第26話 因縁の敵バーサク・ゴリラ戦 後編
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「それでは扉を開けますわ」
カナがメタルでできた扉を押して開いた。
――グルルルルルルルルルルルルルルル!
ボス部屋の中央に、体長3メートルほどの巨体を持った『バーサク・ゴリラ』が待ち構えていた。
「カナ! まずは刀で攻撃!」
「了解!」
カナは唸り声を上げるバーサク・ゴリラに向かった。そして、2本の刀による攻撃を加える。
「やあああああああああああああああああああああああああああああ!」
――グルルルルルウルルルルルウ……ガア!
バーサク・ゴリラが刀を腕で受け止めた。
刀とバーサクゴリラの腕がぶつかり合った衝撃で、周囲に突風が吹いた。
「くっ! 固い!」
カナはバックステップをして敵との距離を取った。しかし、バーサク・ゴリラはすぐに距離を詰めて、カナに襲いかかった。
「やあ! はあ!」
カナはバーサク・ゴリラの拳を刀で受け止めた。そのままバーサク・ゴリラは右、左とパンチを交互に繰り出した。そしてカナはそれを右、左と両手に持つ刀で交互に受け流した。
そして一発、カナが受け流したバーサク・ゴリラの右拳が岩の地面に衝突した。
バーサク・ゴリラの右拳は固い岩肌を削り取り、岩に大きな穴が生じた。
ボクはその拳の威力を見て冷や汗をかいた。
――ボクはそんな攻撃を受けながら防御に徹するカナの姿を見て、自分の感情を爆発させた。
カナとの出会いから、ボクは推し魔法のことを学んできたのだ。
――推し魔法はボクの感情によって効果が変動する。
そのためカナが危機に瀕するほど、ボクの感情は爆発的に強くなる。そしてそれは推し魔法を爆発的に強くする。
だから、ボクはバーサク・ゴリラの攻撃を受けるカナと、ダンジョンでバーサク・ゴリラに腹部を潰され、瀕死に陥っているカナの姿を脳内で重ねた。
そして、ボクの感情は爆発した。
「このクソゴリラがあああああああああああ! よくもボクのカナをおおおおお!」
――【推し魔法 スキル技:スーパーチャージ(スキルエンハンス)】
魔力コインまたは魔力札を消費して発動。対象が持つスキルの性能を上げる。その効果は相手に対して抱く愛情によって変動する。
ボクの青白い魔力が身体の周囲を駆け巡り、やがて赤い魔力に変わった。そして、その赤い魔力の奔流はボクの右の手のひらの上で収束し、赤い札の形となった。
「カナ! 受け取って!」
ボクは赤い魔力の札をカナへ向かって投げた。そして札がカナに当たると、カナの身体はボクの赤い魔力に包まれた。
「はああああああああああああああああ!」
カナは雄たけびを上げると、バーサク・ゴリラのパンチを刀で弾き返した。
その力強さに、バーサク・ゴリラは後ろに仰け反った。そして、その隙をカナは見逃さねかった。
「くらいなさい! 【ハード・スラッシュ】!」
――グアアアアアアアアアアアアア!
カナのスキル技がバーサク・ゴリラの身体を襲った。そして、左肩から右腰にかけて大きな切り傷を作った。紅い血しぶきが舞う。
たまらずバーサク・ゴリラは後ろに下がり、カナの次の攻撃に対する準備をした。
しかし、ボクはそのタイミングを待っていた。
「ここにもいるぞコノヤロウ!」
ボクはわざと大声を上げて、バーサク・ゴリラに向かって連弩を連射した。
――グアアアアア! グアアアア!
顔に向かって飛んだ複数の矢を両手で弾くバーサク・ゴリラ。しかし数本はよけきれず、顔面に傷を作った。
――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
ボクに怒りを爆発させたバーサク・ゴリラは、こちらに向かって雄たけびを上げた。
「ふふふ。チェックメイトだ」
ボクが呟いた瞬間、カナがスキル技を使った。
――【握力強化 スキル技:スペース・クラッシュ】
空間を握りつぶす。これにより対象を自分の眼の前に瞬時に移動させたり、自分が目的の場所へ瞬時に移動したり、空間ごと壁を変形させることができる。
カナはバーサク・ゴリラと自分の間の空間を握り潰した。それにより、バーサク・ゴリラの身体は一瞬でカナの目の前へ移動した。
「くらいなさい! 【ハード・スラッシュ】!」
――ガアアアアアアアアアアアアアアア!
カナは続けてスキル技を放った。しかし、バーサク・ゴリラも力強く抵抗し、両者の力はぶつかり合った。そして、カナの持っていた2本の刀は宙を舞った。
――グルルルルル……。
拳を刀で弾かれ両手を上げた格好となったバーサク・ゴリラは武器を手放してしまったカナを見て笑みを浮かべた。しかし、カナの目は死んでいなかった。
――むしろ、両手の刀を手放すことこそがカナの作戦であった。
「ようやく、あの時の借りを返せますわね」
――グル……?
バーサク・ゴリラは本能で異変を感じ取った。しかし、もう遅かった。
「覚悟しなさい!」
カナは体中にボクの赤い魔力を滾らせた。
――【握力強化 スキル技:ハートキャッチ】
対象の半径1メートル以内で発動。対象の心臓や魔力核を強度関係なく空間ごと握り潰す。
「くらええええええええええええええ! この拳をおおおおおおおお!」
カナは赤い魔力に包まれた右手をバーサク・ゴリラの胸に押し込んだ。
――そして、モンスターにとっての心臓である「魔力核」を握り潰した。
――グガアアアアアアアア……ア……。
断末魔を上げたバーサク・ゴリラはやがて力を失い、膝から崩れ落ちた。
そしてそのまま、もう指一つ動かすことは無かった。
「やった……やりましたわ……」
「う……うん! やったね!」
ボク達は走って駆け寄り、そのまま抱き合った。
「やった! やりましたわ! 二人だけでバーサク・ゴリラを倒しましたわ!」
「おめでとう」
パチパチと拍手する音が聞こえた。
振り返ると、ミカさんとオボロさんが立っていた。
「見に来てくれたんですか!」
「いや……冒険者ギルドに提出するモノがあって、そのついでに……」
バツが悪そうな顔をするミカさん。
「え? 提出期限って昨日だったんじゃ?」
「いや……その……」
オボロさんは何も言わず、ジロリとミカさんを睨んでいた。
何も言わないだけ、余計に怖い。
「とにかく、おめでとう二人とも」
「ありがとうございます! でも……」
カナは一瞬俯いた。
そして、ぽつりと言った。
「お姉様達みたいに『リリィ覚醒』までは至りませんでした」
ミカさんとオボロさんは顔を見合わせた。
「アンタ、この力を気にしていたの?」
ミカさんが自身の身体に魔力を纏わせ、左目の下の炎の刻印を輝かせて見せた。
「はい。ミカお姉様とオボロお姉様が『リリィ覚醒』をしたのはバーサク・ゴリラを二人だけで討伐をするという偉業を成し遂げた時でした。だから、今回二人だけで倒せばもしかしたらと――」
「バカね」
ミカさんがカナの頭を撫でた。
「確かに『リリィ覚醒』で私達は力を得た。でも大切なのはそこじゃないでしょう? アンタとポルカの二人だけで凄いことを成し遂げたという事実の方が重要よ! この実績の積み重ねがいずれ力をアンタ達にもたらせてくれるわよ。焦るんじゃないわ!」
カナの表情が明るくなった。
「は……はい! ミカお姉様」
「よしよし」
二人のやり取りを見たボクとオボロさんは目を合わせ、微笑み合った。
ボクも『リリィ覚醒』を期待する気持ちもあったから、カナの気持ちは凄く分かる。
でも、ボクは確信している。ボク達は今日よりも大きいことを成し遂げることができる。
――カナと一緒なら……二人なら!
「それじゃあ、お祝いに何か美味しい物でも皆で食べに行こう」
「良い提案じゃないポルカ! 早速地上に上がるわ――」
突然、ミカさんは途中で言葉を止めた。そしてオボロさんも表情が一瞬で変わり、険しい表情となった。
ボク達も振り返った。すると、11層へと続く道の奥から、ふらふらと歩いてくる人影があった。そして、その影が近づくにつれて、事態の重さを認識することとなった。
「ユメ!」
ボク達は駆け出し、同期最強と謳われた実力派冒険者のボロボロとなった身体を支えた。
そして、ユメと一緒に歩いてきた男性冒険者も満身創痍の状態で、ボク達の姿を見て安心したのか、その場で倒れこんでしまった。
「ちくしょう……ちくしょう……!」
ユメはその場で片膝をついて、床を拳で殴った。
「ガルルルルルルルルルル!」
突然、11層へ続く扉からこのボス部屋の中に一匹の灰色の狼が入ってきた。そしてボク達に襲い掛かった。
「くそがああああああああああああああ! くそダルい!」
――【病み魔法 スキル技:くそダルい】
「くそダルい」と唱えることで、その言葉を聞いた対象を弱体化させることができる。また、弱体化させる対象は選ぶことができる。
ユメの魔法を受けた狼の動きは鈍くなった。そしてユメはよろよろと歩き、倒れた男性冒険者が持っていた剣を引き抜き、狼に斬りかかった。
「この野郎! さんざん仲間を傷つけやがって! ふざけんなこのやろう!」
ユメは狼の返り血で、一太刀、二太刀と浴びせるたびに紅く染まっていった。そして、狼の原型が無くなるほど刀を振り下ろしたユメは、とうとう力尽き、その場に倒れてしまった。
「一体何が……とりあえず、すぐにユメたちを冒険者ギルドに連れて行って治療しよう」
ボクは固まって身動きが取れなくなっている皆に指示を出して、ダンジョンを引返した。
ついに第一部最終章に突入!
ここから大きく話が動いていきます。
連休中はこの作品で楽しんでいただけたらと思います!!
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