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第27話 ネームド・エネミー討伐作戦会議

一条TOMA奈緒と申します! Vtuberでもあります。

毎日投稿します!!

ぜひともブックマークお願いします!


今回もお楽しみください♪

GW中「の休日」は大量投稿予定!!

「早く助けに行くわよ!」


「待ちなさいミカ! 準備が必要よ!」


 ボク達はユメ含め傷ついた冒険者達を冒険者ギルドの医務室へ連れて行った。そして、冒険者ギルドの職員と共に、まだダンジョン内に取り残されている冒険者達の救出活動についての会議を開いた。メンバーはギルドマスターとギルド職員5人、そしてイクリプス姉妹とボクとカナの合わせて10人。


 ギルドマスターの姿はこれまで遠目でしか見たことが無かったが、身長2メートル近くある大男で、立派な髭を鼻下と顎に生やしている。また、右足と左腕が義手になっており、過去に壮絶な戦いを経験したことを伺わせる。現在は王国に雇われた職員であるが、元々冒険者として活躍していたらしい。


「うるさい! こうしている間にもまだダンジョン内に居る仲間達が……!」


「準備が足りずに私達が命を落としてしまったら……誰も助けることができなくなってしまうわ!」


「大丈夫よ! 私達は最強よ! こういう時のために『最強』は存在するの!」


 そして、ミカさんとオボロさんの口論を黙って見ていたギルドマスターは苦々しい表情をしながら言った。


「俺としても、万全な準備をしてから救出に向かってほしいと思っている。君たちが最終防衛ラインなんだ。君たちを準備不足が原因で失うわけにはいかない」


「だから私達にはそもそも準備自体が要らないと言っているの!」


 最強の能力を持っているミカさんだからこそ言えること。そして、これはミカさんが傲慢だから言っているわけではない。その必死な表情から、一刻も早く仲間の元へ向かうために敢えて『最強』という称号を利用しているのだろう。ミカさんだってバカじゃない。準備も無くダンジョンの奥へ進むことがどれだけ危険な事か理解している。


「そもそも……私達も予定通り参加していればこんなことにはならなかった……なのに……なのに……!」

「ミカさん!」


 ボクは大声を上げてミカさんの言葉を遮った。ミカさん達が大規模討伐に参加できなかったのは事務処理が原因。ミカさんを机の上に縛り付けたのはオボロさんでもある。感情に任せたまま「オボロのせいで」と取り返しのつかないことを言わせてはいけない。


 だから、ボクはなんとかミカさんを止めるために詭弁を弄する必要がある。


「何よポルカ!」


 ――やばい。


 凄い剣幕で睨まれた。怖すぎたから、少し下着を「濡らして」しまった。


 だけど、声や手が震えてしまいそうになるのを堪えて、勇気を振り絞って話す。


「ミカさんは現時点で最強だ。だけど、ボクの策でミカさんを『最速最強』にする! だから、少しだけ時間が欲しい!」


「……『最速最強』?」


 ミカさんは表情を少し和らげ、聞く耳を立てた。


 ――よし、まずは作戦成功。『最速最強』という謎のキーワードをぶつければ、焦りよりも「疑問」や「興味」の感情の方が勝る。


「今のままでは、ミカさんは自分の足でダンジョンの奥地まで行くことになる。それでは数日かかってしまう。それでは間に合わないよね?」


「……話を聞くわ」


「ボクの策は大きく分けて3つ。まず一つ目だけど、ダンジョン内の移動を馬で行えるようにする」


 その話をした瞬間、ギルド職員達がため息をついた。


「ポルカさん。もちろんダンジョン内で馬が使えないこと分かっているわよね? ダンジョンの地形は多岐に渡る。ゴツゴツした岩や、マグマにより高温となった床も存在する。だから馬の蹄が耐えられないから、これまでダンジョン内で馬を使用することができなかった」


 一旦、オボロさんは一通り説明をした。そして、ボクに確認するように尋ねた。


「で、それを――あなたのアイテムで解決するのね?」


 オボロさんがボクを期待する目でこちらを見た。


「うん。それがこの『蹄鉄』というアイテム。馬の蹄に装着することで、蹄へのダメージを軽減する。そして、これが『鞍』というアイテム。この鞍で直接馬に乗れるようにする」


 ボクは設計図をリュックから取り出して皆に見せた。


「こんなの初めて見たわ。しかもテイテツ、クラ……? 初めて聞くね。まさか、いつもの『旅人に聞いた』ってやつ?」


「うん、その通り! はるか東方の国では、戦争で馬を効果的に使う遊牧民がいるのだけど、彼らの技術が元になっているんだ。蹄鉄が人間でいう靴、そして鞍が人間を馬の背の上に乗れるようにするアイテム。これなら、馬が『馬車』という重荷なく全力で走ったスピードで移動できる」


「それは……確かに『最速』ね!」


 ミカさんは完全に興味を持った様子で、目を大きくして設計図を見ている。


「そして2つ目。ボクが討伐隊が向かった所までのダンジョンの地図を描く」


 ボクはかつてカナに褒めてもらったダンジョン地図を出して皆に見せた。


「ポルカさん、あなたこんなのまで描いていたの?」


 オボロさんが驚いた表情でこちらを見た。


「うん……ダンジョンの裏技的なことも描いているからあまり人には見せてこなかったのだけど……このような地図を描く技術をボクは持っている。後でギルド職員さん達が光魔法のスキルで録画した映像を見ながら地図を描くよ」


 大規模遠征では冒険者達の連携を取るため、光魔法のスキルを持った職員により映像が記録され、共有される。


「確かに場所も地図によって正確に記されていれば迷うことはない。一直線で目的地まで辿り着けるわね! で、3つ目は?」


 ミカさんが興奮した声で言った。


「3つ目は、推し魔法」


 ボクはミカさんとオボロさんとの思い出を振り返った。初めてカナ以外で自分のことを認めてくれたこと。困ったときに助けてくれるお姉さん的な存在であること。


 ボクは、ミカさんとオボロさんに対する感情を爆発させた。

 

 

 ――【推し魔法 スキル技:スーパーチャージ(スキルエンハンス)】

 魔力コインまたは魔力札を消費して発動。対象が持つスキルの性能を上げる。その効果は相手に対して抱く愛情によって変動する。

 

 

 ボクの青白い魔力が身体の周囲を駆け巡り、やがてピンク色の魔力に変わった。そして、そのピンク色の魔力の奔流はボクの右の手のひらの上で収束し、ピンク色の札の形となった。


「ミカさん、オボロさん。いくよ!」


 ボクはその魔力札をミカさんとオボロさんへ向かって投げた。


「何よこれ!」

「……これは!」


 ミカさんとオボロさんが、ボクのピンク色の魔力に包まれた。


「これでミカさんとオボロさんのスキルが強化されたはず」


 ミカさんとオボロさんは自分の両手を開いて見ながら驚愕し、目を見開いた。


「そうみたいね! アンタやるじゃない!」


 ミカさんが興奮した顔で、ニヤリと笑った。


「それでは、今後の段取りについてもう一度言うよ。ボクはこれからダンジョン内を馬で移動できるように蹄鉄と鞍を作る。そしてダンジョン内で迷わないように地図も作る。その時間を頂戴。それまでミカさんは、ボクの推し魔法で強化されたスキルの内容を確かめて。あと、蹄鉄と鞍が完成したら馬に乗る練習もしてほしい」


「分かったわ!」


 ミカさんは会議室を飛び出し、ダンジョンへと潜った。


 スキルの試し打ちをするのだろうけど、恐らくダンジョン内は火の海となるであろう。


「それでは、一度解散して各々準備を進めましょうか。夕方にまた集まりましょう」


 オボロさんの提案に会議メンバーは頷くと立ち上がり、会議室を出て行った。


 そして会議室に残ったのはボクとカナ、オボロさんの3人だけになった。


「ポルカさん……!」

「……わ!」


 急に、オボロさんはボクに抱き着いてきた。そして頭を撫でてきた。


「本当に助かったわ! 本当に……本当に!」


 オボロさんは涙声になった。


 だけど、ボク自身は今にも泣きそうな状態になっている。


「やばい。どうしよう」


 ボクの言葉にオボロさん、カナは首を傾げた。


 ボクは胸中に抱える不安を打ち明けた。


「蹄鉄と鞍なんて実際に作ったこと無いから、どれくらい時間かかるかわからない」

「え?」


 ボクの言葉にオボロさんは固まった。


「ミカさんのことを止めて時間稼ぎをしようと色々話を考えたけど……本当に大丈夫かな……?」


「ポルカさん、もしかしてあなたは……あの場で思いついたことを適当に話したということ……?」


「でも、時間稼ぎできたでしょ?」


「全く、あなたって人は……」


 オボロさんは頭を抱えて、近くにあった椅子に座った。


「確かに、時間稼ぎできたわ。ミカ……あの子が危険を冒して命を捨てるような真似させずに済んだ。そして、私と喧嘩して取り返しがつかなくなってしまうことも避けることができた」


 オボロさんはボクを見上げて優しく笑った。


「だから……ポルカさん、ありがとう」


 傍で見ていたカナも微笑ましそうにボクを見て、ウインクした。


「それに……当てが無いわけではないんでしょう?」


 オボロさんの質問に対して、ボクは笑顔で答えた。


「うん。こういう時のために、種を撒いてきたから」


 ちょうどボクが言い終わった瞬間、この会議室めがけて走ってくる足音が聞こえた。


「ポルカさん! 話を聞かせてもらったけど、手伝えることは無いかな?」

「もちろんだよ、ヘカテー!」


 続けて、他にもこちらへ向かってくる足音が沢山聞こえた。


「カナちゃん、ポルカちゃん。何か手伝えることはあるか?」


「今『大規模討伐が失敗した』と町中噂になってるけど、大丈夫かい?」


 ボクだけではなく、カナと共に繋いできた縁。博物館に行った後に出会った人達も会議室に入ってきた。みんなで楽しく夕食を食べた思い出が蘇ってくる。


「みんな来てくれたの? ありがとう!」


 カナが嬉しそうにお礼を言った。


 ――そして、ボクは思いがけない人の姿が視界に飛び込んできた。


「ポルカ。色々と頑張っているみたいだね」

「セツおばあちゃん!」


 ボクは駆け寄り、セツおばあちゃんに抱き着いた。


「まったく子供みたいに。ポルカはもう21歳になるだろう?」


「セツおばあちゃんの孫であることには変わらないもの!」


 セツおばあちゃんに頭を撫でてもらい、ボクは破顔した。


 そして、こういう力を貸してくれる皆の存在が、ボクに勇気を与えてくれた。


「みんな、お願いがあるんだ。力を貸してほしい」


 ボクの言葉に皆頷いてくれた。そして、ボク達は作戦会議を始めた。


ついに第一部最終章に突入!

ここから大きく話が動いていきます。

連休中はこの作品で楽しんでいただけたらと思います!!


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