索敵兵1の4人構成です。さっきの狙撃のとき、私の隊が南下する手助けをしてくださり、ありがとうございます。このまま押し込んでもいいのですが、それでは逃げられてしまう可能性が高い。別働隊作りたいのですがいいですか?』


 チェピア一等兵は驚いた顔をした。見た目的には自分は20代前半と言ったところなので、驚いたのだろう。まぁ、精神的にはチェピア一等兵と同じくらいか、それより上なのだが。だがすぐに少しは話がわかる指揮官が来たと思ったのか、少しだけ嬉しそうに言った。


 『ちょうど私も考えていたところだよ。私の隊には一般兵がいるから、別働隊は私達が言って、一網打尽にしたほうがいいだろう。もちろん君たちの隊だけにここを任せるとは言わないさ。3人ほど置いていくから、相手を撃つ火力が大きく変わらないように頼むよ。火力が変わって別働隊の存在がバレたら意味がないからね。』

『よろしく頼むよ。』


 チェピア一等兵率いる別働隊は、北へ向かって走っていった。俺はホッとした。相手部隊はほとんど狙撃部隊だったので、別働隊が距離を詰めればあまり被害もなく制圧できるだろう。


 別働隊が北へ行ってしばらくした頃、レーダーを見ていたキーペ索敵兵が焦りながら声を張り上げて言った。


 『敵部隊は殲滅できたのですが、5キロほど先から1人ものすごい速さで来ています!』 


 このことが意味することは、最悪の状況だった。我が軍で言う「二つ名」持ちのような、狂ったほど強大な力を持っている敵の可能性が高いからだ。


 『やばいぞ!そいつは「二つ名」持ちである可能性が高い!一般兵はチェピア一等兵の援護、情報伝達を頼む。急げよ!』


 そう言って、こっちに残ったチェピア隊の兵を向かわせた。


 『キーペ!今ここから一番近い友軍はどこだ?』

 『ここから東に2.5キロ。サンタナの森を出ますが、大規模の隊がいます!』

 『タバリ、そこに援軍を要請しに行くぞ!チェピア隊の命は俺等にかかってると思って走るぞ!キーペとサンドはここに残って待機。必要であれば撃っても構わないが、気をつけろよ!』


 そうして、俺たちは走り出したのだった。幸い道中的には合わず、大規模の隊についた。ついてすぐ叫ぶように言った。


 『ここの隊の指揮官に会いたい!「二つ名」持ちの可能性の高い敵が現れたんだ!早くしないと足止めしてもらっている隊が全滅してしまうぞ!』


 苛つきながらなんか偉そうな兵が言った。


 『お前!この隊は本隊だぞ。そんな不確定な情報で数多くの兵を動かせるわけがないだろう。』

 『今ここで本隊を動かさなかったら、もっと被害が広がる!この情報は二等索敵兵の情報だ。早く動かせ!』


 こんなことしてる場合じゃないのに…と思っていたら、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 『おい。騒がしいぞ何が起こったんだ?』


 偉そうな兵が驚きながらも言った。


 『これは准特等。この兵が急に走ってきて、「二つ名」持ちがいるから本隊を動かせ。と確かな情報がないのに騒いでるんです。』


 准特等?と声のした方を見ると、アキヤマ准特等だった。


 『巧、その話は本当なのか?』

 『はい、アキヤマ准特等。』 


 俺の回答を聞いたアキヤマ准特等は、少し悩んだあとこう言った。


 『よし、私が一人でいこう。それなら文句もないだろう。巧、大体の場所を教えてくれ。』


 俺が大体の場所を伝えると、人間離れした速さですぐに出発してしまった。


 『タバリとりあえず走るぞ!』


 キーペたちのところに帰ると、キーペが深刻そうな顔をしていった。


 『レーダーを見ているとチェピア隊は壊滅。途中から来た正体不明の友軍、敵「二つ名」持ちらしきものと交戦中です。今はチェピア隊のところから西に1キロほど離れたところにいます。』

 『よし、今からチェピア隊のところに行き、負傷者を手当しながら、とりあえず東の本隊に合流しよう。』


チェピア隊の下へ着き、負傷者の手当をしながら、敵の話を聞いていた。チェピア隊の隊員が震える声で話してくれた。


 『あれは化け物だ。気づかぬうちに3人は狩られていたよ。まるで建国記に出てくるような獣人だった。チェピア隊長が殿を務めてくれて、アキヤマ准特等が来られるまで頑張ってくれたよ。チェピア隊長には感謝してもしきれないよ。』


 そのチェピア一等兵は片腕を失っていた。痛みと戦いながらチェピアは話してくれた。


 『あんな化け物、片腕で済んだだけマシさ。ここはアキヤマ准特等に任せよう。』


 そう言って撤退しようとしていたとき、アキヤマ准特等が吹っ飛んできた。その方向を見るとTHE獣人というやつが出てきて言った。


 『おいおいおいおいwあの「風刃」もこんなもんなのかぁぁ?』

誤字報告やアドバイスがあれば言って欲しいです

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