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盗賊たちは怯まない  作者: 臼田クロ
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魚は鯛

アイリスは少女の姿をした魔獣と相対していた。

「ハハハ!君面白いね!」

「あなたこそ中々やりますね…」


能力はただ単純に粘液や酸性の液体、引火性の高くわずかな摩擦熱で火が出る液体など色んな種類の液体を出せるだけ。なのにずっと倒せないでいる。レベルも魔力量もアイリスが上のはずだ。


「あなた、名前はなんですか?」

「ぼ、僕?!そ、そうだな…マドラ!うん!僕の名前はマドラ!」

「マドラさん、私が何度フェイントを入れても完璧なまでにかわす…もしかして私の行動が読めてます?」

「さぁ、どうかなぁー」

これは図星だろう。


「風よ伝えてよ〜♪溢れる想い〜♬ 楽しいね!お姉さん!」

「聞いたことない曲ですね。はやくこっちは終わらせたいのですが。」

思考を読める範囲は5秒ほどだろうか。正直手詰まり…こうなったら今なにか思い出して自分でも分からないような魔法で…。


杖をつく音が足音とともに何者かがアイリスの後ろからやってきた。

「なにものだ?!」

「恩人を探していたら、なにやら物騒なことになっているようだな。」

目を瞑っている杖のついた鯛の半魚人アルフォースが現れた。


「あなたは…」

「あ、もしかして君、マーガレットと吉川小次郎の仲間?」

「はい。そうですが、何者ですか?」

「俺はアルフォース。あの二人の仲間なら、ここは俺に任せて欲しい。」

「分かりました。こいつの能力は…」

「言わなくても聞いてたよ。遠くからね。」

マーガレットはアルフォースに任せて剣を柄に収め、魔力と体力の回復に務めた。


「お前誰だよ。僕君には用ないんだけど、」

「安心しろ。とっとと殺してやる。」

杖の持ち手を引き抜き剣を出した。

「すげえw なにその仕込み刀w」


「俺はマーガレットと戦った末、敗北し死にかけた。全身が燃えて皮膚や鱗が焼き爛れた。想像を絶する痛みと苦しみ。そんな中、俺は自分に契り(ちぎり)を交わした。視力と火傷の痛みと引き換えに更なる魔力を得た。おかげで火は消せたが、何も見えないしずっと全身が痛いよ。」

「なんちゅう精神力…半魚人の火傷はきっと僕たちには想像もつかないだろうし、種族としてのアイデンティティや誇りを捨ててるなんて…。」

マドラは若干引いているような顔をした。

「でも俺は学んだんだよ。真っ暗の中に灯る一筋の光をな。」

指先からとてつもない火力の炎を一直線に出した。1kmはあるであろう炎をマドラはギリギリで避けた。


「君、凄い火力だね、。スキルは何かな?」

焔油士(グリーサー)。ただし、俺は訳ありでな。(ユニーク)焔油士(グリーサー)だ。」

異なる(ユニーク)スキルだって?!君すごいね…それも契り(ちぎり)の影響かな?上手く利用してるようだね、。」

異なる(ユニーク)スキルは通常のスキルとは異質で特異な使い方をするスキル。ただ、それ以外の解釈では使用できない。


「いちいち上からだな。俺の能力が契り(ちぎり)によるものだと知ってるのは、君の先読みの能力と関係ありそうだ。となれば預言者(プロフェット)やらなんやらのスキルではなく、対象の心を読むんだな。」

「お、ちょっと違うけど当たりだよ!」

「それはお前の解釈だろ。大まかに言えばそういうことだな。だったら、大禍厄災(カラミティ)!」

大規模広範囲の炎魔法でアイリスの前を炎で塞いだ。

「なるほどね。視界に入らなきゃ確かに読めないけど、僕液体操れるんだよ?」

目の前の炎を、液体を出して一瞬で消火した。


アルフォースが炎が消された瞬間に飛び出して、杖の剣で斬りかかった。

紅玉ノ月(ムーンベイル)!」

炎を剣に纏い、マドラの顔面めがけて斬り掛かる。 頬に切り傷をつけ、マドラは剣を液体を纏った腕で受け止めた。

「やっぱりな。俺の心は読めないんだろ。俺の契り(ちぎり)はあらゆる光を受け付けず、闇を自分のものにする。お前のくだらない邪の魔法も効かないわけだ。」


「ほぉ、君面白い解釈だね。もういっかな。さ、早く殺しなよ!」

「は?何言ってんだお前」

「いいから、殺しなよ!もう仕事終わったし。」

「意味わかんねえ。何が狙いd」

マドラの後ろからアイリスが背中を指した。


「安心してください。ちゃんと心臓を狙いました。痛みは一瞬ですよ。」

「あー、別に痛みとか関係ないんだけどね。ま、いっか。楽しかったよ!また会お!」

笑顔でマドラがその場に倒れた。



「何が起きたんだ?あいつなんだったんだ?」

「この結界は中にいる王国の主要戦力の把握が目的です。つまり、十分な情報を取れたから死んだって訳ですよ。」

「おい、じゃあなんで俺にあんなに戦わせた?」

「あなたがどんな人かよく分からないので。小次郎に極力手を明かさないように戦うよう言われていたのでね。」

「小次郎…。その小次郎とマーガレットに合わせてくれ。」

「構いませんが、何をするんですか?」

「仲間に入れてもらう。今は人手が欲しいだろ?」

「そうですね。」

アルフォースが微笑んだ。

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