第35話 幕間 ヘカテー
一条TOMA奈緒と申します! Vtuberでもあります。
ここまでお読みくださりありがとうございました!
第二部へと繋がる話です!
どうぞお楽しみに♪
「虚しいものだな」
周囲が血の匂いで充満している。
ふふふ……私の周りはいつもこうだ。
こうして仮初の身体で生活していても、結局血にまみれた世界へと足を踏む入れることになってしまう。
ジリ。足元が何かを踏んだようだ。足を挙げてみると、ダンジョンの土の上で、粉々になった白い骨が散らばっている。形から察するに、何かの生物の手の骨らしい。……人間の手かもしれない。
「おっと、これは失敬」
一礼してダンジョンの土に小さな穴を作り、その中に骨を入れて埋めてあげた。
「東方式だけど我慢してくれ」
私は両方の手のひらを合わせ、念じた。
「しかし、全員分埋めるとなると……骨が折れるねぇ」
私は周囲を見渡した。そこには至る所に死体が転がっている。
鎧を着たリザードマンの死体、ブラックウルフの死体、ベノムスパイダーの死体……様々なモンスターの死体が転がっている。そして、冒険者達の死体も。
壮絶な戦いがあったのだろう。一目見れば、何が起こったのかはおおよそ推察できる。
「あ……危ないぞ!」
「おや?」
突然、息も絶え絶えになった冒険者の男が私に声をかけた。
その瞬間、大きな顎を持った四つ足の地龍が私に襲いかかってきた。しかし、私はもうその場所には居なかった。
「ふふふ……ネームドエネミー【アギト】か。なるほど、キミがこの惨状を作り出したんだね」
「何を悠長なことを! また来るぞ!」
「ふふ……キミは今にも死にそうなのに親切だねぇ」
再び私に大きな顎が襲い掛かってきた。かなりのスピードだ。しかし、私の身体は闇に包まれると、すぐさま別の場所に転移した。【アギト】の攻撃は空振りに終わる。
グルルルルルルルルル……グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
怒り狂った漆黒の地龍は幾度となく私に襲い掛かった。しかし何度試みようと、瞬間移動して回避する私にダメージを与えることはできなかった。
「ふむ。キミは東方の熱帯地域に生息する鰐という生物に似ているね。大きさは犀くらいか。どれ、お腹が空いているのなら私が作った特製ハンバーガーをあげよう」
私は能力を使い、【アギト】の口の中にハンバーガーを転移させた。しかし、【アギト】はすぐに吐き出し、私に向かって突進してきた。
「これは、食べ物を粗末にした罰だよ」
私は冷たく言い放ち、地龍の背に転移した。そして、黒い闇の魔力を右手に集め、地龍の背から心臓に向かって手を伸ばした。
グルルルルルル? グガ……グガアアアアアアアアアアアアアアア!
「苦しいだろう? ふふふ……ははは……はははははははははは! もうすぐ終わるから我慢したまえ」
ネームドエネミーと呼ばれる存在は冒険者達から恐れられる、災害のような存在だ。しかし、私にとってはそう感じない。私にとっての災害とは……まさに彼女達のことだ。
「おやすみ」
私は右手を強く握った。その瞬間、【アギト】の体内の核が割れる音が聞こえた。
ガ! ……ガガ……アアアア……。
ネームド・エネミーはこと切れて動かなくなった。
♢
「さて、そこのキミ。まだ生きてるかい?」
「ああ。それにしてもアンタは何者だ? いとも簡単にネームド・エネミーを倒しやがって……」
ダンジョンの壁に寄り掛かり、肩で息をする青白い顔の冒険者。片足、片腕を失い大量に出血している。今こうして口を動かしているのも奇跡的な事だろう。
「私……か。そうだねぇ。ヘカテーとでも呼んでくれ。名前に意味は無い」
「は、はあ」
「ところで、どうする?」
私は、助かる見込みのない男に質問をした。
「はは! 何だ? 楽にしてくれるのか?」
「できれば自分の手を汚したくないな、とは思うよ。だけど怖くないのかい?」
「ああ。怖くないね」
男は真っすぐ私を見つめてきた。私は近づき、男の顔をまじまじと見つめた。男は初老で経験豊富そうな雰囲気を纏っている。顔は女性人気よりも若い男性に頼りにされそうな短髪で渋い顔立ちをしている。
「怖くないのは何故だい?」
「向こうで待ってくれている奴らが沢山居るからな」
男は視線を横に外した。私もその先を追うと、暗がりの中で横たわっている遺体が数人分あった。
「家族は?」
「妻があの中に。ガキは……俺の両親が何とかしてくれるだろう。……なんだ? 納得していなさそうな
顔をしているな」
「ふふふ……まあね。私は美しいストーリーが好きだからね。私は夢想家で傍観者で小説家なんだ。ふふふ……あははははははははは!」
私は能力を発動し、男と数人分の遺体を闇のような黒い魔力で包み込んだ。
「な……何をするッ?」
「キミは生きて彼等を弔うといい。子供には……これでも食べさせてあげるんだ」
私はハンバーガーを男に渡した。
「気に入ったらまた食べに来ると言い。屋台を開いているから」
「ちょっと待ってく――」
私は手を振りながら、男が転送されるまで見送った。今頃地上の冒険者ギルドで救助されている所だろう。
♢
「はあ。無駄な魔力を使ってしまったな」
私はハンバーガーを食べながらダンジョンを歩いていた。途中幾度となくモンスターに襲われたが、右手に持っている刀で全て一刀両断した。
ネームドエネミーは魔力を使って倒したが、今は省エネしないといけない。刀技で倒せる相手であれば、それで済ませる。それに、このダンジョンの難易度はそこまで高くない。
私はもっと驚異的な相手と戦ってきた。
「さて、お姫様達はこの扉の向こうか」
――ダンジョン地下50階層の扉。
本来、四人以上の冒険者でないと入ることができない領域。しかし、私は冒険者ではない。
「食事も終わったことだし、行きますか」
私はハンバーガーの包み紙をくしゃくしゃにして地面に捨てた。
そして、私は重い鉄の扉を開けた。
今回もお読みくださりありがとうございました!
皆さまが沢山見てくださったり、ブックマークしてくださったので早めに第二部進めないといけないなと思い書かせていただきました!!
ありがとうございます!!!
ぜひ、今後ともお楽しみください!!
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