第19話 乱心
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「う……何だこの夢は……はぁ……はぁ……」
ボクはガバッと上半身を起こした。着ているものが肌にくっつくほど汗をかいていた。
――そして、体内で魔力の流れを強く感じた。
「く……どうして……。決意を固めたつもりなのに……なんでまたこんな……」
ボクは胸がキュウと締め付けられ、苦しくなった。なのに、心の奥底から躍動感ある生命エネルギーが溢れるかのように、活力も湧いてくる。
「ポルカ。朝食ができましたわ」
「はぁ……はぁ……ありがとう。いま行くよ」
「?」
ボクの、胸を押さえて息が上がっている姿を見たカナは不思議そうな表情で首を傾げた。
「ああ、気にしないで。ちょっとえっちな夢を見ちゃって」
「な、なななななななな何をおっしゃってますの!」
カナは真っ赤な顔になって、その場から逃げ去ってしまった。
ボクは深呼吸をして、自分の気持ちを落ち着けた。
――ボクは、何をやっているんだ。
カナとキスをする夢を見てしまい、とてもヘンな気分になっている。体内の魔力も荒ぶり、暴走しそうになっている。
――カナにキスしたい。
――カナを脱がしたい。
――カナの身体を味わい尽くしたい。
――カナを自分のモノにしたい。
「ダメだ……今日はダンジョンに潜ろう」
ボクは逃げるように、今日の予定を作った。
カーン! カーン! カーン! カーン!
「はあ……ダンジョンの壁を掘る作業は心が落ち着くなぁ……」
ダンジョン3層に鳴り響く、ピッケルで岩壁を掘る音。
ボクはその音を聞きながら、自分の内側で高ぶったありとあらゆるものを落ち着ける作業を行っている。一人で。
今日朝食をカナと一緒に取っている時、カナから「父親が来る」との報告があった。
カナの父親とはレイボーン家当主。そして、カナとの折り合いが悪い。
――そして、ボクという存在を知らない。
だから、ボクはカナに「ダンジョンに潜ってくる」と言い、逃げるように屋敷を飛び出してきた。カナは何か言いたげな様子であったが、それも見ないフリをして。
――怖かったから。
こんなボクの心が不安定な状態であるのに、カナの家族と会ったら自分はどういう気持ちになるのかわからなかったし、カナがどう父親にボクとの関係を説明するのかを聞くのも怖かった。
あともう一つ。下腹部から湧き上がるような欲情を抑えるのも大変だった。カナと一緒の空気を吸っていたら、カナと触れ合ってしまったら……もう何もかも捨てて押し倒してしまうかもしれない。
それほど、今朝見た夢によって、自分の奥底に閉じ込めていた感情が解放されてしまったのだ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ボクは心を落ち着かせるために、懸命にピッケルを振った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! かかってこいやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
飛んでくるコウモリの群れを連弩で次から次へと撃ち落とし、剣を抜いて切り裂いた。
「はぁ……はぁ……」
足元に転がったモンスターの亡骸を見て、はじめて自分がリスクが高い行動を取っていることに気づいた。
――ボクは、何をやっているんだ。
カナと一緒にダンジョンを潜る以前、自分一人でモンスターが出現する、ダンジョン地下3層以下の階層に下りたことは無かった。前回カナとダンジョン潜った時に壁に鉱石を埋めてみたのを回収する必要があったとはいえ、カナと一緒に居る時にするべきだった。
「念のため、さっさと鉱石を回収して上に上がろう」
冷静さを取り戻し、袋を広げてしゃがみこんだ。
しかし、雑念を振り払うようにして夢中にピッケルを振るっていたおかげか、足元には大量の鉱石が転がっていた。
鉱石の鑑定は後回しにして、ダンジョン地下3層を後にした。
カチャカチャカチャ……。
「はあ……アイテム作成と鉱石鑑定作業は心が落ち着くなぁ……」
ボクはカナの屋敷で暮らす前は、よく冒険者ギルドの工房を借りていた。
「ポルカさん、こちらを利用されるのは久しぶりですね」
ボクの姿を見かけた冒険者ギルド職員の女性が声をかけてきた。年齢はボクと同じくらいで、最近ギルド職員の制服が板についてきた。
「そうだね。今日はカナの屋敷で来客があったから、こちらの方が作業しやすいと思って」
「そうなんですね。それでは……いつものお願いしても良いですか?」
「うん。照明魔導具だろ? 持ってきなよ」
「ありがとうございます!」
ボクはよくダンジョンに設置されているアイテムの修理、メンテナンスも行っていた。
「照明魔導具5つね。すぐ終わるよ」
「助かります!」
「こちらこそ工房を貸してもらって助かってるよ」
ボクはアイテム修理を行う代わりに、無料で工房や道具を貸してもらっていた。時折、ご飯も出してくれた。お互いが得をする良い関係性である。
「それにしても、こういう手作業落ち着くな」
カナが自分のことをどう思っているのか分からずにもやもやするだけなら何とかなった。だけど、今のボクは夢で性欲を掻き立てられてしまったせいで、ふとした拍子にカナの柔らかい唇やえっちな匂いを思い出して……そしてお風呂場でいつも見ている裸を思い出して……カナと裸で絡み合う妄想してしまってって……。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ボクは頭をガンガン机にぶつけた。そして手元を見てまた叫んでしまった。
「って何これええええええええええええええええええええええええええええええ!」
無意識に2個1組の指輪を作っていた。しかも、その素材がSS級極レア鉱石の『ゴシックメタル』であった。3層の壁に埋めたのは初めてだったが、たまたま魔力の流れが強い壁に埋めることができたようだ。こんな貴重な素材を入手したのは初めてだった。
「ど、どうしたんですか!」
「あ……えっと、その……」
ボクの絶叫を聞き、血相を変えて駆け付けた冒険者ギルド職員の女性。こんなレア素材見つかったら騒ぎになってしまうためゴシックメタルを隠し、他の鉱石を見せた。
そして、一生懸命言い訳を考えた。
「えー……えっと、ほら見て。なぜかこの鉱石に何かの毛がついてる」
鉱石が地面に落ちた時に付着したものだろうか? 鉱石に黒い毛がついているのを発見した。
「え? 毛ですか? そんなにビックリすることですか?」
「それは……」
訝しむ女性職員。しまった……誤魔化そうと口から適当に出てしまったから。
「いや、だって……この黒い毛が狼の毛だったら……と思ったら」
女性職員が近づいてきて、毛をつまみじっくりみた。
「これ……狼の毛っぽくないですか? この毛、この鉱石はどこで?」
「地下3層」
「うーん……さすがにネームド・エネミーの漆黒の狼であるアサシンの毛ではないと思いますが……念のため調べておきましょうか」
「うん。そうしてみて!」
何とか言い訳できたようだ。それにしても……。
――ボクは、何をやっているんだ。
2個1組の同じ指輪は貴族の結婚で使用され、パートナーの薬指にはめる行為がプロポーズになる。そんな代物を無意識で作っていたなんて……ボクは頭がおかしくなってしまったのかもしれない。
ボクは深呼吸をし、自分の頭を数発叩いて正気を取り戻そうとした。
――しかし、あの黒い毛は本当になんだったんだろう。
冷静さが戻ってくると、ボクは無性に黒い狼の毛のようなものが気になり始めた。
恐らく、黒い犬を飼っている冒険者の服から地面に落ちた毛だろう。さすがに3層までネームド・エネミーが登ってくることは無いだろう。まあ……風に飛ばされて上まで上がってきたとか考えたらキリは無いけど……。
若干気持ち悪い感触を覚えながらも、工房での作業を続けた。
渋谷ABEMAS頑張れええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




