第23話 ボクのことどう思ってる?
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「落ち着いたかい?」
「ええ……ありがとう」
ボク達は寝室へ移動した。ボクは紅茶を淹れてカナに渡した。
ベッドの上で二人並んで座った。紅茶の香りが漂うなか、暫くの沈黙があった。
ボクは、カナが話し始めるのを待った。
「お父様に……冒険者をやめて結婚しなさいと言われました」
「まあ、そんなことだろうと思ったよ」
ボクはカナの背中に手を当てた。
「お父様は縁談を作ってきました。そして相手の方がこの屋敷に訪れるのは明日」
「明日ぁ?」
ボクはビックリして大声を上げてしまった。
「ええ。私は断りましたが、相手と会わないならこの屋敷から出ていけと言われました」
「なるほどね……」
ボクは立ち上がり、部屋の中を歩き回って考えた。
なるほど。カナのお父さんは、カナが断ることを想定して逃げれないように話を固めてきたのであろう。カナの性格上、誰かに頼ることはしない。自分のことは全部一人で解決しようとする。それを見越して、強硬手段に出たのだろう。
――ボクは、カナのお父さんをぶん殴りたくなった。
ふふふ……でも、残念だったな。これまでのカナとは違う。今のカナにはボクがいる。そっちが手段を択ばないのであれば、ボクだって手段を択ばない。
――だけどボクには一つ、確認しないといけないことがあった。
ボクは立ち止まり、カナの正面に立って質問した。
「ねえ、カナ。話は変わるけどさ……ボクはキミに想いを伝えたよ」
「え! あ、あの……」
顔を赤くして目を逸らすカナ。ボクは意地悪してやろうと思い、カナの顎をくいっと持ち上げ、至近距離でカナを見つめた。
「は……はわ……」
ボクもカナのことを見ていなかったとはいえ、カナこそ曖昧な態度を取り続けてきたんだ。高台でキスされたとはいえ、ちゃんと言葉にしてもらわなくちゃわからない。そのせいでボクは悶々と悩み続けてきたんだ。その責任を取ってもらう!
「ボクのこと、どう思っているんだい?」
「あ……ポルカ……私も貴女のことを、あう……ます」
「何? 聞こえないよ」
「あ……はにゃ……」
カナは、沸騰して湯気が頭から出るのかというくらいに顔が赤くなった。
「ちゃんと気持ちを聞かせて!」
「わ、私も貴女のことを愛しておりますわ!」
「ボクもだよ。愛してるよ、カナ」
ボクはカナの耳元で囁いた。
「あああああああああああああああああああああああああああああ!」
カナは突然立ち上がり、ポカポカ両手で叩いてきた。
「何ですの何ですの何ですの! 心臓に悪いですわ!」
「仕方ないじゃないか。キミはちゃんと言葉にしてくれなかったからさ。ボクはキミの気持ちがわからなくてずっと悩んでいたんだ」
「う……それはごめんなさい。私も……高台でキスをした後から貴女の様子がおかしくなって……その……嫌われたかと思いましたって……あああああああああああああああ!」
ボクはあの日のお返しに、隙をついてカナの唇を奪った。
「ひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
顔を真っ赤にしたカナは両手で頬を抑え、悶絶するような叫び声を出した。そして涙目になりながらボクの両肩に掴みかかり、ボクを前後にゆさゆさと揺らした。
「貴女は! もおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「仕返しだよ」
カナはふらふらとベッドに倒れこんだ。
そしてボクはカナの上に覆いかぶさった。
「……!」
カナは声にもならない悲鳴を上げた。そんなカナに対し微笑み、ボクはベッドの上でカナを抱きしめた。そして耳元で声を落として尋ねた。
「君は、どうしたい?」
カナはひっくひっくと嗚咽を漏らしながら答えた。
「そんなの決まっているじゃないですか……私も、貴女と共に生きたい」
「なら、逃げよう」
「……え?」
ボクはカナに提案した。
「今からこの屋敷から逃げるんだ。縁談なんてドタキャンしてしまえばいい」
「そんな……屋敷から逃げるって、私達はどこへいけばよろしいのです?」
「ボク達には頼れる『お姉様達』がいるじゃないか」
ボクはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
きたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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