第17話 キミとボクは「友人」
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「あのですね! ここのお肉は凄いんですのよ」
夕食はカナのオススメの店へ行くことになった。カナの話によると、ここはビールで煮込んだ猪肉の塊を食べることができる店らしい。
ボク達は注文を終えて料理を待っている状態であるけれど、お客さんが沢山入っている様子だった。テーブルが7つにカウンター席5席の店で、飲み食いしているお客さんが皆大声で笑いながらお喋りをしている。とっても活気があるようで、見ていて微笑ましいと思った。客層も冒険者や商人、農家の人など多種多様であった。
「はい、お待ち! あら、カナちゃん久しぶりじゃない!」
「うんおばさん! お久しぶりですわ!」
料理を運んできてくれた店主のおばさんがカナの姿を見るなりにこやかな顔で声をかけてきた。そして、そのまま一緒のテーブルに座った。
「あんたはカナのお友達?」
「うん。そしてカナと一緒にダンジョンに潜っている」
「あら、凄いじゃない! こんな小さな身体で可愛らしい容姿なのに逞しいのね!」
「い、痛い痛い!」
店主のおばさんは笑いながらボクの背中をバシバシ叩いた。なかなか豪快なコミュニケーションをするおばさんだ。
「ふふふ。私の相方のポルカは凄いんですのよ。知識を沢山持っていてアイテムも自作できるの。ポルカにはいつも助けてもらっているの!」
「そうかいそうかい、良かったねえ!」
おばさんは嬉しそうに笑った。
「なんだぁ、カナの嬢ちゃん仲間できたんか! なんかヘンなスキル貰ったからってパーティ組んでくれる人居ないって噂で聞いたから心配していたんだよ!」
別のテーブルに座っていたおじさんが酔った様子でふらふらと近づいてきた。
「お前さん言葉を選びな! このバカ!」
「いてえ! なにすんだよばあさん!」
「ああん? あたしゃアンタより若いわよこのクソジジイ!」
おじさんの言葉遣いを注意した店主のおばさんがおじさんの頭をバンバン叩いた。
「いいぞ! やれやれ!」
「カナちゃん。俺たちはカナちゃんのことを応援してるから頑張れよ!」
「カナちゃんは俺たちの希望なんだ!」
そんな店主のおばさんとおじさんのやり取りを見て大笑いするお客さん達。そして、カナに応援の言葉を投げかけてくる人達。みんなカナのことを知っているし、我が子を可愛がるかのような愛情を向けている。
――とても、領民に慕われているんだな。
そんな、皆から慕われているカナの姿を見て「カナらしいな」と思った。
「まったく。レイボーンのバカ当主はカナお嬢ちゃんを見習ってほしいぜ!」
「やめなさいみっともない! 父親の悪口を聞いて気分が良い娘はいないよ」
「いや、悪い。……でも、いま大規模遠征のために冒険者達が物資調達のために大量に買い物をしようと動いているだろう? 俺たち商人は、なんとかその流れに乗らなきゃいけないから頑張っているんだ。なのに、あのレイボーン家のバカタレ当主は、その商談を独占しようとしてやがんだ。商人ギルドにも金でモノを言わせて、文句を言えないようにしている。だから、レイボーン領では商売上がったりだ! ……ってすまないな。カナちゃんは悪くないのに」
「いいえ。私もレイボーン家の一員ですから、その誹りを受けるのは当然のことです」
一瞬、店内が静まり返った。
――スパァン!
店主のおばさんが、不満の言葉をまき散らした商人の頭を殴った。
「せっかくのメシがマズくなっちまうよ! ほら、カナちゃんたちも冷めないうちに食べて!」
ボク達は目の前の料理を改めて見た。
「いい匂いだね。とても美味しそうだ」
「そうでしょう?」
商人のおじさんの言葉で暗く沈んでいたカナの表情が笑顔に変わった。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
カナは鍋の中の肉を切り分け、皿に盛りつけてボクに渡してくれた。
ボクは口の中に涎が溢れてくるのを感じながら、フォークで肉を刺し、口に運んだ。
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!」
ボクはハンバーガーを食べた時と同じようなリアクションが出てしまった。
「美味しい! 猪肉なのに全く臭みを感じない! これは丁寧に下処理されているね! ビールで煮るだけじゃなく、事前にお酒や果実で……いや、果実酒かな? うん、果実酒漬けだ。さらにハーブの香りづけでマスキングされてる! 凄く丁寧に作られているね!」
ボクの口から思わず感想が飛び出てしまった。そんなボクの感想に対し、店主のおばさんもお客さんたちも皆驚いた表情をした。
「あんた……カナちゃんが言った通り、よく物を知っているね! あんたの言う通りだよ」
おばさんの言葉にお客さん達はパチパチと拍手をしてくれた。
「すごいなお嬢ちゃん! ……名前はなんていうんだ?」
「ポルカです」
「ポルカ? なんか聞いたことある名前だな」
お客さんの一人がそんなことを言った。ボクの名前もハズレスキル持ちの無能冒険者として広まっているのだろうか?
「たしか、アイテム屋のセツさんところの孫娘じゃなかったか?」
ボクは驚きのあまり、一瞬固まった。
「え? セツおばあちゃんを知っているの?」
ボクは思わず立ち上がって聞いた。
「そりゃあもちろん。セツさんには皆お世話になってたりするからな。セツさんが作るアイテムは便利なんだよ。あの天才発明家はこの町に欠かせないよ」
「そっか……そっか……」
ボクは嬉しくて、少し涙目になった。そんなボクを、カナは慈愛に満ちた表情で見ていた。
――いつもの『完璧な』笑顔とは違う笑顔?
ボクは内心、少し同様した。
「セツさんが言っていたよ。孫娘のポルカちゃんが自分の才能を受け継いだ天才なんだと」
「本当に?」
「ああ、そういえば言ってたわね。よく孫自慢されたわ」
店主のおばさんやお客さん達から、セツおばあちゃんが言っていたボクについての話を沢山聞かされる。そしてお客さん達がボクの発明品に興味を示した結果、即興の「発明品お披露目会」が始まってしまった。
石鹸や連弩や閃光銃など、ボクが発明してきた品を皆が褒めてくれた。
ボクは自分の発明品を沢山の人に褒められるのが初めてだったし、それに、他の人から尊敬するセツおばあちゃんについての話を聞くのもとても嬉しかった。
――こうやって、人と人の縁がつながっていくんだな。
そんなことを体感した。
カナと出会う前は、ボクは一人で冒険者生活を送っていた。でも、カナと共に生活を送ってから、ミカさんやオボロさん、そしてここにいる皆など沢山繋がりができた。
改めて、カナと出会えて良かったなと思えた。
「良かったですね、ポルカ」
「うん。とても良い思い出になった」
ボクはいま、カナと一緒に馬車に乗り、ボク達の屋敷へ向かっている。
「私……ポルカが沢山褒められて、嬉し……です……わ……」
カナはボクに寄りかかり、ボクの肩を枕にして寝てしまった。
今日は訓練で身体を動かしたし、こんな夜遅くまで遊んでいたから疲れてしまったかな。
スースーと寝息を立てるカナの体温を肩で感じると、胸の奥がキュウと締め付けられた。
「カナは……凄いな」
ボクは胸を右手で押さえながら、カナが領民の皆から慕われてる姿を思い出した。そして、そんな領民達の笑顔を守ろうと自分の父親をはじめとした家族達と戦おうとしている姿も。
「ボクは……『友人』としてカナの力になろう」
ボクは自分の感情を「友情」と名付けようと決意した。それ以外の感情として捉えると、ボクの感情は不安定となり、うまく推し魔法を発動できなくなってしまう。
訓練で見たカナの動きを再現するためには、ボクが推し魔法を安定的に使うことができないといけない。
――そうしないと、ネームド・エネミーに殺されてしまう。
ボクは、大好きなカナを守るために……この気持ちに決着をつける!
ボクは握りこぶしを作り、覚悟を決めた。
すると、ボクの気持ちに答えるかのように、ボクの体内で再び魔力が流れ出した。
「これでいいんだ」
馬車の車窓から見える月に誓いを立てるように、そっと呟いた。
連休最後の日って辛いよね。
辛いよねええええええええええええええええええええええ!
いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!




