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盗賊たちは怯まない  作者: 臼田クロ
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四人の刺客

俺はマーガレットに金目鯛の半魚人を任せ、巨人兵と一緒に洞窟の奥に入った。

「しかし、大丈夫だったんでしょうか。小次郎殿。アンチテールズはヨトゥンヘイムが誇る最強の部隊ですぞ?しかも彼奴は最高幹部クラスでしょう。」

「彼女は君の思っているよりもずっと強いです。小さくて頼りないのは分かりますが、私たちは急ぎましょう。」

「…分かりました。」

渋々納得したようだ。巨人の低い声が広い洞窟に声が響いた。



少し進んだ時にまた魔力を感じた。神律眼(しんりつがん)でもあまりよく見えないが、元々得意な魔力感知で何となく分かる。

「この先にもう1人、ネズミ?の半獣人の少女の敵がいます。さっきのアルフォースよりも感じる魔力は少ないです。この洞窟のせいか結界のせいなのか、なぜか上手くこの眼が使えないです。すみません。まだちゃんと扱えないようで、」

「小次郎殿、十分助かります。みな武器を構えよ!」

武器を構えて洞窟の奥へ走った。


「あなた、かなり強いわね。どうでもいいけど。」

少女は無気力そうに俺を指さして言った。

「すみません、あいつが誰か分かりますか?」

「エリザベス・ゾットという名前しか知りません。アンチテールズは謎の多い部隊だったので…。お力になれず、面目ない。」

巨人兵は悔しそうな顔をしている。

「それでエリはだれの相手をするのかしら。」

「大人しく通してはくれないのか?」

「それは無理なの。ゼラの拷問の邪魔はさせないよう言われてるの。」

拷問…。今すぐ助けられないのが悔しすぎる。力はあってもなにもできない。


「小次郎殿、ここは我々に任せてはくれないか。」

巨人兵のみんなが俺に真面目そうな顔で見てきた。

「我々は誇り高き巨人兵にもかかわらず、一般人のエルフの少女に戦場を任せてしまった…。本来なら一生の不覚。全員自害すべき状況なのです。」

みんなかなり悔しそうにしている。中には静かに涙を浮かべ、それを誰にも見せまいと必死に大きな顔を下に向けている。

「…分かりました。あなたたちにここを任せます。どっちにしろこの先はあなたたちの体じゃ入れなくなるでしょうし。」

「本当にありがとう。戦士の誇りに賭けてあいつを倒すことを誓おう。」

「ですが、約束です。絶対に死なないでください。」

「承知した。絶対に守って見せよう。」


俺は巨人兵のリーダーに拳を向けた。

「小次郎殿、それはなんですかな?」

「グータッチですよ。私の故郷に伝わる、互いの拳を合わせて健闘を祈るものです。」

どうやらこの世界にはグータッチはないようだ。

「承知した!信用していただき、感謝する!」

俺たちはグータッチをした。

「私もいるんですけど?なーに話してんの」

「それじゃ、行きましょう。」

巨人兵たちに合図を送った。


「皆の者!小次郎殿の信頼に全力で答えるぞ!!!」

「「「オォォォォォ!!」」」

巨人たちは全員でエリザベスに突撃した。大きな足音が洞窟を揺らしている。

俺はその隙に結界の前に転移して戦斧で結界を破壊した。

「噂通り、暑苦しいやつらだわね。良いわ。ちゃっちゃと倒して追いかけるとしましょうかしら。」

「この先には何があっても行かせんッ!」



身体強化(エンハンス)疾風足轟(ブリーズターボ)!」

下半身に身体強化魔法をかけて大きく立ち幅跳びをして、足の裏に風魔法をかけてさらに加速する。これで音速を超えるものすごいスピードで進めるが、今にも拷問を受けているバーバラを想うとこれでも足りない気がしてならない。ある程度進んだところで高い魔力を感じた。俺はさらにスピードを出して進んだ。

狭い通路が続いたが、この眼の力でこの先に広い場所がありそこに敵もいるのが見えた。俺の相手は額に二本の角があるゴツい老人のハーフオーガのようだ。正直今までの敵より魔力がずば抜けて高い。ゼラさんに初めて会ったときのような強い魔力を感じる。


「お待ちしていました、小次郎さん。私の名前はヴァレンティノ・バッカ。ニューアンチテールズの二番手です。」

「黙れクズの片割れが。疲弊し弱り切っているバーバラの魔力をここからでも感じるぞ。」

「やはり、私は結界術が苦手なようですね。ですが、私の実力はゼラくんにも引けを取りませんよ。」

「知らん。今の俺なら簡単にお前などひねりつぶせる。」

正直今までにないほどかなり憤りを感じる。友が今こうしている間にも拷問され、傷ついている。


「時間は残されていないんだ。殺してでも通らせてもらう。」

「私の任務はここを何人たりとも通さないこと。たとえこの身が滅びようとも決して通しはしませんよ。」

舐めた口調の老人だ。

「俺のメインスキル大盗賊(グレートバンディット)はこの右目の神律眼(しんりつがん)を手にしたときに進化した。」

俺はロータスリングで自分のスキルを表示した。


《名前》吉川小次郎(よしかわこじろう)

《メインスキル》神聖盗賊(ディバインバンディット)

《レベル》1900《バイタル》身体強化状態

《魔力残量》99%《魔力指数》486906


「そ、それは神聖なる(ディバイン)スキル…神をも滅すると言われている神話級のスキルではないですか。そんなの、おとぎ話でしか聞いたことないですよ。それにその魔力指数にレベル、ゼラくんでも…」

正直今の俺は誰も止められないだろうが、帰り道にこの洞窟を通らないと転移もできないから洞窟を崩すわけにもいかない。手加減をしないと怪我をしたバーバラを運びながらここを通れないか。

「殺してやるよ老害!」

「今まで以上の敵に出会えたこと、神に感謝します。私も全力で殺し合いましょう!」

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