第32話 失いたくない
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どれくらい時間が経ったのだろうか?
下の階から聞こえる悲鳴が断続的に聞こえ続けていた。ボク達は緊張で時間の流れがゆっくりに感じていた。
――やがて、下の階から悲鳴が聞こえなくなった。
ボク達は目で合図し合った。そして、ボクは出入口の様子をじっと目をこらした。
――瞬きした瞬間に命を落とすかもしれない。
そんな恐怖がボクの胸中を支配した。でも、ボクはそんな恐怖を振り払うように、カナの姿を思い出した。ボクは一人じゃない。
ボクは静かに、深く呼吸をした。
――そして、その時が訪れた。
「今だズーレ! 【ルーム・クリエイト】を解除!」
ボクは暗闇に突如、二つの光る黄色い目が浮き上がった瞬間に防御態勢を取り、ズーレに指示を飛ばした。
――ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
作戦通り、アサシンが爆発板を踏み抜き、爆発が生じた。しかし、危険を察知したアサシンはすぐに脚力を活かし、空中に飛び上がった。ヘヴィメタルと水が反応するタイムラグの間で躱されてしまった。しかし、爆風と衝撃波まで躱すことができず、アサシンの身体は天井に打ち付けられた。
「今だカナ! 【スペース・クラッシュ】!」
アサシンが地面に落ちた瞬間を狙い、左右に設置された爆発筒を爆破させた。
左右から挟み撃ちになる恰好でダメージを食らわされたアサシンは煙の中からよろよろと出てきて鼻先を覗かせた。
「今だ! 左右から攻撃!」
大声で指示を飛ばすボクに集中が向いてるアサシンは、迷わず前進した。しかし、左右からカナとズーレ達による挟み撃ちを食らったアサシンは、まともにその攻撃を受けることになった。しかし、アサシンの身体は強靭で、致命傷まで与えることができなかった。
――グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
怒り狂った様子で身体を振り払いズーレ達の攻撃を振り切ると、ボクに向かって突進してきた。
――今だ!
ボクは手に持っていた『閃光銃』をアサシンの両眼に向け、引き金を引いた。
――キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
アサシンはずっとダンジョンという薄暗闇の中で生活してきた。だから、こういう強い光に目は慣れていないはずだ。
強烈な光をまともに浴びたアサシンは視力を奪われ、その場でのたうち回った。
「次はこれだ!」
ボクは持っていた吸血グモで作った小包を投げた。これはかつてボクが財布代わりにしてカツアゲから身を守っていたアイテム。今は中に毒性のキノコと唐辛子の粉を混ぜ込んだ刺激物が入っている。
「カナ!」
カナはボクの意図をくみ取り、【スペース・クラッシュ】を発動させて小包を粉砕した。すると、刺激物の粉がアサシンと包み込んだ。
――キャウウウウウウウウン! キャウウウウウウウン!
目と鼻を前足で擦りながら、アサシンはその場で苦しそうに暴れた。
しかし、そんな隙を作れたのは一瞬で、すぐに体勢を立て直してこちらに突進してきた。
「まだまだ!」
ボクはモンスターや荒くれ冒険者から身を守っていたフンまみれのローブをアサシンに向かって放った。そして、ローブがアサシンの鼻にかかったのを見て、『聖水玉』を投げた。
――聖水玉は、ボクのおしっこを入れた壺である。
「今だ! 総攻撃!」
――ギュウウウウウ! ギュウウウウウウウウ!
アサシンは嗅覚に優れたモンスターである。刺激物からの強烈な臭い攻撃を浴びせれば、こちらへの攻撃精度も鈍るはずである。
「このおおおおおおおお! よくもポルカのおしっこをおおおおお! ズルい!」
カナはよくわからないことを大声で言いながらアサシンに襲い掛かった。皆必死だからカナの言っていることが耳に入っていないけど、恥ずかしいからやめてよね。
ボクは顔を赤くさせながら連弩をアサシンに向けた。そしてズーレ達やカナに当たらないようにしつつ、矢を連射して攻撃した。
全て作戦通りに事が進み、順調にアサシンに攻撃を加えることができた。
皆の顔に安心の色が浮かんだ瞬間、ボク達は現実はそう甘くないことを思い知らされた。
――グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
アサシンはめちゃくちゃに暴れ回り、カナやズーレ達を吹き飛ばした。その予想できない動きに皆は翻弄され、思わず足を止めてしまった。
――ボクも。
「あ、やばい」
気付いた時には遅かった。
アサシンのガバっと開けた大きな口がすぐそばまで迫っていた。
急に時間の流れが遅くなり、アサシンの鋭利な牙がボクに襲い掛かるのをスローモーションで見るハメになった。
「タダでやられると思うなよバカ野郎」
ボクは、力を振り絞り、右腰に備えつけてあった爆発筒を投げた。
「ごめん、カ……ナ?」
ボクはカナに謝ろうとした時、急に身体に衝撃を感じた。そして後ろに飛ばされた。
「ポルカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
そんなカナの雄たけびを聞きながら、ボクの顔は血に染まった。
「カナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
そして、カナの右腕が宙を舞い、地面にボトリと落ちるのを見た。
カナの『力』を象徴する右腕。
どんなに苦しい時でも、その右手は拳を握り、耐えてきた。
そして、ボクの手を繋いだ手。
そんな、ボク達にとってかけがえが無いものを奪ったアサシンに、ボクは憎悪を向けた。
「このおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 畜生がああああああああ!」
ボクは心の奥底から湧き上がる怒りで奮い立った。そしてカナの右腕を拾い、カナの身体を引っ張って『緊急避難場所』の大穴に向かって走った。
――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
アサシンが「逃がさない」と言わんばかりに雄たけびを上げ、こちらに大きな口を広げて噛みついてこようとしてきた。
「カナ!」
ボクはカナを信じてその名を呼んだ。
――ボクとカナは以心伝心していた。
カナは残った左手を握りしめた。
――【握力強化 スキル技:スペース・クラッシュ】
空間を握りつぶす。これにより対象を自分の眼の前に瞬時に移動させたり、自分が目的の場所へ瞬時に移動したり、空間ごと壁を変形させることができる。
カナはスキル技で地面に転がる爆発筒を起爆させた。
――ギャウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
足元で生じた爆発をまともに食らったアサシンは泣き叫ぶかのような悲鳴を上げた。
その隙にボク達は退避し、大穴に逃げ込んだ。
そして穴の中に入り、穴をカナの【スペース・クラッシュ】で塞いだ。
ついに第一部最終章に突入!
ここから大きく話が動いていきます。
連休中はこの作品で楽しんでいただけたらと思います!!
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